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不思議のひと触れ
【河出書房新社】
シオドア・スタージョン
定価 1,995円(税込)
2003/12
ISBN-4309621821
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:C
まさに10篇全てが、不思議にひと触れした作品である。
まず、計4ページの超短篇「高額保険」に度肝を抜かれる。一級品のアイデアを、無理に引き延ばさず4ページでまとめ上げる潔さがよい。もう一つのお薦めは、「裏庭の神様」。よくあるストーリー展開かもしれないが、神様が庭に埋まっているという滑稽さと、願いを一つだけ叶えてもらった男の行動がなんとも安直で、最後まで見守りたくなる。「不思議のひと触れ」、「孤独の円盤」で顕著にみられるように、物語の中盤までは不可思議さが支配しているのだが、最後はhappyな気分にさせてくれる短篇が多かった。今回の課題書『廃墟の歌声』がお気に召した方には、是非この一冊もお薦め。
桑島 まさき
評価:B
幻想、ファンタジー、怪奇(ホラー)、SF、などの要素を多すぎず少なすぎず取り入れた不思議な味わいのある短編集だ。〈アメリカ文学史上最高の短編作家〉とよばれたシオドア・スタージョンは、85年、67歳の人生の幕を閉じるまでに多くの職を転々とし実生活でも結婚・離婚を繰り返した。実生活の体験がそのまま文学に活きるのは、量産を余儀なくされるマンガや短編の分野だ。商業主義に走る出版界にあっては“書け”なければ評価されない。本短編集は、生きること=小説を書くこととして、小説をひたすら書きつづけたスタージョンの小説家としての試行錯誤の跡がうかがえる。常に新しいジャンルに挑戦していったと思われる多大な試みが。
表題作「不思議のひと触れ」は、幻想的な中にチラリと人生の真実を示唆しているが、すぐにそれに近づくのは難しいだろう。短かい中で起承転結のハッキリしたオチのついた短編とは違うので再読をお薦めする。すると主人公が言うように「ホンモノを生きる」ことができるかもしれない。
藤井 貴志
評価:A
スタージョンの文章はクセが強いのか、読了するのはひと苦労だと言われる。しかし、ひとたび見事読み終えたらスタージョンワールドの虜になってしまう。それで言うと僕は後者である。全10編の短編集である本作は、SFモノからミステリー、ジャズ小説などバラエティーに富む内容で、SF色の強い作品は好き嫌いが分かれそうだが、僕は夢中になって一気に読んだ。
一番気に入ったのは「ぶわん・ばっ!」(この邦題は実に見事!)。ベテランジャズ演奏家が青春時代を回想するジャズ小説で、名前を売りたい若いミュージシャンたちの人間模様を描いた作品。可愛がっていた若い“ボウヤ”的少年が、その才能を一気に開花させ師匠を出し抜いていく様は、様々な思いが交錯した熱気に満ちているものの、どこか切ない。全作品の丁寧な解説が巻末に収録されているのも、本書の刊行に対しての関係者の熱意が感じられた。
古幡 瑞穂
評価:A
SF小説は、設定に慣れるまでに時間がかかる上、短編集となると異なる設定が次々にやってくるので、実はちょっと苦手です。でも、ここで出会った短編たちはとっても味わいが深くって、読めば読むほど新しい見所が出てきます。しかも余韻がいい!
特に喜怒哀楽というか、人の細やかな感情の描き方は非常に印象的です。表題作「不思議のひと触れ」のロマンティックな展開も素敵でしたが「孤独の円盤」で描かれた行き場のない孤独感がとても心に残っています。後半語られる円盤の語ったことは胸にぐさっと刺さってくる名文句で、何度か繰り返して読みました。あとは「ぶわん・ばっ!」これも良かったなー。思わずにやりとさせられてしまう成功物語なんですが、文字に変換された音楽が上手く絡み合っていて刺激的な味に仕上がっています。SFはどうもね…って方もぜひチャレンジを!
松井 ゆかり
評価:A
シオドア・スタージョンといえばSF作家の大家、というイメージがあったのだが、その印象はある意味鮮やかに裏切られた。いや、書かれている内容はもちろんSF的要素を含んでいるのだが、時制とか科学用語とか、ほとんどまったく意識せずに読み進んでしまうのだ。こんな読後感は初めてで、ただただ目をみはるばかりである。
「高額保険」や「ぶわん・ばっ!」はうまい。「タンディの物語」や「閉所恐怖症」はキュート。そして表題作や「雷と薔薇」「孤独の円盤」は心を揺さぶられる。人間の持つ力をすごく信じていた作家なのではないかと思う。
大森望さんによる巻末の解説も読みごたえあり。それによれば、スタージョンは「超絶ハンサム」だそうではないか!“マイ・ベスト・イケメン外国人作家”はトルーマン・カポーティなのだが(そういえば、彼も短編の名手だな)、その上をいくんだろうか。気になる。
三浦 英崇
評価:B
「SFファン」と名乗るのもおこがましいくらい、海外の古典SFは勉強不足なのですが、それでもさすがにスタージョンの名前は知っているし、作品も幾つか読んでいます。しかし、SF作家としてだけでなく、多彩なジャンルに数多くの佳作を残している人だということを、今回、この作品集を読んで初めて知りました。
スタージョン作品の多様な側面を味わってほしい、という編者の意図もあり、掲載作品も多岐にわたっているため、ひとことでまとめるのは無謀かと思います。しかし、あえてまとめるなら、論理と実証を貫き通すハードさよりは、台詞一つ一つ、地の文一つ一つに込められた叙情にこそ、彼の作品の真骨頂があるのではないか、と。
例えば、作品集の最後を飾る「孤独の円盤」の中で示される瓶詰めの手紙の文面。ほんの数センテンスで、宇宙の果て無き広さを感じさせてくれています。
忙しさで気分がかさついている方に、是非とも。