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愛才
【文春文庫】
大石静
定価 520円(税込)
2003/12
ISBN-4167512076
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:C
恋人と夫。その2人とも必要であるという奈子。そんな彼女を妻に持つ僕。奈子が周造に出会い、3人の奇妙な生活が始まる。昼メロのような内容だが、人とのかかわり合いに距離をおき、どこか冷めている僕が語り手であることから、ドロドロと刺激的なものではなく、3人の生活が淡々と描かれている。注目すべきは破滅的な愛人・周造である。プライドが高いため働かず、奈子に頼りきりの彼は、自分の気分しだいで彼女を殴り、ののしり、落ち着いたころに決め台詞をはく。「周造は最低だ。周造が悪かった、周造信じろよ。」もう気持ち悪さ全開である。そんな周造を生かさず殺さず、自分を成り立たせるために飼っている奈子の恐ろしさにも驚愕する。奈子と僕の関係は羨ましいし、夫と愛人がいる生活をちょっと味わってもみたい。しかし、ハンサムだった愛人が周造のような気持ち悪い男になり、自分が自己を確立する為に、他人を滅ぼす女になるのでは困る。やりたいように生きるというのは全く難しいものである。
斉藤 明暢
評価:C
そう、彼女が子供もいないのに夫を「おとうさん」と呼び、性的な部分を拒否しつつも甘えて必要とする一方で、他の男とつき合っている様子を逐一報告してる、という時点で既に尋常ではないが、そんなことをとやかく言ってはいけないのだ。
病弱でいつまた再発するかわからない身体だと言われつつ、結局特に何ともないことも、雰囲気を出すための設定だろうとか言ってはいけないのだ。
大金持ちで家政婦つきの実家に住んでるから生活は何一つ不自由や苦労はないことも、夫がこれでもかというくらい寛容なことも、これといった理由もなく脚本家として大ブレイクしていくとこも、ずいぶん都合のいい話だな、とか言ってはいけないのだ。
そして、彼女と自分自身の業を受け止めるように破滅していくはずだった、愛人の男のその後についても、なんだ今までの話はチャラかよ、とか言ってはいけないのだ。
これがもし、妻を「おかあさん」と呼んで甘えて愛人に貢ぎまくり飽きたら捨てて仕事に走り性懲りもなく新しい女を作るような男の話だったら、作品として成立するだろうか、などと文句を言っていては、この作品は楽しく読めないのだが。
…………すいません、無理です。
竹本 紗梨
評価:D
「いやらしいなァ。おれの存在。おれの生き方。おれの行動のすべてが、いやらしいなァ」(武田泰淳:快楽)なんてセリフに心酔している妻の恋人の周造、脚本家として成功していく妻の奈子、妻を分かってやるのは自分だけという主人公、どこを読んでも濃厚…リキュールの原液のようにべたべたしていて、興味がないところに投稿写真をむりやり見せられた気分。舞台芸術家の夫と脚本家の妻って…私小説じゃないことを祈るばかりです。奈子の他人の才能への嫉妬、焦り、仕事への高いプロ意識の反面、それとはまったく反対の子どものような面はあますことなく描かれている。けれど、どこかよそでやって欲しい。決めゼリフの「周造信じろよ」…字だけで気持ち悪く感じさせるってすごい。
平野 敬三
評価:A
とても不可解で、とても滑稽で、それでいてとても魅惑的な関係。でも渦中にいたら(自分が「おとうさん」だったら)たまらんなあと思いながら一気に読んだ。男女の三角関係を描いた小説は数あれど、ここまで夢中になれたのは初めてかもしれない。現実の世界で三角関係を経験したことのない僕には、なんだかんだで他人事だったから。登場人物がどんなに切なさを募らせても平気な顔で読み進めることができた。ところがこの『愛才』はどうだ。「奈子が問題を起こすたびに思う。この一風変わった女を、僕以外の誰が許容できるだろうか」という「おとうさん」の愚かなる自問は、激しく僕の心をゆさぶる。自堕落な生活を続ける周造を愛せるのは私しかいないと息巻く奈子の言動もまた然り。こういう変わった恋愛小説が好きだなんて俺もやっぱりダメな奴だなあと嬉しそうにしている自分が不気味だが、それくらいチャーミングな物語なのである。特に、爆笑なしには読めない周造のキャラクターが秀逸。
藤川 佳子
評価:B
読んでいるうちに心が迷子になってしまうのです。感情が物語に吸収されず反射して返ってきてしまい、なんだか訳が分からなくなって、気がついたら自問自答していました。どの登場人物にも感情移入が出来ないし、繰り広げられる世界に反発を感じてしまいます。
互いに恋人を持つことを認めているセックスレス夫婦と、その妻の恋人との奇妙な三角関係。夫は寛容で理性的、相談相手としても申し分ない男で、一方の恋人は役者としては落ち目で生活力もないけど、ハンサムでヒロインを性的に満足させてくれる男。奥さんがとてもうらやましいです。でも、この物語に愛は微塵も感じられなかったな…。タイトルの「愛才」は「愛する才能」と「愛妻」を掛けた言葉だと思うのですが…。著者は愛についてどう思っているのでしょう…。そして愛ってなんだろう…。あぁ、また自問自答を始めてしまいました。
結婚は愛ではなく縁であってするもんだ、という説にはちょっと納得。
藤本 有紀
評価:D
「振り返ると、奈子の両足の内側をつたい流れているお湯が、ほのかなピンク色になっているではないか。……その時、僕の視線につられて自分の下半身に目をやった奈子が、「ウソ」と小さく声を上げた。淡いピンク色は次第に明らかな血の色に変化していった。」という部分を読んで思い出したのが、だいぶ前に読んだ山田詠美「カンヴァスの棺」のこの部分。「……するとススは小さな声で始まっちゃったみたいだなんて言うから、彼が腰のあたりのシーツのへんに目をやると、そこはばら色で、もう朝焼けかと彼がまじまじと目をこらすと、いつのまにか流れ出ていたススの血液だった。」女の生理が始まる瞬間の男と女の描写ってあんまりないから印象的なのかもしれないが、巧拙は明らかなので引用した。読みながら、「官能なら高橋源一郎」「抜き差しならない男女の修羅なら蓮見圭一」といったことを考えていた。作者がすでに著名なテレビ脚本家であるらしい事実を考えると小説家として今後大きく変化する期待も薄く、評価はDとする。
和田 啓
評価:B
いっておくが私は大石静の昔からのファンである。初期のエッセイは珠玉の作品群だった。向田邦子の再来と拍手したものだ。すでに随筆の中で生活ぶりや生立ちをあけっぴろげに彼女は公開している。一回り年上の旦那に愛人との恋愛ぶりを仔細に話し、ときに相談さえする夫婦関係。半ばノンフィクションとしてこの本を読んだ。(どこまでが真実かわからないが……)
島尾敏雄のようなドロドロした世界になるのかな〜と予想していたがよい意味で裏切られた。世間のものさしとは無関係に自分の意思で快活に生きる人物たち。優しくてさっぱりした女、どうしようもないがまこと魅力的な愛人、妙な自信を秘めているおとうさん(旦那)が織り成す現代の三角関係。小説のテーマうんぬんではない。とある世界の、男と女の遍歴だ。