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レインレイン・ボウ
【集英社】
加納朋子
定価 1,785円(税込)
2003/11
ISBN-4087746755
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
レインレイン・ボウ。虹に使われる七色をイメージした物語。高校のソフトボール部の部員だった、チーズこと牧知寿子が病気で亡くなる。その出来事を中心に据え、部員一人一人が主人公となる七つの物語が紡がれている。一番羨ましい生き方だと思ったのは、「雨上がりの藍の色」の主人公だ。職場の気の強いおばさん達にも、素で接して、最後には分かり合っていく様は読んでいて爽快。展開はありがちなシンデレラストーリーだが、由美子のキャラがたっているので、最後まで飽きさせない。物語のキーともなるチーズと里穂の関係は、男性には分かりにくい、女の子特有の関係だと思う。なんでもソツなく出来る子に、お供のように自分から付き従う子。高校の頃には見かけなかったが、中学の時には、何組かそういったペアがいた。そういうところにも見られるように、この小説には、生の「女の子同士の関係」が凝縮されている。読後感爽やかなユーモアミステリ。
桑島 まさき
評価:B
〈牧知寿子〉こと〈チーズ〉の死を契機として連絡をとりあう学生時代のクラブメイトたち。チーズの同級生や後輩である彼女たちは高校卒業後、それぞれの道を歩み、まさに人生と闘っている20代前半の女たちだ。それぞれのその後の人生が短篇で描かれるのだが、彼女たちの人生にチーズが確かに影響を与えていたことが窺える。短篇を重ねながら次第にサスペンスフルな様相を帯びてくる連作短篇集は、別個の独立した作品のようであるが一つの作品として成立している。チーズと里穂の関係性のヒミツが明らかにされる時、本作は少女たちのその後の物語「青春小説」から「ミステリー」へと巧く変容する。
チームメイトであっても個々の関わり方は微妙に違う。思春期にありがちなぎこちない感情や、少女たちの力関係などががさりげなく描かれ、その道を通過してきた私としては興味深く読んだ。20代前半、30代、40代、女たちのその後の物語も読んでみたいと思った。“彼女たちの物語”は、これからだ。生きている限り、ずーっと勝負は続くのだから。
藤井 貴志
評価:B
高校のソフトボール部のOG7人が、仲間の死を契機に関わり合う模様が、各部員を主人公に据えた7編の短編にまとめられている。本書全体をとおして貫かれている「大きな物語」のほかに、それぞれの短編にも丁寧に「小さな物語」が織り込まれているので、個々の短編に退屈させられることもない。むしろ、ある短編で脇役だった人が主人公の話を読むときなど「あのとき、この人はこう感じていたのか……」といった新しい発見もある。現実世界では他人の心を覗き見ることはできないが、本書では7人それぞれの「1人称」の視点が交錯していて楽しめた。この味わいをドラマや映画といった時間軸で流れるメディアで再現するのは困難だと思う。
心に残った一節に、「佳寿美は彼女の〈お母さん〉になりたかったのだ。」というくだり(91ページ)がある。この感性は女性ならではものだろうか、前後も併せて印象深い描写であった。
古幡 瑞穂
評価:B
『月曜日の水玉模様』の主人公、陶子さんが再登場。前作は比較的軽いタッチの作品(典型的な日常の謎系)だったのですが、今回は少しテーマが重くて切ない。『コッペリア』といい、これといい、最近の加納さんは少し傾向が変わってきましたね。
高校時代のソフトボールチームメンバーそれぞれの成長を描いているので青春小説っぽい作品です。そうは言っても、さすがミステリ作家。さりげない謎を散りばめながらもつれた糸を解くようにそれを解いて見せてくれます。一人一人が人生の主役だっていうのがきちんと書いてあって、物語一つ一つがまさに虹のように色を変えて出てくるのに、一人一人のキャラクターの違いが小さいのがちょっとだけ不満。でも、25歳前後という女性がもっとも揺れ動く時期を的確に切り取ってきているなと感じました。同年代(ちょっとサバ読み過ぎかしら)の人間にはたまらない作品です。
松井 ゆかり
評価:B
軽いミステリー要素を含みながら、20代女性のさまざまな心の揺れも鮮やかに描かれている、とても好感の持てる連作短編集である。加納朋子さんの小説は「INPOCKET」連載時に「コッペリア」第2回を読んだことがあるだけだった。そのおどろおどろした読後感が強烈な記憶として頭にこびりついていたため、書店で本を見かけたり、たまたま開いた雑誌に作品が掲載されていたりしても、加納作品は敬遠し続けていた。
が、この「レインレイン・ボウ」には向こうから呼ばれているような気がして、手にしてみたら「当たり」だった。たまにこのような幸福な出会いがあるとうれしいものだ。みなさんにとっても、この本とのめぐりあいがしあわせなものであるといいのですが。
松田 美樹
評価:B
高校時代に9人だけの弱小ソフトボール部に所属していた7人が、仲間の1人が病死したために7年ぶりに再会。でも、彼女の死に疑問が残っていて、最後まで登場しない1人がそのカギを握っている。というと、手に汗握る推理サスペンス?と思うかもしれませんが、7人7様の7つの物語はどちらかというと爽やか系です。20代半ばの女性って、結婚、仕事、恋などいろんなことが起こる、人生が大きく変わるお年頃。7年前は同じボールを追いかけていたはずなのに、それぞれのその後の人生は千差万別で、女性の人生の分岐点を見るようでした。
私の中では、加納朋子は外れのない本を定期的に発表している、優等生的な作家。安心して読むことが出来ます。この本もそうでした。キャラクターがわかりやすく描き分けられていて、ちょっとステレオタイプな描き分け方(初恋の人と結婚して主婦、男勝りなキャリアウーマンとか)だとは思いましたが、わかりやすい7人と彼女たちにふさわしい物語を用意した加納さんはやはりさすがだと思いました。
三浦 英崇
評価:B
親族の死には幾度か立ち会ったことがあるけれども、まだ、幸いに学生時代の友人達の死を知らされたことはないです。とは言え、この作品群のそれぞれの主人公たちの気持ちは、痛いほどよく分かります。
十代後半に築いた人間関係は、一生ものです。ふだんは忘れていても、ふとした時に急に記憶の底から甦ってきて、もう見た目は十分いい大人になっちゃっている私を「俺」に引き戻します。そんな記憶の中で、元気に動き回ってる友達が、もう既にどこにもいない、と知らされたとしたら、私はその死をちゃんと受け止めることができるんだろうか。
高校時代のソフトボール部の一員で、誰からも愛されていた知寿子の死の報を聞き、かつてのチームメイト達が、各々の現在の人生との関わりを考え、立ち止まり、振り返り、そして、再び動き出す。彼女達の、ちゃんとした受け止め方に心洗われ、限りある命だからこそ悔いなく生きたいなあ、と素直に思える作品でした。