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風転
(上・中・下)
【集英社文庫】
花村萬月
(上)定価 720円(税込), 2003/09, ISBN-4087476146
(中)定価 760円(税込), 2003/10, ISBN-4087476251
(下)定価 700円(税込), 2003/11, ISBN-4087476375
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
池田 智恵
評価:C
小説家の息子である主人公の少年は、ある日不幸な誤解の積み重ねで父を殺してしまう。そこで、偶然知り合った逃亡中の元ヤクザとツーリングの旅に出かける。ヤクザとの様々な経験を通して、頭でっかちだった少年は次第に成長してゆくが……。花村萬月って単純だなー、とつくづく思った。本当にこういう風に人間という生き物を見ているのか、小説の名を借りた中年のお説教だから単純な人間が出現するのかは謎だが、純文学のヒトとは思えない。「親殺すより、体動かした方がイイよ」と、いうのは正しい。けれど、それでは解放できない感情を書くのが純文のヒトの仕事だと思っていた私は、この単純さにびっくりした。それとも、純文の人だから、その一般的な正しさを珍しがるのだろうか?でも、この人の甘ったるい女性の書き方と併せてみると納得できないこともない。マッチョなんだよなあ、つまりは。
児玉 憲宗
評価:AA
この作品には不規則なリズムがある。重厚で力強く、ローギアのような。たとえば、鉄男から放たれる言葉はこんなリズムだ。また、勢いはあるが危なっかしいトップギアのようなリズム。ヒカルについて描かれている場面はまさにこれだ。弱者たちが精一杯生きる様が力強いって、どういう意味だ?そう感じたのだからしかたない。
物語の展開は、暴力的な直線コースや文学的なヘアピンカーブを経て、容赦なく激しいスリルを味わせてくれたうえに、哲学的なゴールへと導いた。今年、屈指の感動がここにあった。
鈴木 崇子
評価:A
一度読んでみたいと思いながら、今回初めて読んだ花村萬月。父親を殺してしまった少年と大量殺人で追われるヤクザの、バイクでの日本縦断の逃避行。ストーリー、セリフまわし、登場人物など、安易で陳腐で青臭い。でも、それを上回る面白さと迫力がある。いろんな要素が盛り込まれた作品だが、バイク小説としても面白かった。 (たまたま自分がバイクに乗ってるので)バイクやツーリングシーンが出てくると無条件でワクワク、点数も甘くなってしまう。ライダーならではの躍動感のある旅の描写がよかった(特に大好きな場所が登場すればなおさら)。
それから、物語のいたるところで繰り広げられる、痛烈な社会批判や人間批判。“人は劣等感を解消するために物欲か宗教に逃避する”“自意識過剰な人間はいつも背中に自分を見ている神様を背負っている”“煙草は最高、誰かといても喫ったとたん独りになれる”なんて断言されると、困る。強烈な《決めゼリフ》がのほほんと生きてる小市民をチクチクと刺激したり、恥ずかしがらせたりするのだ。この小説だけでも花村名言集が編集できそう。理屈じゃない部分でガツンとやられてしまった、パワフルな小説。
中原 紀生
評価:A
ずいぶんと破格な作品だ。作者は、父殺しの少年ヒカルの言動を中心にすえながら、ヒカルとともにオートバイでの逃避行を続ける孤独なインテリヤクザの鉄男、ヒカルの子を流産した萌子、元刑事の恩田、萌子の親友で虚言癖のある夏美、殺し屋の「死に神」、そしてヒカルの母真莉子と、それぞれの生と死の軌跡を寄り添わせるのだが、そこには一貫性がなく、物語としてほとんど破綻している。登場人物は観念だけで行動し、およそ現実にはあり得ない会話を交わし、作者の操り人形のように唐突な関係を結ぶ。文学にかぶれた人間が勘違いして、強靱な体力だけで書き上げた最悪の失敗作と紙一重なのだ。その紙一重を突き抜けるためには、一度死ななければならない。花村萬月は、この作品を書くことで一度死んだ。登場人物の死に託して、自らを葬り去ったはずだ。作家として生まれなおし、想像力を鍛えあげ、観念に肉体を与え、再生の儀礼としての文学を産み出すために。──中巻の58頁に出てくる鉄男の言葉が深い。「じつは、オートバイが走るということの力学的な解明はいまだに完全になされていないんだ。論理が確立していない。でも、人間はそれを巧みに操ることができる。論理が確立していないからこそ、あれこれ試行錯誤して自分のスタイルをつくりあげる余地がある。」ここで、オートバイは人生の比喩ではない。むしろ肉体、躯、欲望と見るべきで、実はそこにこそ想像力の、つまり文学(スタイル)の根がある。
渡邊 智志
評価:A
純文学賞をとった作家というだけで読まず嫌い状態だったのですが、つるつるっと読めました。かなり楽しめました。説教臭いお話です。これが意外と心地良い。自分自身の年齢は、説教するオッサンの側でもなく説教される少年の側でもなくて中途半端なのですが、場面ごとにどちらか一方の気分になって説教にのめりこむ。いちいち納得したり、ひとこと言ってやりたくなったり。前半が冗漫ですが、旅に出てからは(だらだらとした目的のない逃避行のわりには)無駄のない小説になっています。主人公の男ふたりがお互いにお互いを愛しすぎるので、ちょっと気恥ずかしいのですが、いろいろなモノが殺ぎ落とされた結果の精神状態というものが上手く表現されているように思います。ただ愛するしかない、そこに小難しい理由はない。女性陣の言動は共感できないところも多く、最後になって出てくる謎の殺し屋も、非現実的にスカし過ぎていたので、流し読んでしまいました。