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幻の女
【角川文庫】
香納諒一
定価 940円(税込)
2003/12
ISBN-4041911044
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:A
タイトルどおり、幻のような存在の女を愛した男の物語。ある日、自分の前から突然姿を消した女と偶然再会する。女は留守電に「相談したいことがある」というメッセージを残し、再会の翌日に殺されてしまう。男が手がかりを求め女の過去を探るうちに、全く別人の名前をもっていた彼女が見えはじめる。いったい自分の愛した女は誰なのか。
「苦しいから逃げるのではなく、逃げるから苦しいのだ」と言った彼女。消し去りたい過去から逃げ、別人としての人生を歩みはじめ、結局は自分の過去から逃れることができなかった人生が辛い。何度もやり直せる瞬間はあっただろうに。
女の真実を求める男は、様々な事実を探りあて、事件の全貌をつかんでいく。それと同時に彼女自身を見ていたわけではなく、自分の信じたい彼女をみていたことに気がついていく。人と人の悲しいつながり、「逃げる」ことは何の解決にもならないという強烈なメッセージが行間にこめられているような気がした。
平野 敬三
評価:A
過剰にシニカルな視点で自己を見つめる男が好きだ。滑稽なまでに自己嫌悪を続ける男の話を読んでいると、なにやら体内からアドレナリンがあふれてくる。別に自分に似ていて共感するとか、そんな格好のいい(?)話ではなく、単純にそういう設定が好きなのである。人生に美談なんてない、この世界はかくも汚れた俗世なのだと悟っているつもりで、実はかなりおセンチだったりする男の物語はいつだって胸にしみてくる。本書は1998年を代表する傑作ミステリーだが、多くの優れたミステリーがそうであるように、謎が解き明かされていく課程での登場人物たちのこころの揺れが大きなテーマになっている。主人公は常に正しくなければならない、ということはないし、最終的に正しい地点に辿り着かなくてはいけないということもない。誰しも迷い悩み揺れながら前に進んでいく。それを見事な筆力で描いた素晴らしい小説だ。主人公のシニカルなまなざしが最後に見つけた淡い光を僕は決して忘れないだろう。
和田 啓
評価:A
愛していた女が、ある日忽然と消えうせる。男は失望し続ける。
五年後突如現れた女は、あくる日死体となって発見される。別の名前で女は生きてきたことがわかる。何のために偽名で、なぜ女は自分を捨てたのか、殺された理由はなんだったのか。こうして一人の女にこだわる男の堂々巡りは始まる。
彼女の人生を見つけなければ今ここにある男の人生も見えてこない。
闇。裏社会で暮らすヤクザ、政治家、土建屋が蠢く世界に彼女の真実を求め、分け入っていく。また闇が待っている。彼女のことを何ひとつわかっていなかったのではないかという恐怖感、猜疑心が顔をもたげる。理由もなく消えたのが現実なのだ。彼女を信じることの反動としての自己憐憫と必死の自己肯定が胸を打つ。
終盤、焙り出された透かし絵のように彼女の人生が浮び上がる。乾き切った原野に落ちる澄明で純粋な彼女の滴(しずく)は、男と女の別れのバラードとなって結晶する。