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まぐろ土佐船
【小学館文庫】
斎藤健次
定価 600円(税込)
2003/10
ISBN-4094080171
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:A
一年、二年と船の上で同じ人間と顔つきあわせ、冷たい海と戦いながら100kgもするようなマグロをたぐりよせる。そのあまりの過酷さはまかり間違えば「物語」になりかねない。なんか、浪漫とか、ありそうだし。けれど、自ら料理長として船に同乗したこの著者は、経験を経験として当たり前のことのように書いている。丘の上の人間の想像力をいたずらに煽るような表現をしないとでも言うか。船の上の漁師たちだって、取材対象である以前に、同僚なのだ。その距離感がよかった。船の上の過酷さは共有できないけれど、人間が生きてゆくことのしんどさみたいなものは普遍なわけだ。著者の入れ込みすぎない姿勢のおかげで、その種の普遍性が表れていて面白かった。
延命 ゆり子
評価:A
1本数千万円もの高価なミナミマグロを狙う土佐船。一攫千金。一か八かの勝負を賭ける男たち。自分の腕ひとつで家計を支える漁師の生き様が格好良い。働く男の姿にしびれる。しかし段々と読み進めるのが辛くなってくる。漁師って最近注目されてて、ちょっといいよねーなんて甘く考えていた自分が恥ずかしくなる。600日もの過酷な航海。尋常じゃない揺れに胃液まで吐きつくす。仕事のできない奴は容赦なく殴られる。熱を出しても休めない。釣り針に体を裂かれ、指を切断する。船から落ちて行方不明になることもある。常に死と隣り合わせの毎日。体力も精神も限界まで達する。もういいよ、もう帰ってきてよ。そう思ってしまう、私は女。過酷な状況と知りつつも、それでも何かを求めて海に出て行く輩がいるのだろう。男のロマンはやっぱり私にはわからないのかもしれません。
児玉 憲宗
評価:A
マグロを追い求めて世界の海を駆け巡る男たちの物語である。いったん沖へ出れば病気をしようが骨を折ろうが簡単には陸へ戻れない。まさに命を張った仕事である。遠洋マグロ漁業基地は高知だけではないが、一本数十万円もの高価なミナミマグロだけを狙うのが土佐船(とさぶね)である。命を張るというより、生活を賭けているという方が近いか。まさしく真のプロフェッショナル軍団。著者、斎藤健次さんは遠洋漁業コック長として航海を何度も経験している。マグロ漁船の細かい仕事内容はもちろん生活の様子、船長、漁労長、甲板長などの役割、マグロの種類や違い、収入など、マグロ漁業に関する細かい説明が読む者にとってありがたい。そして何より船員たちの「名語録」の数々は感動的だ。心を許した斎藤さんにだからこそ語ってくれた本音が見える。
過酷な海での戦いは気が遠くなるほど延々と続く。陸に残した、愛する家族のために、家族を忘れて戦う。「陸の生活はどうも居心地が悪い。厳しい規律に縛られているとはいえ、海の上にこそ自由がある」。束の間の休息を家族と過ごした男たちはそう言って、また船に乗る。
鈴木 崇子
評価:B
もし私が男だったら、漁師(または漁船のコック)になろうとは思わないだろう。もし私が遠洋漁業の漁師(〃)だったら、間違いなくノイローゼになってるだろう。私が独身だったとしても(独身だが)、漁師の奥さんにはなれないだろう。(オファー自体ないだろうが…) マグロは好きだし(中トロあたり)、これまで何気なく食してきたが、マグロを捕る遠洋漁船はとんでもなくシビアでワイルドな世界だったのだ。陸の生活からは考えられない過酷で非人間的な環境でも、人間って慣れるものなんだなあ〜と驚き感心したり、強そうに見えても人間やっぱり脆くて弱いものなんだなあ〜と納得したり。人間のしぶとさと危うさ、紙一重のところをわけるのは気力や体力だけではなく、運不運だったりするのかなと思う。
実際に乗船した経験に基づいているだけに、他船との駆け引きやギャンブルのようなマグロ漁の実態なども詳しく描かれていて迫力は十分。しかし、このドラマティックで濃密な世界を描くのには、頁不足の気がしないではなかった。
中原 紀生
評価:B
全長四四・五メートル。幅八・五メートル。深さ三・四メートル。ちょうど百十五坪の四階建てビルに相当する狭い空間に、二十人の気の荒い男達が五年もの長きにわたって監禁状態での生活を続けていく。著者がコック長として乗り込んだ土佐のマグロ船、第三十六合栄丸での一七七○日は、かくも過酷で壮絶な日々だった。けっして大仰にならず、劇的な効果をねらった身振りは極力禁欲し、マグロ船の男達の栄光と悲哀、その家族との交情、彼らを取り巻く経済や国際情勢まで、淡々と力強く叙述しきったノンフィクション(真実の物語)。「この二年間、地球をめまぐるしく走り回ってきた。海の色など、どこも変わらない。自分はいつも同じ場所にいるのではないか、という錯覚にとらわれたりする。」──原著と文庫版の二つの「あとがき」に綴られた後日譚(もう一つの真実の物語)が、読後の余韻を深いものにしてくれる。
渡邊 智志
評価:A
最近は知っていなくてもいいことを知っているとちょっと自慢できるそうで、とりわけこの本なんか一冊読んじゃうと、もう次の瞬間からちょっとしたマグロ漁船通を気取れちゃいますね。うんちくをふりかざして、あちこちに言いふらしたくなっちゃいます。活きのいいマグロ以上に文章が活き活きと躍っていて、ずしんずしんと何トンもの重みが胸にぶつかってきます。実地で体現している船員でありながら、同時に冷静な観察者でもあるという稀有な立場から描き出されたノンフィクションですから、これ以上本場の「味」を伝えきっている物はないでしょうね。ぎりぎりのタイミングで冷めた視点を保っているのが、小気味良いです。これでボクが高価なマグロを喰ったことがあれば、よりいっそう舌の上で美味しさが転がりまわるんだろうけど、スーパーのパック詰めの切り身にマヨネーズ醤油つけても、なんだかベチャベチャしていてあんまり美味しくなかったんだよなぁ…。