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ふたりジャネット
【河出書房新社】
テリー・ビッスン
定価 1,995円(税込)
2004/2
ISBN-430962183X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
藤井 貴志
評価:B
異色の短編集と言えるだろう。火を使うことを覚えた熊、船のように海上を航行する英国……、小説でなければ到底あり得ない世界をユーモアいっぱいに描いている。いずれも荒唐無稽にも思える設定だが、ビッスンの手にかかれば見事な物語として読み手を惹きつける。
なかでも『熊が火を発見する』はとくに印象深かった。冒頭から、火の扱いを習得した熊たちを発見したときに発せられた一言「どうも熊が火を発見したみたいだな」に思わず笑わされてしまう。コミカルなファンタジーかなと思いきや、物語は後半でガラリと様変わりする。そこでは、死を間近に控えた主人公の母親が「火を発見した」熊たちと心を通わせていく場面が描かれるのだが、その過程の描写が実に巧い。なんてったって相手は熊である。(ひょんなことから)火は覚えたけれど、当然(この「当然」という言葉をビッスンの前では使うには勇気がいるが)言葉を交わすことはできない。そんな熊たちと黙って火を囲む場面で、熊と母親が次第に打ち解けていく過程のやり取りは絶品だ。
ほかにも『英国航行中』も、「これぞ小説の楽しさよ!」と拍手したくなる作品だった。
古幡 瑞穂
評価:B
手にとってパラパラとめくってみたら、数学の教科書でもお目にかかったことがない数式がいくつも目に入って「参ったな」と思ったわけですよ。これを理解しなきゃいけないのか…と暗澹たる気持ちになって、とりあえず数式の出てこなそうな話からポロポロと読み始めます。
火を使うようになって冬眠をしなくなっちゃった熊の話だとか、やたらお節介なATMの話だとか、ひょっこりひょうたん島のように漂流している英国の話だとか、夢でもなかなか体験できないような不可思議な話が続きました。でもってたどり着いたのが、手書きの数式が随所に組み込まれた《万能中国人ウィルスン・ウー》のシリーズ。なんだかよくわからない大事件(事件かどうかもわからないけど、小難しい言葉で証明されるとそんな気になってきます)を数式を駆使して解決していくというホラ話です。変な比喩で申し訳ありませんけど、初めてピタゴラスイッチを見た時の感動が蘇ってきました。ほんとに変な比喩ですね…
松井 ゆかり
評価:A
こんなにチャーミングな小説を書く作家をいままで知らなかったとは。残念至極。
新刊採点の仕事をさせていただくようになって、自分でいちばん変わったなと思うのは、SFに対する接し方だ。以前はどちらかというと苦手だったのだが、最近立て続けに「当たり」にめぐりあうことができ、読書生活がよりハッピーになった(“好き嫌いが少なければ少ないほど人生は楽しい”というのは持論のひとつだ。残念ながら、食べ物に関して若干克服しきれていないが。きゅうりとか)。
「アンを押してください」最高!清水義範さんが書きそうな小説だ。「ふたりジャネット」もいい。こんな町に住んでみたい。“万能中国人ウィルスン・ウー”シリーズは超おかしい。ウーのような友のいる人生はとてもしあわせだろう。
松田 美樹
評価:B
どれもこれもが可愛らしい短編集。作者は悪意のない空想癖を持ってるのではないでしょうか。シチュエーションがほのぼのしていて、1つ1つの世界が目に浮かびます。ふふふ、と少しくすぐったくなるような可愛さです。
中でも、私のお気に入りは「熊が火を発見する」。何と言っても、熊たちが寒さを凌ぐために焚き火をおこし、みんなで輪になって火を囲むという姿に惹かれました。このシーンは可愛い以外の何ものでもないですね。彼らの中にはちゃんと薪係の熊がいて、そいつが火が消えないように薪を足したりするんです。それから、酸っぱくて人間の口には合わないみたいだけど、隣に座った熊がニューベリー(新種の灌木の実)を渡してくれるし。いいなあ! いいなあ! ぜひ私も熊と一緒に火を囲みたい。そして、椎名誠さんなら、全く違和感なく熊たちの間に入り込めるんじゃないかしら?と思えて、1人で楽しい気持ちになりました。
三浦 英崇
評価:C
いずれ劣らぬ現代の「ホラ話」の中でも、特に気に入ったのは、後半の三部作「万能中国人ウィルスン・ウー」シリーズでした。奇想天外な異常事態に、何故か対応できる知識を持っているウィルスン・ウー。
彼にかかれば、月と地球の間の空間がよじれて近接しても、宇宙の膨張が突如収縮に転じて、時間の流れが反転しても、マッドサイエンティストが自分だけの宇宙を作り出そうとしても、彼一人にしか分からない謎の公式を次々繰り出して、何故かうやむやのうちに解決します。
起きる事態が突拍子も無ければ、その解決策も突拍子も無いときてるので、こういう「ホラ話」に向いた資質が無いと読むのが非常に辛そうです。幸い、私自身がかなり「設定を極端にして、そこで起こる現象を具体化することで笑いをとる」手法になじんでいるので、非常に堪能できました。
ウィルスン・ウーの話しかできてませんが、もちろん他の掲載作品もとんでもないものばかりです。