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クライマーズ・ハイ
【文藝春秋】
横山秀夫
定価 1,650円(税込)
2003/8
ISBN-4163220909
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
元新聞記者の横山秀夫氏の作品だけに、新聞記者をかなりありのままに描きだしていると思う。実際に1985年に起こった日航機事故を軸に話が展開し、40代の新聞記者が、家族や会社の人間との軋轢と正面から向かい合い、そこに同僚の不可解な死の謎も交錯しながら、物語が進んでいく。時々、主人公悠木の行動に何故と思うところがあり、あまり悠木の性格や考え方に同調できなかったために、少し違和感を感じながら読んだ。悠木が、大事な局面で出した答えは果たして正しかったのか。その答えは分からない。ただ、ラストのまとめ方はとてもよかった。いろいろな謎や問題が、無理なく解決に持ち込まれ、すっきりときれいにまとまっていた。新聞記者を目指す人には、必読の書だと思う。
桑島 まさき
評価:AAA
阪神タイガースがリーグ優勝を飾った。前の優勝は1985年。この年も日本中が沸いた。優勝目指してひた走る連日のタイガース報道の陰で、同年夏、世界最大の航空機事故が日本国内で起きたことを忘れてはいないだろうか。地元で発生した“二度と起こらない事件”か、戦後40年の節目となる終戦記念日行事か、首相の靖国神社公式参拝か。何を優先すべきか。報道をめぐる地方新聞社のベテラン記者・悠木と組織との壮絶な闘いは、熱い!
展開がスリリングで臨場感たっぷり。悠木が陥った“興奮状態が極限に達し恐怖感がマヒしてしまう”“クライマーズ・ハイ”状態に読者をも同行させる。筆力や骨太の構成力は文句ナシ。
男たちの熱いドラマを題材にしながら、ジャーナリズムの使命や命の尊さという根源的なテーマに内省的に向き合っている。「下りるために登る」と言い残した山男・安西の言葉は我々に多くのことを突きつけるではないか。高揚したまま長い物語につき合わされたら、静かに「下り」てみるとよい。「マヒ」したままでは見えなかった真実が見えてくるはずだ。う〜ん、示唆に富んだ傑作だ。
藤井 貴志
評価:A
群馬県の地方新聞社に勤務する悠木和雅は、これまで会社や家族といったあらゆる人間関係に背を向けて生きてきた。そんなアウトロー記者が、御巣鷹山に墜落した日航機事故の全権デスクを命じられたことをきっかけに、会社という組織や家族、友人といった存在と否応なく向き合うことになる。さらに事故当日、一緒に山に挑む予定だった同僚が不可解な状態で倒れたまま意識を戻さない……。
未曾有の大事件に遭遇した現場の記者たちに対して、すでに要職に就いている「大久保連赤」世代からは陰湿な横槍が入れられる。こうした確執は「大きなヤマを踏みたい」と願う記者が集まった新聞社ならではだろう。一匹オオカミの記者が組織に翻弄されながらも己を貫こうとする様に、僕たち読み手もついつい感情移入してしまう。大きな事故を物語の中心に据えながらも、事故そものの話題性に引っ張られることなく、個性豊かな登場人物を上手くコントロールした筆者の力量は並大抵のものではない。自らの経験をベースに構成された怒濤の421ページ。これは「読まねば!本」だ。
古幡 瑞穂
評価:AA
読んでいる最中やたらと息が苦しいなぁと思ってたんです。ふっと気づいたら息を止めてました。“手に汗握る”とか“息が詰まる展開”なんてのは、謳い文句ではよく聞くもののなかなか実体験として味わえる本はありません。そんな貴重な体験ができた作品になりました。
ひとつ間違えば感傷だらけになりそうなのに、横山さんは客観的な目と筆で御巣鷹山での事件と、新聞社の内部を描ききりました。だからこそ、普通では臭いと思うような熱いセリフも読み手にストレートに届いてくるのだと思うのです。ラストには賛否両論ありそうですが、暗くて重いテーマを読んできたあとに突き抜けるような大空を広がるってそんな手法が私は好きです。ただ、こんな喧嘩ばっかりしている職場って本当にあるんでしょうかね?その辺でちょっと作り物臭さを感じますが…またまた新作が楽しみになってきました!
松井 ゆかり
評価:B
日航機事件が起こったとき、私は高校3年生だった。もちろん掛け値なしの大事件であり、そのとき感じた追悼の意は本物だったと思う。しかし当時の私にとって、死は身近なものではなかった。それは物理的にも精神的にも自分とは遠く離れた場所で起きた出来事だった。
私事だが、この夏父が他界した。日航機事件から18年、その間に私は母親になり、親戚や知人の死を遭遇し、そして今年最も近い家族のひとりを失った。いまになって、あの事件によって失われたものの大きさが(遺族の方々の悲しみにはくらべるべくもないが)、ようやく実感できる。また、この「クライマーズ・ハイ」の主人公悠木和雅とその息子淳の間にある溝に、将来生じるであろう自分の息子たちとのすれ違いが予感され、心が痛む。18年前の自分だったら、ここまでこの小説が胸に迫って感じられることはなかったと思う(この小説のメインとなる新聞社内部のあれやこれやよりも、そういうところに目がいってしまう読み方は傍流かもしれないのだが)。
若い頃の読書はかけがえのない体験だ。でも年を重ねてようやくわかることもある。人生捨てたもんじゃない、と確信を得たい中高年世代に、特におすすめしたい。硬質な中にも甘さのある横山秀夫さんの文章を堪能されることと思う。
松田 美樹
評価:B
読後の評価が変わることはあまりないのですが、この本に限っては、すぐの評価はAAだったのが日が経つにつれAになり、結局Bに落ち着いたという、私の中では珍しい1冊。というのも、いい作品なだけに後から思い返すことが多く、もう少しこうだったらと欲が出て、評価が落ちてしまいました。
主人公は群馬県の新聞社に勤める記者。彼は会社の同僚と山登りに行こうと約束したものの、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落したため行けなくなってしまう、というところから物語は始まります。一昔前の新聞社が主な舞台になっているせいか、女性があまり登場しません。出てくるのは、新人記者、妻、娘、友人の妻、以前部下だった男の娘くらい。男性の登場人物たちが仕事や友情に情熱を傾けるバラエティあふれる人柄に描かれているのに対し、彼女達は型にはまった性格ばかり。どの人物にも魅力を感じません。ストーリー自体はとても面白いのですが、その点が気になりました。
三浦 英崇
評価:A
昭和六十年八月十二日。流星観測に来ていた僕は、夜空に飛び交うヘリと、繰り返される青年団への出動要請放送を、今でもはっきりと思い出せます。乗客・乗員520名の命が失われた日航機墜落事故。あれから、もう18年か。
凄惨な事故現場、不眠不休の救出作業、生存者の発見、遺族の悲嘆、涙無しには読めない遺書……新聞は、どの面も連日、事故報道で占められていました。この作品は、そんな数々の記事を生んた新聞記者たちの「熱い夏の一週間」を描いています。
「日航機」全権デスクとなった主人公・悠木は、友と挑戦するはずだった谷川岳の絶壁の代わりに、墓標と化した御巣鷹山への挑戦を、新聞報道という形で行うことになります。衝立岩に勝るとも劣らない凶悪な断崖(部内にも社内にも、家庭内にもある難所)に、幾度となく絶望しつつ、それでも登るのを諦めない悠木とザイルを結んで、420ページ。苦しかったけど、登るに値する「山」でした。