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サマータイム
【新潮文庫】
佐藤多佳子
定価 420円(税込)
2003/9
ISBN-4101237328
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:A
誰かとの思い出が、とてもかけがえのないものとして胸のうちに残ることがある。ただし、そういう思い出は大概の場合、言葉では捕らえにくい何かとして胸のうちにあり続ける。それを小説という形式で形にしようとすると、なるほどこうなるのかな、と思った。「サマータイム」には、二人の少年と一人の少女がでてくる。夏の日に偶然出会った彼等の間に、何か特筆すべき事件が起こるわけではない。けれど、それぞれが不思議な共感や、違和を分けあいながらお互いを発見してゆく。「サマータイム」のしみじみといいところは、その寡黙さにある。登場人物たちの内面や関係性には大きな変化が起こっているのだけど、それを声高に叫ぶことはない。一歩退いた描写は、かえって強く夏の雨の匂いや、空気の爽やかを鮮やかに映し出す。五感をきちんと使って書かれている感じが心地よい作品だった。
延命 ゆり子
評価:A
まぶしい!そしてくやしい!あたいもこんな初恋がしたかったよう……。佐藤多佳子の作品はいつもせつない。小さい頃の感受性を思い出して、せつなさに胸が苦しくなる。小学校の夏休みの情景がリアルで、あのときのけだるさ、時間をもてあます感じ、でも何か焦っている気持ちを思い出す。主人公は3人。団地に住む姉と弟。近所に住む片手のない強い眼差しを持つ男の子。ピアノとジャズをキーワードにして、3人にとって一度しかない特別な夏休みが始まる……。自分の気持ちに正直にぶつかって、大切なものを守り続けるその姿が素晴らしく、美しい。そして自分のさえない過去と比較して、惨めになるのだ。あーあ。
児玉 憲宗
評価:B
佐藤多佳子さんの文章から放たれる感性は、時としてナイフのように鋭く、時として砂の城のように脆い。ひと言でいうと、とても「純粋」なのだ。それゆえ、子どもや若者の視点で描かれたこの作品集はとても効果的だと思える。進と佳奈と広一。爽やかな友情のようなもの、何ともたどたどしい恋愛感情のようなもの、惹かれあったり、離れたり、なかなか微妙な姉弟関係。純粋で感受性の強い彼らの関係が瑞々しく描かれている。彼らが過ごしてきた季節は、未熟で若々しい蒼色に彩られていて、嫉妬したいくらいに輝いている。いつも靴を履いている大人たちには、裸足で歩く地面の感触はわからない。この感触がこの作品集では得られるのだ。
鈴木 崇子
評価:C
ひとつの話を登場人物(少年少女)それぞれの視点から描いている連作。そういった形式やピアノ好きの片腕の少年・広一が登場したりするところなど、目新しく新鮮な印象がない訳ではない。広一の鋭い感受性と妙にこましゃくれて子供らしくないところや、思春期の佳奈の揺れ動く気持ちなど、それなりに読ませる話だし悪くはないと思う。パンチ(?)のきいた広一の母に地味な種田、不思議系のセンダくん、平凡な主人公など、登場人物のバランスもとれている。けれどなぜか、子供の目線を装ってはいるが大人の物語を子供に語らせているだけという感じがしてしまうのだ。MOE童話大賞の作品(「サマータイム」)だから、童話なんだろうけど…。童話(?)ゆえのあっさり加減がわざとらしく作為的な感じもしてしまう。テクニックはあるのかもしれないが、あんまり心に残るものがなかった。
高橋 美里
評価:A
僕には姉が一人いる。名前は佳奈。僕たち家族は団地に住んでいる。僕が11歳、佳奈が12才の夏、どしゃ降りの雨のなか、僕はもがくようなフォームで泳ぐ彼に出会った。
左腕と父親を交通事故で亡くした彼は、どこか大人びてどこか他人を近づけない雰囲気をもっていた。ピアノを弾く彼の母が口ずさむ「サマータイム」にのせて、僕の一夏は過ぎていく。
知り合うことで近くなっていく。友情でもなく、もっと別な不思議な関係がそこには出来上がった。まるで痺れるような夏の物語。
「サマータイム」「セプテンバーレイン」名曲に乗せて綴られる3人の物語です。
中原 紀生
評価:A
小学五年生の伊山進と一つ年上の姉の佳奈。進より二つ年上で、ピアニストの母親と二人で暮らしているどこか大人びた浅尾広一。夏休みの最後の日、三人で一緒に食べた塩辛いミント・ゼリーの思い出。喧嘩したまま別れた佳奈と広一。そして六年後、大学生になった広一との再会(「サマータイム」)。その数年前、進の自転車と佳奈のピアノが初めて家にやってきた頃、まだ幼女の面影を宿す佳奈のある日の出来事(「五月の道しるべ」)。佳奈と別れてから三年後、やがて新しい父親となる男と広一との出会い(「九月の雨」)。十四歳になった佳奈と調律師・センダくんとの、氷の鍵盤が奏でる「絶対零度の音」がとりもつ「義理でもないけど、LOVEでもない」関係(「ホワイト・ピアノ」)。四季それぞれのイメージに彩られた四つのショート・ストーリーが綴る、思春期というにはまだ早い、あの特別な時間だけがもつ壊れ物のようなつかのまの煌めき。自転車とピアノ。二つのマイ・フェイヴァリット・シングス(私のお気に入り)に託された、切ないほどピュアな世界。何か大切なものが、ひっそりと編み込まれている。
渡邊 智志
評価:C
日常生活の中でお互いに心が通じ合っている人たちが、単語で会話することはありますよね。ところが小説の中にぽつりぽつりと単語でしか会話しない登場人物たちが出てくると、作者が彼らを小説の中の登場人物として描くことを放棄しているような気がするんです。作者の頭の中では物語が成立していて、美しい世界がきちんと動いている結果なのかもしれないけれど、読者の好意と共感と想像力と妄想力に頼りきって、小説を描く努力を放棄しているように感じるんです。判る人にだけ判ればいいんだ、と投げ出しちゃっているみたい。もったいないです。短編はそれぞれ語り手の性別も年齢も異なるんだけれど、口調や価値観は同じで(作者の夢の世界の中から出ないので)、次の話に進んでも物語に広がりが感じられない。生まれた時から去勢されていたみたいなへろへろの男の子たちの心理描写には、呆れて頭を抱えてしまいました。あまりにナイーブな子供たちに赤面です。