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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
日曜日たち
【講談社】
吉田修一
定価 1,365円(税込)
2003/8
ISBN-4062120046
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
一つ一つが独立した短編の集まりでありながら、5編全てに、一組の兄弟が絡んでくる。全ての短編が、仕事も恋もなんとなく一段落したような、人生の日曜日を迎えた登場人物が、その兄弟との出会いによって、人生を少しばかり方向転換したり、自分の生き方を見つめ直すストーリーである。ただ、最後は兄弟二人を主人公にした話だと期待したが、そうではなかったので、少々物足りなさが残った。もう少し、兄弟自身や、兄弟の父親、母親の内面も描写してもらいたかった。予定のない日曜日に、ソファで寝転びながら読みたい一冊。装丁も、水色に、紫と白のストライプの帯と、書店でも目立っていて、つい手にとりたくなる。私のお薦めは、「日曜日のエレベーター」と、「日曜日たち」。
桑島 まさき
評価:C
東京で一人暮らしを送る男女の5つの物語。無職の男、見ず知らずの若者2人に酒に誘われ金品を奪われた女、愛する女を失った父と息子、女に逃げられてばかりの男、男運の悪いDV被害者の女。自分の人生に降りかかった事情が「特別なこと」でも、読者にとってはよくある他人の事情。そのうち又新しい事件が発生すると忘れてしまいそうな。
5つの物語の主人公たちの人生にちょっとだけ交差する幼い兄弟。主人公たちにとっては「行きずり」の存在だが、兄弟はたこ焼きや寿司をもらったこと、道を丁寧に教えてくれた大人の親切を忘れない。“人生の被害者たち”ばかりに思える主人公たちだが、九州から飲まず食わずで母を捜すために上京したものの拒否され、父親に虐待をうけているこの兄弟に比べると、深刻度は極めて軽い。
主人公たちの人生がしんみりとしている分、終盤、兄弟の颯爽たる姿が浮かびあがってくる。直接人の人生に影響を与える訳ではないが、優しくしたりされたりして交錯する人々。物事がうまくいかなくても人を思いやる心を持っている人間の根源的な「善」をみた気がした。
藤井 貴志
評価:C
日曜日をキーワードにそれぞれ展開する5つのストーリーを、そこに登場する幼い兄弟のエピソードで貫くことで、5つの短編を連作の長編小説に化けさせている。いずれの主人公も東京でひとり暮らし。結婚や職場での地位といった“人生を安定させる存在”の手前で生きている。
恋人や父親との付き合いで各主人公が感じているもざらつきのようなものの切り口が、これまでの吉田作品と比べてもいまひとつとんがりに欠ける。お互いの裸をビデオで撮影し合う恋人たちのやり取りなど、コミュニケーションに熱くも冷たくもなれず、相手との距離感を上手に掴めない身近な存在が何パターンも描かれているが、こうしたぎこちなさの解釈も常識で思い浮かぶ域を脱してきれない。
とはいえ、それまでの4つのストーリーで積み上げられた小さな物語が上手に活かされている最後の物語で味わえた感動は救いだった。それまで脇役だった幼い兄弟の存在感を一気に高めることで、リレーの最後に至って物語の主従を逆転させるという仕掛けも見事だ。なお、初出は数か月おきのペースで文芸誌に掲載されたとのことだが、この5つの物語はそのくらいのスローペースでゆっくり味うほうがいいかもしれない。
古幡 瑞穂
評価:B
個人的にはどこかすっきりしないものが残る短編集でした。でも同時に強烈な印象も残る。ということはこれは個性のある本って事なんでしょうねぇ。5つの短編は、九州から家出をしてきたらしい幼い兄弟を軸にリンクしています。その兄弟は特段何をするでもなく、インパクトのあるセリフをしゃべるのでもなく、短編の主人公を勤める人物たちと絡み合ったりすれ違ったりするんだけど、最後まで読んでみてその存在の意味がはっきりわかるのですよ。だからもしこの短編集を読み始めたのだったら必ず最後まで読んで欲しいのです。あと、淡々と若い男女の日常が語られる中に、ひとつ間違えば強い毒になってしまいそうなユーモアがさりげなく挟まっているあたりにも、さすが芥川賞作家!という巧さを感じます。
あ、なんですっきりしないか今わかりました!ここに出てくる女の人ってやたらと男運が悪い人が多いんです…無意識に自分と照らし合わせて勝手に傷ついたんだな、きっと。
松井 ゆかり
評価:B
不勉強で恥ずかしいが、「パーク・ライフ」も「パレード」も未読である。時折見かける新聞や雑誌の紹介記事などから、吉田修一という作家はもっととんがった文章を書くのかと思っていた。こんなにぐっとくる小説を書くとは思わなかったぞ!最後の最後で泣かされました。
読みやすい文章で淡々と綴られており、30歳前後の男女の心の機微を描いてうまいなあと感心しながら読み進む。結局(アメリカの現代小説などにときどきあるように)、すーっと読めてもあまり後に残らないような内容なのかしら……という懸念もあったのだが、さにあらず。目をみはるようなオチなどはないが、読後感がさわやか。どんなに趣向が凝らしてあっても後味が悪いと感じる小説より、私は断然こちらを推す!
松田 美樹
評価:A
東京で一人暮らしをする若者5人を描いた連作長篇小説。医者志望の彼女がいる男や、付き合う女性にことごとく振り回される男など、いずれもこんな人って近くにいるかもしれないと思わされる5つのお話から成っています。
中でも3番目の「日曜日の新郎たち」が秀逸。結婚を考えていた彼女に事故死された主人公と、妻に先立たれた父親との微妙な距離感がいい!
男親と息子の、付かず離れずの距離を保ちながらも、心の底では繋がっている関係が上手く描かれていています。また、酔っ払いながら最後に言う父親の台詞が良くて、読み終わった後からじわじわと心に染みてきました。
吉田修一は今まで何冊か読んでいますが、何の気負いもなく、自然に彼の世界に入って行きやすいのが特徴だと思っています。手を伸ばせば届きそうな日常の中で起る出来事に、知らず知らずどっぷりと浸ってしまう心地よさ。時折ハッとさせられるラストシーンも一興です。
三浦 英崇
評価:C
特に所用がある訳でもない日曜日は、たいがいスポーツジムのプールで泳いだ後、図書館で本を借りて、その後、書店に寄って帰宅。夕食を待ちながら、借りてきた本の冒頭をちょっと読み始め、薄暗さに部屋の電気を付ける時、ふっと「ああ、明日からまた仕事かー」と思う。特別じゃない日曜日の終わりは、たいがいそんな一抹の寂寥感が付き物。
この作品には、年齢職業さまざまな男女の日曜日の寂寥感が描かれています。こんなにもたくさんの人がいる街で、何故かたったひとりで過ごしている心細さ。連作を通じて登場する幼い兄弟は、主人公たちの日曜日の過ごし方を象徴するかのように、途方に暮れています。それでも、周りの人々の親切を受けて、少しずつ明日へ向かっていきます。
明日は必ずしもいい日じゃないかもしれないけど、でも、いつかは、心淋しくない日曜日にたどり着けることもあるかもしれない。明日をちょっとは信じてみたくなる連作です。