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モダンガール論
【文春文庫】
斉藤美奈子
定価 690円(税込)
2003/12
ISBN-4167656876
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:B
私は別に不自由な生活を送っているわけではないが、自分のあり方とかいうものにはどうにも納得できず、今は仮の姿だとばかり身の程しらずな野望をもっている。理想の自分を想像するということは、いつの時代もあるようで、本書では、明治〜昭和に生きた女性が何を欲していたかがまとめられている。どんな環境に身をおいても、もっと満足したいと思うのが人間である。職場の「まぬけな殿方」が自分より給料が高いことが腹立たしいなどど当時の週刊誌に投稿されていて、同じことを百年もかと笑ってしまった。ちなみに私は「好きなことを仕事にした成功者たち」とか、「お金持ちのお宅訪問」とかをみると、羨ましくてもだえてしまう。「いつの日か」と目が怪しく光っているに違いない。女子32年の私には共感できる部分が多々あり興味深かったが男性や若い世代にはどうだろう。男性はどんな欲望をお持ちなのだろうか。彼らの欲望百年史も読んでみたいものである。
斉藤 明暢
評価:A
攻撃的な意見や主張というやつは、たとえ正しくても聞いていてウンザリするが、この本はそういうものとは違うのだった。「この100年くらいの間、日本の女性たちがひたすら出世を目指した、もしくは時代や流行と欲望に乗っかってきた歴史の上に、現在の状況がある」という、実に面白く、そしてミもフタもない視点で語られる近代女性史だ。自分の母より上の世代が、どんな考えで人生を生きてきたのかというのは理解しにくいが、「そうかそういうことなのか」と思える部分が結構あった。
芸能界や某巨匠のアニメ、欲しい子供の性別調査なんかを見ても、いまや世の男女の商品価値的評価は開く一方だ。そして仮に、「出世」というのが自分を高く売って欲しいものを手に入れる人生、という意味だとしたら、女性はそれを望めば可能になる状況をまんまと手に入れたということかもしれないが、「そんなのつまんない」と言う人も大勢いるのだろう。
これから世の中や女性がどっち向きに突き進んでいくのかはともかくとして、男は一緒にトコトン行くところまで行くか、「そんなのつき合ってられるか」と言うかを選ばないといけないのだろう。そんな役割が残っていればの話だけど。
竹本 紗梨
評価:B
キャッチコピーは「女の子には出世の道が二つある」「社長になるか社長夫人になるか、それが問題だ」。会社の帰りなんかは特に、確かに…としみじみと実感。女の子のパワー(例えばしたたかさや現実的な生き物であること)についてぶちかますエッセイかと思って読み出したので、その冷静な分析に肩透かしをくらった。この100年間の時代背景や当時の制度・その時代の女性の声から、それぞれの時代の「モダンガール」を論じている。女性を論じると、ヒステリックだったり自嘲的だったり頭から小バカにしているものが多いなか、かなり本質をついた分析。何でもステレオタイプにまとめたがる人は軽く一蹴されちゃうかも。
ただ、あまりにありふれた言い方だけど時代は変わっても、女の子は変わってない。ありふれていて、打算的で、楽もしたいけど生きがいも欲しい、だけどその女の子ひとりひとりは自分なりに一生懸命生きている。そんな女の子達への愛情を感じる本でした。
平野 敬三
評価:B
19歳で初めてアフリカを旅行して学んだことは、アフリカの人も「生きている」のだということ。朝起きて、ご飯を食べて、働いて、SEXして寝る。日常の些細な出来事で泣いて笑って悩んで喜んで。そんな当たり前の彼らの姿がひどく新鮮だった。でも、それは裏を返せば、僕の彼らに対する無知と偏見の証左だったわけである。本書を読んで、真っ先にそのことを思い出した。本書の主人公である20世紀を生きた女性たちがまさに「生きていた」ことに驚きと興奮をおぼえたのですが、それって要は「昔の女性」を画一的にとらえていたからに過ぎないし、彼女たちが何に悩んで、そして何に喜びを感じていたか、まったく想像つかなかったということなのである。しかしまあ、そういうことに考えを及ぼす「機会」自体がなかったのだから、そういう意味で本書を読む価値は非常に高い。結論は年収300万円時代ではもはや凡庸なものだが、そこまでのプロセスはノンストップで読ませてくれます。
藤川 佳子
評価:AA
「結婚してもなんだかなぁ…」「一生仕事を続けるっていっても、ねぇ…」なんてこと思ってすこし鬱屈している方、読んでください。
女性が、結婚かはたまた仕事かの間で揺れていたこの百年間。専業主婦が憧れの的ということもあれば、キャリアウーマンが成功の象徴だったこともあった。どちらかを選択すれば幸せになれた。どちらを選択すればいいかは時代が教えてくれた。でもそんな幸せのモデルケースも今じゃ崩壊しつつある…。じゃぁ、21世紀はなにに希望を託し、なにを目標として生きていけばいいの? その答えがこの本のなかにあります。斉藤氏が提案している21世紀モダンガール流の生き方…、それは至極当たり前のことのようにも思える。それでも心に響くのは、言葉を越えて斉藤氏の温かさが伝わってくるからだと思うのです。毒舌も、愛が無ければ受け入れられない。私の心のアネゴ、斉藤美奈子さんの愛情とパワーがたくさん詰まっている一冊です。
藤本 有紀
評価:B
L文学なる言葉の生みの親、斉藤美奈子の新論理。明治・大正・昭和の女の「出世欲」の歴史を論じた本書だ。「女工哀史」「平塚らいてう」「OL」「アグネス論争」といった聞き覚えのある用語も解説してくれている。
3〜4年前から「マダム」という語をよく聞く。憧れのマダム。この間、売れない本は出さない(?)幻冬舎は「マダム小林の優雅な生活」「マダムだもの」というタイトルの本を出版している。著者は三谷幸喜夫人で女優の小林聡美。彼女は本物のマダムである。 さてギャルたちよ、これからマダムになるのは極めて難しいらしい。どうするよ? というのが本書が突きつけてくる問題である。 女も、そしてこれまでゲタを履かされていたからよかった男も労働市場ではだぶつき、デフレで賃金は下がりっぱなしだし。これじゃ一億皆プロレタリアート!?
ところでギャルという言葉に関して、斎藤の発見した記号はこうだ。90年代女子高生=コギャルことば「てゆうかあー」「ちょー」「みたいな」。80年代女子大生だとこうなる。ブリッコことば=「うっそー」「ほんとー?」「やっだー」。このへんの研究は見事だ。「てゆうか」はいうけど、「やっだー」はいわないな、などと思わせたところで作者の勝ちだ。
和田 啓
評価:B
斎藤美奈子は、いつも本を読んでいる。本を読み透している。読み終わった本を上下左右空になるまで揺すっているイメージが彼女にはある。巷では、「負け犬の遠吠え」が女性の間で話題。家庭か、自立か。結婚か、キャリアウーマンか。いつの時代でも女性にとって答えの出ない切実なテーマである。
これまでもテーマを決めて本を上梓してきた彼女がこの本で、明治・大正・昭和の女性100年史に挑んだ。要は、女の幸福論である。戦争が終わるまで職業婦人(なんて素敵な響き)の圧倒的な比率を占めた女工(工場労働者)、女中(家事使用人)の過酷な時代。隔世の感がある平成バブル期おやじギャルと云われた彼女たち……。生きる根っこは不変、「女の幸せって何?」。
学術的価値は高いのだろう。だけどいつもの彼女らしい、憎たらしいほど膝を打ちたくなる面白さが欠けている。テーマの本質がひとりひとりの主体性に委ねられる分、分析すればするだけ、思索すればするほど総花的になってしまう。だからモダンガールはいつだって永遠なのだけれど。