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瑠璃の海
【集英社】
小池真理子
定価 1,785円(税込)
2003/10
ISBN-4087746623
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
何不自由なく暮らしていた萌は、バス事故で最愛の夫・孝明を失う。その夫の告別式で、人目もはばからず泣く若い女性を見て、生前は全く疑ったことのなかった夫の女性関係に疑念を抱くようになる。それと同時に、同じバス事故で娘を失った、小説家の石渡遊作と惹かれあうようになり…。
完全に女性の目線から見た恋愛小説だった。遊作の行動についても、全て萌の視点から描かれているので、遊作の性格を掴みきることができなかった。男の視点からも書き込んであれば、もう少し遊作にも共感が寄せられたと思う。衝撃の結末のキーワードは、題名にもなっている「瑠璃の海」。一人一人にとって、幸福の形は違うのだと、この小説で学んだ。小池真理子氏が女の欲情を描ききった、じっくり味わって読むことをお薦めする極上のラブストーリー。
桑島 まさき
評価:B
読んでも読んでも小池真理子の作品は読み尽くせない。次々と作品を発表する量産作家だから。しかもその殆どが長篇ときている。不謹慎な言い方だが、作家が死なない限り、恐らく小池作品を読み尽くすことはできないだろう。
さて、本作は「死」がキーワードになっている。愛する者を同じ不慮の事故によって失った男女。二人はそれぞれの死を接点として知り合い、惹かれあい、やがて男女の関係に陥るのだが、肉体的に深く結ばれる二人の間には常に〈喪失〉の気配が漂い、〈再生〉の匂いは感じられない。お互いに障害がない二人なのに、再び人を愛し前向きに生きていく希望が微塵も感じられない。
しかし二人は、単に孤独を埋めるためにだけ濃密なセックスに溺れているのではない。ひと目を忍ぶように二人で平戸を旅するシーンは、死を肯定する気は毛頭ないが、“その”選択を否定する気にはなれない。「失楽園」なみの性描写が目立つが、単なる「情事小説」とは一線を画し、愛(性)と生について、男女の結びつきや精神世界についての考察を強いられる作品だ。
藤井 貴志
評価:C
多くの人が、数年前に大ブームとなった“あの作品”を連想するだろう作品。オビに「究極の愛の道行き」とあるが、究極の愛はある種の禁を犯すところから芽生えるのか思えば“あの作品”はダブル不倫だったし、本作の主人公である萌と遊作は不幸な事故で愛するものを失った遺族同士という間柄。こうして出逢った2人は関係が深まるにつれ、徐々に世間の枠組みからはみ出していく。萌は仕事を辞め、純文学作家である遊作は小説が書けなくなりポルノ作家になり果てる。こんな2人が寄り添いながら物語は終末を迎えるのだが、ここでも“あの作品”の存在が頭をよぎる。ただ、遊作の言動が死を予感させるタイプであたっせいか、ラストシーンに至っても「お、いよいよお約束の場面だな。どう描くのかな?」という感じでしかなかった。肝心の終末の描写も思いのほか淡白な印象を受けた。作者はもっと書ける人だけに少し残念だ。
古幡 瑞穂
評価:C
むぅ。小池真理子さんの作品は大好きなのですが、どうも今回はいただけなかったなぁ。
なんたって結末が想像出来てしまうのです。まあそうはいっても、問題はそこに至る過程だよなぁと開き直ってはみたものの、それもどうも納得しづらいのです。
「いや、あんたたち、大人なんだからさあ、激情にかられて恋に落ちるのは良いとしても、ちゃんと世間と折り合おうよ!」って突っ込みたくって仕方がない。そういう意味でこの話は恋に落ちる話ではなく、堕ちていく話だという事がわかります。それがわかってもそこに行く課程と堕ちる必然性が納得できないのよねぇ。その原因は二人の関係にあまり障壁がないということなのかしら?
と、ここまで書いたところで“純粋に人を愛する物語”にどっぷり浸ることの出来ない自分のすさびっぷりを思い、暗澹たる気分になったのでありました。がっくり。
松井 ゆかり
評価:C
私も結婚して10年になる身なのだが、小池真理子さんが描く人妻像とはかけ離れている。冥王星くらい遠い。まして著者ご本人とは。才能と美貌を兼ね備えた恋愛小説家(おまけに夫は藤田宜永氏)。小池さんを女性のスタンダードとすることになったら、私は男に分類されるかもしれない。
このように常に畏敬の念を抱きつつ小池作品に接してきたが、「瑠璃の海」にはストレートに心に響くものがあった。
やはり文章の美しさに感銘を受けたのか、と思う。読みやすい文章、わかりやすい文章、おもしろい文章などいろいろあるが、美しい文章だなと意識させられることはそうない。
それでも、この結末を肯定する気にはなれなかった。バス事故が原因で愛する家族を失い、皮肉にもそれによって結ばれた主人公たちのとった行動を、なんとか理解することはできても、受け入れることはできなかった。かなしい。
松田 美樹
評価:C
高速バスの事故で夫を亡くした萌と娘を亡くした遊作の甘く、苦しく、せつないラブストーリー。
「死」に向かわずにいられない恋愛って何なのか? そういう答えしかない恋愛が私には考えられないので、遊作の「このまま生きていても醜い姿をさらすだけ」という死ぬ理由がわからないのは勿論のこと、萌の「幸せだから一緒に死ぬ」って考え方は理解の範疇を越えてしまいます。借金が嵩んでどうしようもないとか、2人の関係を周囲に反対されてとかだったりしたらわかりやすいんですが、この2人はそうではありません。恋愛なんて当人同士で完結しているものなので、いいのかなとは思いますが、周りから見た2人があまり描かれてないので、客観的な2人の状況がよくわかりませんでした。もっと、第3者を出すことで、2人の立場を描写した方がどんどん終末へと進んで行く感じが出たんではないでしょうか。萌の同僚や遊作の元妻は出てきますが、とても影が薄いです。彼女たちの視点もあると良かったなと思いました。
ただ、恋が始まるまでの危うい緊張感の描き方はさすが。ぴーんと張り詰めた糸の上を絶妙なバランスで渡っているようです。
三浦 英崇
評価:B
書評を始めてみて気付きました。私にも、苦手なジャンルがあるということを……例えば、この作品のような大人の恋愛小説。
私の場合、本を読む時、ストーリーそのものに乗っかりながら、同時にいろんなことを想起していることが多いのですが、この作品の場合、そういう頭の回転が抑制され、読書に専念せざるを得なかったです。思いっきり感情移入した結果、話に入り込んで他のことを考えられない、というのではなく、主人公・萌と、彼女が愛してしまった運命の人・遊作との、あまりにも濃厚な恋愛を見せつけられて、蛇に魅入られた蛙のように、麻痺してしまって身動きならず、といった心理状態に陥らされたのでした。
正直言って、周りすべてを拒絶して二人だけの愛の世界にどっぷり浸っている様子に、いささか居心地の悪さを感じざるを得なかったのですが、そういう感覚を引き起こすだけの筆力には感嘆しきりでした。もっと免疫つけなきゃダメですか。