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鳥人計画
【角川文庫】
東野圭吾
定価 580円(税込)
2003/8
ISBN-4043718012
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:B+
実はミステリーってあんまり好きじゃないんです。謎が解けることに快感を覚えない性質なせいもあるのですが、なにより毎度人が死ぬのが嫌で。ホラー映画では人間ははらわたをぶちまけるために存在する、って言うけれど、ミステリーにも殺されるために人が存在するようなとこがあるでしょう。あれが苦手なんです。でも、東野圭吾は割と好きです。この人は、いい意味で登場人物の利用の仕方を心得てる気がする。だからこそ、作中でも人間の心理に踏み込みすぎない。それ故に、嫉妬や激情、挫折感を書いて、さらにそれをミステリーの構成要素にしているのに嫌な感じがしないのでしょう。「鳥人計画」ではスキーのジャンプ競技を巡って、事件が展開します。謎解きだけでなく、競技の様子がさらりと、しかし緊張感を持って書かれていて楽しかったです。被害者の楡井が魅力的で、脳裏に広がる銀箔の風景に栄えてました。陽気な天才を書くのは難しそうなのに、すごいです。
延命 ゆり子
評価:C
ジャンプ競技の第一人者楡井が競技場で毒殺された。犯人は最初から明らかにされているのだが、犯行の目撃者は誰か、犯人の動機は何か、アリバイやトリックの謎、ドーピングの謎、前兆とは何を表しているのか……などなど見所満載。ジャンプ競技の事情やドーピングの実態などもふんだんに盛り込まれ、ついつい期待しすぎてしまったのだろうか。最後の結末に唖然呆然。意外……というよりも無謀な結末ですぞこれは。犯行には楡井の性格が大きく関わってくる。楡井は天真爛漫、躁鬱病の鬱がない状態の人間だと評される。何をするにも邪気がなく、それでいて何でもソツなくこなすので、周りから反感を買うタイプだそうだが、それにしてもわからないのが楡井の最期の行動だ。いくら犯人が××だとわかったからって、×を××たりするかフツー?(ネタバレを避けるため伏せ字にて。こうするとちょっとエッチな文章に思えてくるから不思議です。)伏線が多すぎてやや風呂敷を広げすぎた感あり。もっとポイントを絞ってある方が読みやすいのではないかと思いました。
児玉 憲宗
評価:B
東野圭吾さんは本作品のような長編の方が好きだ。それぞれの人生が交錯することで生み出される人間模様はいつも味わい深く、いくつもの伏線に気づくたびに感服の驚きを繰り返す。こういった妙味は長編作品でこそ威力を発揮するというものだ。
殺人事件の犯人がいきなり逮捕されるという展開にまずびっくり。犯人は留置所の中で、完全犯罪のほころびに推理を巡らせ、警察は捜査を重ねながら動機を推理する。両方の推理がやがて「意表をついた結末」と呼ばれるK点に到達するのだ。わたしの推理を何度も覆しながら。
鈴木 崇子
評価:B
スキーのジャンプ競技にまつわるミステリーなのがまず新鮮。そして、技術的なことも表やグラフを使って詳しく描写されているのに驚く。入念な取材のあとがうかがえるのだが、こんなに詳細に解説されても素人には理解できないのがもったいない。さらに早い段階で犯人は明かされるのだが、動機は謎のまま。その上犯人を密告した人物を犯人自身が推理したりする。ラストまで二重三重の仕掛けがほどこされていて、いろんな点で意表をつかれた。
しかし、違和感を覚える点もいくつか。明かされた動機や真相がけっこうウェットなところ。ぶっとんだキャラクターの天才ジャンパーに隠された、慎重で繊細な一面も意外な感じ。きっちり計算されたストーリーとの間にギャップを感じた。
高橋 美里
評価:A
帯、カッコイイです。まず、目に入ってくる「彼は鳥になるため、人の心を捨て去った。」。今月一番初めに手にとった本です。
日本ジャンプ界のエースである楡井明が毒殺された。死因はトリカブトによる中毒死。犯人はコーチである峰岸、しかし彼にはアリバイがあった。動機もなく、警察は峰岸を疑いもしなかったが、ある日警察に一通の手紙が舞い込んだ。その手紙は峰岸が犯人であることを告げていた。
逮捕された峰岸は、「誰が」その手紙を書いたのか、を留置所で推理しはじめる。その背景には、ある計画があった。
設定が見事です。探偵=密告者。その描写といったら読み終わるのがもったいないと思うほどに。スポーツを扱うミステリは私の知る限りでは多分多くない。そんな中でも、秀逸な作品です。
中原 紀生
評価:B
和製ニッカネンと評された若き天才ジャンパー・楡井が恋人の目の前で毒殺される。直後、コーチの峰岸のもとに「自首しなさい」と手紙が送りつけられ、警察にも「(峰岸を)即刻逮捕されたし」と認められた告発状が届く。こうして、読者の関心は誰が殺したのか(フーダニット)からなぜ殺したのか、いかに殺したのかへ、そして誰が密告したのかへと微妙にずらされていく。その過程で暴かれるサイバード・システムの秘密。それはサイボーグとバードを組み合わせた語で、科学力を駆使した天才ジャンパー養成システム、つまり鳥人計画のこと。このグロテスクなまでに非人間的な企みを軸として、野心と打算、愛憎が織りなす危うい均衡の上に物語は進む。緊密な伏線と絶妙なトリックをしかける達者な筆。しかし、最後に明かされる「真実」がやや技巧的で説得力に欠ける。人間感情の陰翳をめぐる書き込みが足りない。
渡邊 智志
評価:A
いまや当然の姿になったV字ジャンプ以前のニッカネンが最高峰だったころの作ですから、もう古臭くなっていて読むに耐えないだろうと期待せずに読み始めました。…やられた。こりゃスゴイ。事件の真相・真犯人や“新”真犯人の出現・アリバイ工作やトリック崩しなど、小説に散りばめられた材料そのものにはさほど魅力はありません。それどころか、動機とされている“殺さねばならないと決意するほど追い詰められた気持ち”についての説得力は弱く、読者としては到底納得できるものとはいえません。それでもなお小説として頭抜けていると感じる圧倒的な描写。科学的な正確さを保ちながら様々なものを創作し、虚構部分で読者をつまづかせない緻密な計算。うーむ、巧い。最近はパチスロの不正行為として低周波治療器が使用されているのですから、ここで描かれているものはけっして的外れではないし、罰の与え方さえ修正すれば人道的にも問題なく実現可能ですよね?