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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
HELP!
【光文社】
久美沙織
定価 1,470円(税込)
2003/9
ISBN-4334924069
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
なんなんだこれは。小説か、はたまたライトエッセイか。架空の地・下九一色村を舞台に、牧場主と搾乳ヘルパーたちによる非日常的生活を描く一作。登場人物は、どこか変わっていながらも、突き放せない魅力がある。BSEなどの現在の社会問題を扱いつつも、ストーリーはアップテンポに仕上げてある。作中に、「BSEで人に感染する確率はほとんどゼロで、煙草で肺ガンにかかったり、交通事故で死ぬ確率よりもはるかに少ない。なのに、牛肉だけがこんなに買い控えられるのか」という台詞が出てくるが、まさにその通りだと思う。
農業や牧畜に再び脚光が当てられているこの時代。あなたも「HELP!」を読んで、第一次産業に目覚めてみては?下九一色村なら、毎日を刺激いっぱいに過ごせること間違いなし。私のお薦めは、「I need somebody」と「I`m feeling down」。通勤電車や、急にぽっかり時間ができたときに読むと、元気がでること間違いなしの一冊。
桑島 まさき
評価:C
「HELP!」という題名、でかでかと描かれている牛の写真…うう、またもや牛が悲鳴をあげているのでは…? BSE問題が世間を騒がせた途端、何故牛が狂ってしまったのか、その原因を探るノンフィクションが多量に出版された経緯を思い心配になったが、すぐに杞憂に終わった。実存しない下九一色村の個性的な住民たちが引き起こすいくつかのエピソードをユーモアたっぷりに描いた痛快コメディーだ。電車の中で柔らかい製本の本書を片手に、クスクス笑いながら読了できるだろう。ユートピアのような村の愉快な人々の連帯感が心地よく読後感は爽快。
しかし“ユーモラスな小説”を成立させているのは、搾乳ヘルパー業、ミルキングシステムなど、私たちが知らない現場の厳しい現実を緻密な取材によって構成させているからだ。屠場によって解体された牛がどのようなプロセスを経て、スーパーの精肉コーナーに並ぶのか、マクドナルドのハンバーガーに化けるのか、という仕組みを知らないように。いまだ私たちをハラハラドキドキさせるBSE問題をチラつかせる作者の目のつけどころに評価したい。
藤井 貴志
評価:C
『HELP!』は元気のいい小説だ。富士山麓の下九一色村を舞台に、村の人々と牛たちが痛快で人間味あふれるドラマを演じている。それにしても、小説全体に漂うこの元気のよさはどこから来ているのだろう……?
わかった! 『HELP!』に登場する人たちは、全員“ハイテンション”なのだ。村で暮らす酪農家の人々だけではない。ちょっとしたトラブルで村に迷い込んでしまい、村にBSE騒動を引き起こそうとする若者たちはもちろん、人生に絶望して青木が原の樹海で自殺を図ろうとするサラリーマンまで、そう、だれもがいずれ劣らぬハイテンション野郎なのである。
このノリはまるで新喜劇である。ちょっとした出来事にもみんなが一丸となってぶち当たる姿が、時には笑いを、時には切なさを感じさせる。心にずっしり響くものはないが、喜怒哀楽のメリハリがきいた読後さわやかなドタバタ活劇である。
古幡 瑞穂
評価:B
山梨県の下九一色村(どこかで聞いたことのある名前でしょ?上と下とで対になっているんだなぁって信じちゃうとこでしたよ。)を舞台に繰り広げられるスラップスティックコメディなんですが、主人公が搾乳ヘルパーという今まで聞いたこともなかったような職業の方なのですよ。要は乳牛を育てている農家の乳搾りをお手伝いする仕事なんですって。
のっけから殺人計画を練る地元の人々が出てくるので、きな臭い話かと思いきや、天真爛漫な装幀を裏切らない明るい事件が盛り沢山。しかも徳川埋蔵金やらBSEやら青木ヶ原での自殺騒動やら、地の利と設定を活かした事件が多いのが特徴です。記憶に残るかどうかは別として単純に楽しめます。なによりも搾乳ヘルパーと牧場の生活を学ぶにはぴったり。学んでどうするのって言われても困るけど…ちなみに私はこの本を風邪で寝込んだ日に読んだのですが、そんな心細い時にはぴったりの作品でした。
松井 ゆかり
評価:C
最近の若者に当てはまるのかどうか知らないけれども、私が10代だった頃、女子中高生が読む本といえば、コバルト文庫か赤川次郎と相場が決まっていたように思う。久美沙織さんは、その綺羅星のごとき「コバルト」スター作家の中でも三本指に入る売れっ子だった。そう言いつつ、久美さんの本を読むのはこれが初めてなのだが(当時コバルト系では氷室冴子さんと新井素子さんを追いかけるので手一杯だった。おふたりとも多作だったし、私は現在よりもはるかに本を読むペースが遅かったので)。
さて、この「HELP!」、こう言われて久美さんがうれしいかどうかはわからないが、往年のコバルトテイストを感じさせてくれる一冊だ。登場人物たちにとっては深刻な悩みも、読者からみればのんきな悲喜こもごも。搾乳ヘルパーという職種には意表を突かれたが。
松田 美樹
評価:B
久美沙織がコバルト文庫で少女小説を書いていた頃から読んでいる私にとって、この人の作品はキャラクターがいつもきちんと確立されてるなあと思います。すんなり世界に入ってすぐに理解ができるのが特徴でしょうか。
表紙は、黒ぶちの牛を下からのアングルで撮っている写真。追い討ちをかけるように、帯には「良い乳(ミルク)だすわよ。」とあります。書店に並んでいるのを見た時は、何の話だ?と頭に疑問符がたくさん浮かびましたが、「搾乳ヘルパー」という耳なれない人たちが主人公のお話です。殺人事件あり、狂牛病騒動ありと、平和な下九一色村を次から次に襲う楽しい(?)毎日を描いています。読んでいるうちに、搾乳ヘルパーという仕事にも詳しくなれます。なーんにも考えずに、ぽんっとこの世界に入っちゃって下さい。
三浦 英崇
評価:D
牧牛。横浜生まれの横浜育ち、先祖代々田舎無しな私にとって、牧牛とはすなわち「野辺山の電波天文台のところで、もそもそ草を食んでる巨大な白黒ぶちの生き物」であり、なかなか親しくなるきっかけもなく三十幾年が過ぎました。
今回、この本を読んでゆくにつれ、牛と牧畜について、少し詳しくなったような気がします。なにしろ、主人公(?)の砂子田寛からして「搾乳ヘルパー」ですし。最初はこの「搾乳ヘルパー」自体がよく分からなかったですが。詳しくは本書参照。
のどかな牧畜村で起こる、とんでもない事件の数々……という売り文句の割には、起きている事件は、あまりにもあっけなくケリがついていたり、気が付くと自然解決していたりと、ミステリを期待する向き(自分自身含む)には、正直、肩すかし気味です。でも、著者がこの本で書きたかったのは、そんな「とんでもない」事件の顛末ではなく、その事件に一時は動揺しつつも、柔軟に対処してゆく村の人々のたくましさなのかな、と思いました。