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余寒の雪
【文春文庫】
宇江佐真理
定価 580円(税込)
2003/9
ISBN-416764004X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:B-
読了後の印象。「やっぱり杉浦日向子のほうがすごいなァ……」ひどい言い方だけど、実際そうなんです。マンガですけどね、あっちの表現法は。両者ともに江戸の市井の人々の生き方を書いている作家です。宇江左が「梅匂う」で書いた「見せ物小屋の女力持ち」なんか、杉浦も「百日紅」という作品で書いていたりする。つい比べてしまうんです。で、「余寒の雪」のほうにはほんとうにほんの少しなんだけれど、無菌的な清潔さがあって、それがどこか物語に作り物めいた印象を与えてしまうのです。全体に、登場人物の物わかりがよすぎるんですね。人間を書いていると言うより、理想像を書いている感じ。杉浦の作品は「江戸から現代に通じる窓」みたいですが、宇江左の作品は「現代人の作った絵空事」に見えてしまいます。もっともその清潔さを嗜好するのであれば別ですが。
延命 ゆり子
評価:A
浅草や両国を舞台にした、江戸の人々のあたたかさを描いた人情話の短編集。精一杯に生きて、恋をして、人に対する思いやりを忘れない、人生に真摯に取り組む主人公たちの姿を想像するだけで幸せな気持ちに満たされる。主人公たちの職業も小間物屋、両替商、染物屋、遊女屋などすぐにイメージできる定番のもので、感情移入しやすい。必ずハッピーエンドになるのも、読後感が良くて好感が持てます。中でも私のお気に入りは「あさきゆめみし」。女浄瑠璃、京駒の追っかけをしている染物屋の正太郎は仲間からも軽んじられている情けない男。しかし、その友達に京駒を盗られ、持参金のためだけに正太郎の姉と祝言をあげるということを聞き、とうとう堪忍袋の緒が切れた!正太郎が段々と成長してゆく姿が微笑ましい。
児玉 憲宗
評価:A
時代小説は嫌いな方ではないが、短編は初挑戦だ。うん、悪くない。
江戸時代は女性が生きていくうえで不自由さの多い時代だ。この時代を生きてきた女たちが描かれている。川の流れに身をまかせるように生きた者、流れに逆らい上流を目指した者。遊女屋から身請けされたお内儀、女浄瑠璃語り、女剣士など、さまざまな人のさまざまな生き方が清清しく描かれていて素敵だ。小説のなかでも、男は女の引き立て役でいいのだ。
鈴木 崇子
評価:B+
軽やかで爽やかな短編時代小説だと思う。すご〜く感動する訳ではないが、じわっと心に染みるような、そんな作品ばかり。「藤尾の局」の、大人しそうだが芯が強く腹の据わったお梅がよい。淡々とした語り口だけに、大奥でのエピソードや彼女の気の強さが引き立って印象的。「梅匂う」も、間抜けな我が身を自嘲しながらも不器用な一途さのある助松がなかなか魅力的。実はこういうのがほんとの男らしさ?なんて思ってしまうのだが。「余寒の雪」も設定にひとひねりあって面白かった。その上、俵四郎は地味だけど度量があっていい男。女剣士、知佐にはそのまま突き進んでもらいたい気もしたが…。いやいや、あれでよかったのだと思わせてしまう自然な流れ。
さまざまな境遇にある人々の、それぞれに微妙な心の綾を描いて、湿っぽくも暗くもないのがいい。この人の本、もっと読んでみたいと思った。
高橋 美里
評価:B+
江戸時代の男女の心模様をしっとりと、描いた短編集。身分や立場は違えど、その心は変わらず読んでいて気持ちのよい作品たちでした。なかでもオススメは表題作の「余寒の雪」。女剣士として生きていくことを望みとした知佐。江戸の道場見学を楽しみに仙台から出てきたにもかかわらず、その本当の理由は娘の行く末を心配した両親の決めた祝言だった。
夢をみて江戸へきた知佐が本当の理由に気がついたとき、彼女はまた一歩大きくなるのです。
時代小説はあまり読みません。(もっぱら読むのは時代ミステリが多いのです)短編であるが故に1つ1つをじっくり味わうことができ、本当に心を打たれる作品でした。
中原 紀生
評価:A
昔、藤沢周平の短編にぞっこんだったことがあって、こんど初めて読んだ宇江佐真理の七つの短編は、あのすぐれた世話物時代小説に特有の深く濃く香り立つ匂いや、滋味深くて爽快な味わいを久しぶりに思い出させてくれた。でも、これは当たり前のことだけれど、そこにはくっきりと藤沢節とは違う宇江佐真理の個性が刻まれていて、それは中村彰彦さんが「解説」で紹介している「女性ならではの繊細さ」という評言が、大雑把ながらも言い当てようとしているものと同質であるように思う。たとえば仙台の女剣士・知佐が、騙されて同居することとなった北町奉行所同心・鶴見俵四郎宅で、五歳になる松之丞との交情を深め、やがて俵四郎との真剣勝負を経てその後添いとなることを受け入れる一部始終を丹念に淡々と綴った表題作「余寒の雪」などは、読み終えて気持ちが清々しくなる絶品で、その丁寧な筆運びのうちに、情感の襞に分け入りながらもこれをそっと事物、言動に託して描写する「繊細さ」がいかんなく発揮されている。
渡邊 智志
評価:B
女性的な歴史モノだなぁ、という感想を持ちました。描かれているのは現代の身近な家庭像です。あまりにも現代的に過ぎて、滑稽さを通り越して新喜劇やコントみたい。にもかかわらず、適度な安心感を持って読むことができる佳作だと思います。身近過ぎていちいち気も止めないような材料を引っぱってきて歴史モノに放りこむという作術を女性的だと感じたのでしょうか。史実に虚構を挟むタイプの歴史小説は、ある程度客観的な羅列描写で年表的な史実が描かれている方が小説世界にのめりこみやすいと思っています。入り口として事実の描写があって、ここから先は虚構ですよという明示的な「門」がある。大嘘にしても小嘘にしても小説という嘘を楽しむつもりの読者にとっては、門をくぐりぬける儀式があったほうが安心できると思うのです。導入部や結末で史実にむりやり馴染ませてさらりと終わっている作品が多いのも読みやすく、短編として正しい手法だと思います。