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根府川へ
【筑摩書房】
岡本敬三
定価 1,890円(税込)
2003/10
ISBN-4480803726
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:C
ひとつひとつが独立した物語になっていながら、三作それぞれの主人公が、前の作品での主人公の状況を引き継いでいる。三つの短編としても、三部作としても読める小説。主人公の境遇は、リストラ、離婚と世間一般では不幸という部類に括られる立場にある。しかし、淡々とそれがさも普通であるかのように物語は進んでいく。特にお薦めは、タイトルにもなっている「根府川へ」。職業が詐欺師と言いながらも、無銭飲食にも心を痛める小心者の主人公と、少しお茶目な叔父のやりとりがほのぼのとさせられる。作者の経歴と、主人公の経歴に被るところがあるので、作者の自伝的小説なのかもしれない。加藤氏の解説で、この著者が書きたかったこと、言いたかったことが論理的にまとめられているので、解説も必読。
桑島 まさき
評価:B
表題作「利府川へ」他、「日々の余白」と「無言歌」を収録した連作集。「日々の余白」の主人公、〈八木さん〉は、「利府川へ」では、〈おれ〉となり、「無言歌」では、〈ぼく〉と形をかえ、リストラ、離婚、身近の人の死など哀しい出来事と遭遇するが、グチる訳でもなく飄々と日々を受け入れる。
「あなたにとって忘れられない人や言葉とは」と聞かれたら返答に困るだろうが、なんとなく思い出すモノってないだろうか? 強力なインパクトを与えるわけではないが、心に残って離れない作品。そういうものは存在する。〈八木さん〉や〈おれ〉や〈ぼく〉がさりげなく吐露する心情や言葉がまさにそうだ。主人公だけではなく、登場人物のそれぞれがしみじみと余韻を残すセリフを吐くのだ。人生を知っている人たちの偽りのない言葉はやんわりと心に染みわたる。
極力漢字を使用せずひらがなを多用しているせいか全体が簡潔に読める工夫をしている。読み返すたびに味わいが増す純文学だ。
古幡 瑞穂
評価:A
こういう話を好きだと書くとまたもや「心はすっかりオヤジですね。」などと言われそうですが、“世知辛い世の中だけど、今日もそれなりに生きている”といったような、どこか飄々としたこの短編集の空気は癖になりそうです。全編通してどことなく乾いています。でもそれはハードボイルド小説にありがちな渇きではなく、天日に干されてかさかさしてきたような感じ。かさかさしているんだけれども、これまでの人生でたっぷり太陽の光を浴びてきたから近づくとちょっと暖かい。
老年期にリストラされて……なんてストーリーの小説にはやさぐれたサラリーマンがつきものだけれど、ここに出てくる人たちはそこを突き抜けちゃっている感があって、日々の暮らしに疲れてしまっている人を「もうそんなことどうでもいいんだよ。」と包み込みつつ突き放してくれそうです。
ちょびっとインパクトには欠けるけれど、じんわり心に残る小説でした。
松井 ゆかり
評価:C
この本の第一印象は、題名・装丁・作者名すべてが筑摩書房っぽいなあ、ということだった。で、実際読んでみたら、ほぼ印象どおりだったのだが…。うーん、何だろうか、このかすかに感じられるちぐはぐな感じは。
基本的に全編枯れた雰囲気(主人公の妻の名がおせんさんっていうのもすごい)で、現代の中高年にもやっぱりこんな人っているの!?という感じなのだが、時折唐突に妻への欲求を募らせてみたり、会社への憤りをあらわにしてみたりと、妙に生々しい面もある。これがちぐはぐ感の原因だろうか。
それにつけても驚くのは、作者の岡本敬三さんが(今月の課題図書にも名を連ねる)矢作俊彦さんや山田正紀さんと同じ1950年生まれだということである。53歳まだまだいくぜ、といった強力なオーラをお持ちのおふたりと違って、こぢんまりとした佇まいだ。いや、決して悪い意味で言っているのではない。時折垣間見られる前向きさはいいと思う。ちょっと身につまされそうだけど、仕事だ何だでお疲れの方によいかもです。
三浦 英崇
評価:C
仏教用語に「諦観」という言葉があります。最初に見た時には「諦」の文字につられ、あきらめてしまうことなのかなあ、と思ったのですが、この言葉の真の意味は「明らかに真理を観ること」なのです。この作品を読み、ふと、二つの意味を持つこの言葉を思い出しました。
どんなに頭を鍛え続け、身体に気を配り続けたとしても、着々と忍び寄る老いに打ち勝つことができる人間はいません。老いが、避け得ないものであるならば、その気配を感じた時に、どう対処してゆけばいいのか。この作品の主人公たちに共通する点があるとすれば、老いを克服しようとあがくのではなく、老いを受容してゆこうとする姿勢だと思います。
今、この作品を読み終えた季節は晩秋。秋から冬へと変わりつつある中、人生を「諦観」した人々の姿をかいま見て、老いとどう付き合うべきなのか、つくづく考えさせられる作品でした。