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山ん中の獅見朋成雄
【講談社】
舞城王太郎
定価 1,575円(税込)
2003/9
ISBN-4062121131
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:C
背中に髭を持つ最速男・獅見朋成雄。彼は、背中の髭を見られることが嫌で、陸上をやめたものの、剃ってしまうと逆に心が不安定になってしまう。彼の書道の師・モヒ寛に危険が及び、師を助けるために森の中に入り込むが…。この小説では、独特な擬音語が多用されている。たとえば、毛を剃る音が「しぞりりりりんに しぞりりりりんに」。墨を磨る音が「せかりきんす せかりきんす」。これこそが舞城王太郎の感性なのだろう。又、女体盛りを思わせる「ヒトボン」についても、かなり書き込まれている。ただ、背中の髭が何の隠喩だったのかいまいち分からないままだったのが、残念。感性で味わう小説だと思うので、実際ご一読することをお薦めします。
桑島 まさき
評価:C
お話をオカシク語る名人がいるように、作者は〈語り口の巧さ〉でグイグイ読ませる。〈獅見朋成雄〉変な名前だ! 〈背中に鬣ににた毛が首の後ろから両肩に伸びて腰にかけて逆三角形を作るようにして生え広がっていた〉祖父、父、そして孫である〈僕〉=〈成雄〉=〈ナルオ〉。不気味な一族か! ナルオは異様なルーツ、獣のような外見を恐れ〈人間的〉であろうとする。
作家、坂東眞砂子が自身のルーツである高知を舞台に土着性のある物語を展開したように、舞城王太郎も又、福井を舞台にした物語を構築する。福井県、西暁の中学生ナルオは、書作家で相撲と茶道に熱中する変なオヤジ、モヒ寛に弟子入りするため山に入る。ふとしたことから異界に入り込み冒険の数々を経験していくのだが、その世界はさながら神話的世界。鬣をそられツルツルになった途端、機会があるたびに人を殺し獣みたいになっている自分に気づいていく。鬣と〈人間的〉はセットであったはずなのに…。
長ったらしい文章が読者に廻り道を強いるが、なんのことはない、ナルオのアイデンティティーの確立を描いた小説だ。
古幡 瑞穂
評価:B+
正直言って舞城作品はは苦手です。ファンは熱狂的だし、難しくてどう読んでいいのかわからないし…でも今回は肩肘張らず難しいことを考えずに感じるままに読んでみました。彼の作品を全て読んでいるわけじゃないので偉そうなことは言えませんが、今までと比較するとぶっ飛び感が減って随分とわかりやすくなってきたなぁという印象です。
背中に毛の生えた成雄くんの冒険譚。山の中から入り込んだ別の世界(?)で彼がいろんな事を経験するんですが、その設定はどこか『千と千尋の神隠し』を思わせます。あちらの世界では千尋ちゃんとは比べものにならないディープな経験をしてくるのですが、彼が実際にそれに触れてどう感じたかということはそれほど詳細に語られていません。しかしやはりこれは彼の成長物語なのです。私にとってはストーリーより、五感をフルに活用するモノのとらえ方が強烈でした。墨をするときにしゅりんこきしゅりんこきって音がするんですよ。それが一番心に残ってます。
松井 ゆかり
評価:C
舞城王太郎。何をさておいても「ペンネームだろうな」と思わせる名前だ。有栖川有栖とか清涼院流水とか嶽本野ばらとかと同じカテゴリー。
さて、「山ん中の獅見朋成雄(これも作者には及ばないがデコラティブな名前だ)」を読み終えたいま、私は混乱している。何ですか?これは。そして帯に目を落としたため、さらなる混乱に見舞われる。「最強の純文学」という文字。純文学なのか!?これは。
まあ、そもそもジャンル分けにどれほどの意味があるのか、というスタンスもありなわけだ。強いて言うなら「幻想文学」とかに近いかなと思ったが(といって「ネバーエンディングストーリー」などを思い浮かべられると困るんですけども)。「ハンニバル」からミステリー的要素とサスペンス色を80%ずつカットした感じ。なんかとにかく、ぶっとんだ本を読んで翻弄されたい人におすすめだ。
松田 美樹
評価:A
いやー、変わったことを考えつく人がいるもんだ、というのが読後の感想。最初は、才能ある好青年が人生を切り開いて行くっていうストーリーかなって思いながら読んでいたのが、途中から「異世界」が少しずつ流れ込んできて、「何だ?」と思っているうちに、主人公(獅見朋成雄)は何の躊躇もなく「異世界」に行ってしまうし、突拍子もない行動に出るしで、どんどん違う世界に飛んで行く話に付いていくのが大変でした。難点は、ラストシーンがちょっと説明不足なこと。対立する2人の言い分がよくわかりませんでした。
舞城王太郎は初めて読みましたが、いつもこんな感じなんでしょうか。ちょっと癖になりそうな独特の味わいがある作家です。今まで全然気が付きませんでしたが、他にも何冊か出版されているようなので、遅蒔きながら注目の作家の1人となりそうです。
三浦 英崇
評価:C
日本に限ったことじゃないですが、神話には殺戮と性が豊穣に、いやむしろ過剰に溢れかえっている印象があります。あまりにもあっけなく惨殺されたり陵辱されたりする者たちの描写に「おいおい、それじゃ身もフタも無かろう」とツッコミを入れるのは、そういう物事に慣れていない現代人のヤワさなのでしょう。
この作品は、現代を舞台にしているにもかかわらず、読者を否応無く神話の国へとひきずりこんでしまいます。主人公・獅見朋成雄は、高天原を騒がせたスサノオノミコトのように、魂の趣くまま「荒ぶる神」と化してゆきます。その遍歴を描く文章の勢いは、慣れていないと酔いかねないほどの迫力です。
理性に働きかけるのではなく、人がふだん、できるだけしまっておこうとする野性を、直に揺り動かそうとする作品です。言霊が力を持っていた古代世界を、今、ここに現出させようとしている風に感じられました。嫌な人は、徹底的に嫌がるだろうなあ。