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調子のいい女
【角川文庫】
宇佐美游
定価 620円(税込)
2004/1
ISBN-4043741014
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:C
性格は正反対のようだが、共に今までの人生をリセットし、留学を新たなスタートラインに選んだ女二人の物語である。一人は無邪気に人を利用し、自分の欲しいものを手にいれていく波江。一人は迷惑な彼女を苦々しく思いながらも、突き放すことができない美和子。前半は波江のあまりに厚かましい態度に美和子ならずともいらいらさせられる。しかし、後半は美和子の友達面をしながら、波江を毒づいている心の中がどんどん暴露されていく。波江の失敗や不幸を心待ちにし、慰めながらも内心笑っているのだ。しかもラストには、どっちが「調子のいい女」だったのかわからなくなってしまうような美和子の豹変ぶりに仰天させられる。自分が気づいてないだけで、波江風もしくは美和子風になっていないだろうか。人間関係は持ちつ持たれつだけど、彼女たちのようではあんまりである。読了後、自分の人間関係を改めて考えさせられる一冊だった。
斉藤 明暢
評価:A
「人生なんて要領よね」と大学生の時、女性の友人が軽い感じで、それでいて果てしなく本気だとわかる口調で言ったのを今でも覚えている。なぜか要領よく生きることを目指してる男性というのは、胡散臭い割に寂しい感じが漂いがちなものだが、女性だと場合によってはカッコよく見えたりするのは、オトコの身としては正直複雑な気分だ。
そんなわけで、どうせこの作品も、そんな要領のいい女がうまいこと立ち回って最後にはしっかり大金転がり込んでウハウハって話なんだろうがオノレ! という激しい先入観のもと、戦闘態勢で読み始めたのだが、読んでいくにつれて、どうも風向きが変わってきた。
調子のいい女をめざすのも、そんな連中とつき合っていくのも、端で見ているほど楽ではないらしい。(ま、そりゃそうだろう)
こんなはずでは、と思いつつ結構ボロボロになりつつも走っていく主人公の美和子は、もし身近にいたら相当ヤな奴かもしれないが、読み終えた時には、ちょっと彼女のことが好きになっていた。
竹本 紗梨
評価:B
女同士で対立している時に、周りから見るとどう見ても「意地悪な悪役vsけなげな女の子」だとしても、その意地悪な女は、自分は悪役とは全く思っておらず、けなげな女の子役だと思っているから問題は永遠に解決しない…というのをテレビで見て、お腹の底から納得したことを思い出した。はい、何が言いたいかというと(1)女同士、どうしても気に食わない人がいる(2)どんな人でも自分なりに努力している、ということ。そして私も女なので、こういう話は腹に落ちるんです。プライドが高く、努力家だけど人間関係は不器用な美和子も、しょぼい女だけど手段を選ばず欲しいものを手に入れていく波江にも感情移入してしまう。どうしようもない嫉妬や焦りの描写が生々しく、ちょっと読み疲れしました。女って腹黒くて楽しい。
平野 敬三
評価:A
光と影が交じり合ってにじんでいくラストがいい。読み終えて少しだけ泣きたくなった。一人の女性が、サクセスを求めておとぎばなしの中を生きながら、最後に現実に戻ってくる話だが、その現実のなんと残酷なことか。どう残酷かはストーリーに触れることになるのでここには書けないが、挫折や屈辱よりも喪失の方が何倍も辛いのだということをまざまざと見せつけられた。そしてこれは、決して他人事ではない。主人公・美和子の「なんでいつも私だけ…」「なんでいつもあの子だけ…」というつぶやきは、女の人って恐いよな、ではすまないし、波江に対する美和子の「大嫌いだけど大好き」という気持ちは、きっと誰の中にもあるものだ。ここらへんの微妙な愛憎を、ドロドロともジメジメとも無縁の文体でむしろカラッと描くから、たまらなく切なくなるのだろう。女の友情物語でありながら、最後までひとつたりとも「友情」が成立していないところが泣ける。
藤川 佳子
評価:A
著者の方は今まで、女密度の高い場所で生きてこられたのではないでしょうか。女密度とは、ただ物理的に女性がどのくらいいるかということではなく、どのくらい女性の感情が生々しくダイレクトに飛び交っているか、どれくらい負のエネルギーが轟々と渦巻いているのか…、その渦巻き具合の激しさ度とでも言いましょうか…。
「大嫌いだけど大好き」は、主人公の美和子が年下の友人・波江に抱く感情です。女同士がやっかいなのは「大好き」だけでは繋がれないからではないでしょうか。女性は同性に対してとても厳しい目を持っています。それが身近な友人となれば尚のこと、「アンタの、こういう時の、こういうところが、嫌」という烙印を、誰もがそっとけれども力強く押し(または押され)ていることでしょう。
その女性が女性に対して嫌、と思う部分がとても具体的に事細かく描かれているのです。読んでいて、たびたびドキリとさせられる場面に遭遇しました。宇佐見氏はかなり高次な女密度地帯を乗り越えて来られた方、と思わざるを得ません。
女同士のドロドロとした友情編はもちろん、銀座の女がいかに男を口説くか、という恋のテクニック編も読みどころのひとつです。この二つの要素がうまい具合に絡み合ってお話は進んでいきます。
最後に、私がこの本で密かに学習したことがあります。世の中にはいろんなカタチのモノがあるんですね。まぁ、読んでみてください。
藤本 有紀
評価:C
アメリカの日本人留学生社会と銀座のホステス社会。整形のエピソードも含め、縁がなければ深く知ることのない世界をコメディに仕立てた小説で、読者の下世話な覗き見趣味をうまく刺激しているといえるだろう。作者の体験を下敷きにしている部分もあるだろうし取材による文章もあると思うが、観察や洞察のすべてを文字にする筆力は確かである。感覚おんちにはこういう文章は書けない。サクセスストーリーに仕立てた点が安易過ぎてつまらない。リアルなフィクションより、フィクショナイズされたルポを読んでいると思ったほうが面白いのではないか? 性描写が今風にいうと「グロい。グロ過ぎ」。笑わせる意図なんだろうけど私は笑えなかった。
和田 啓
評価:AA
抜群に面白かった。一気読み。恐るべし女心。出色である。
臆面もなく自己の欲望に生きる女たちの会話にグングン引っ張られる。女の打算、見栄、嫉妬、優しさと儚さ。ある角度から見据えた金というものの正体。ソープ嬢に成りさがる銀座ホステスの実態。緊迫した場面で繰り広げられる機知の妙。
アメリカで留学生活を体験してきた女はよくも悪くも一味違う。縛られた日本の枠から外に出たら、一気に多民族社会。愛想と英語が命。コミュニケーションや性の肌合いのようなものが日本人と微妙に違ってくる。感覚が自然と突き抜けてくる。
銀座で生きてきた無理目の女が留学先の下宿の男とあっけなく寝てしまうシーンがリアルで素晴らしい。
オチがまたスゴイ。ほんとうに大切なものは失ってから気付くのだ。好きだから嫌い。嫌いだから好き。筆者の描写力、洞察力に感服。