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ぼんくら
(上下)
【講談社文庫】
宮部みゆき
定価 620
円(税込)
2004/4
ISBN-4062747510
ISBN-4062747529
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:A
鉄瓶長屋で繰り広げられる江戸人情時代もの。長屋で起こる事件を描く14の短編が、やがて一つの大きな謎に編み上げられてく。やる気のないぼんくら同心が事件の解決を行う探偵役。うんちくミステリーが増えている中で、人と人の絡みのみで読ませる手法はさすが宮部さん。ぼんくら同心をはじめ、登場人物全てのキャラが魅力にあふれ思わず唸ってしまう。前半はありがちな展開なのだが、後半に判明してくる謎に話が進むと、物語がぴかぴかと光りはじめる。一筋縄ではいかない素晴らしい展開で、安心して万人にすすめられる一冊である。ただ、悪をバシバシさばく、正義好きな人は、ぼんくら同心にいらいらさせられるかもしれない。私自身が白黒はっきりさせたいタイプなので、「こんな犯罪なら自分もやっちゃうかも」とうやむやにするぼんくら同心を蹴り上げたくなった。必殺仕事人で昼行灯のふりをする主水とは違い、まじでぼんくら同心(でも性格はいいんです)が人間くさく活躍。
斉藤 明暢
評価:A
小説に限らず、時代劇とか時代物というジャンルが存在するが、それっていいことなんだろうか?海外作品の場合、まずはその主題や内容や作風でジャンルが決定されるのに、国産モノでは作品の時代が江戸時代というだけで、まずは時代物というおおざっぱな分類に入れ込まれてしまう。まあ、あちらには西部劇というジャンルもあるけど。
作品の舞台が江戸時代だろうと未来だろうと石器時代だろうと、SFはSFだしギャグはギャグだしミステリはミステリだと思う。で、この作品は間違いなくミステリだと思う。あくまでミステリであるというのが先で、時代物という分類は後なのだ。
読んでるうちに、江戸時代の話であることを忘れそうな面白さがあった。実際には忘れはしないけど。
竹本 紗梨
評価:A
人への優しい視線、曲がっていない、まっすぐ生きていこうとする姿勢、賢く、自分の分にあった生き方、そんな宮部みゆきワールドを堪能できる。通称鉄瓶長屋で、次々に事件が起こる。同心の平四郎は長屋で悩みを聞き、問題の原因を考える。彼は同心ではあるが、本当に憤慨するのは、人殺しではない。人殺しでも傷つけるのも、長い人生の中で普通に生きている人間ならそんなことも一回は起こるのだろう、と理由を聞けば納得してしまうのだ。そんな彼が、この一連の長屋の事件に興味を覚えていく。平四郎はついには憤慨する、彼は優しい、どんな人の気持ちにも立つ、そんな彼にも許せない、見逃してはいけない、そんな黒い気持ちが長屋を取り巻いていたのだ。宮部みゆきを呼んで混乱するのは、最後まで読んでページを閉じた時。誰が間違っているのか、そうして優しい人がひどいことに巻き込まれてしまうことが分からなくなるのだ。魅力あふれる登場人物たちにかこまれ、それでも主人公は出来ることを精一杯やっている。
平野 敬三
評価:A
ハードカバーで読んだのは、確か『理由』で直木賞を取ったすぐ後で、もう一発現代ものを期待していた僕は、時代小説というスタイルにすごくがっかりした記憶がある。記憶というのは恐いもので、そのがっかりした気分しか後には残らず、『ぼんくら』は僕の中の宮部みゆきランキングでかなり下位の方に位置づけられていた。
再読、してみるものである。構成の妙について書いてしまうと読んだときの楽しみが半減しそうなので詳しくは触れないが、ミステリーと人情ものという、宮部作品の二大要素が最上の形で詰め込まれた名品だから、誰にでもオススメできる。子供たちのキャラクターがとりわけ強烈で、へんてこりんな言動の中にもどびきりの愛敬をにじませる彼らの存在が、この哀しい物語にどこかあたたかなものを感じさせるのだろう。と同時に主人公・平四郎の、己を真摯に見つめるまなざしも非常に魅力的だ。真実を知るのが本当に幸せなのか、という重い主題を「哀しさ」だけで塗りたくらないところがこの著者を多くの人が好む理由なのだと思う。
藤川 佳子
評価:A
「ぼんくら」って何のことだろうと調べたら、「ものがわからないさま」とか「うつけもの」という意味のようで、つまりは主人公の定町廻り同心・井筒平次郎のことなんでしょうね。めんどくさがりの平次郎が、優秀で個性豊かな仲間たちとともに事件を解決していくさまは、とても痛快。ひとつひとつの独立した物語がやがて大きな事件へと集約されていく過程は、もう本当にパズルのよう。作者に騙され、裏切られながら読み進んでいくのがミステリの醍醐味だと思うのですが、愚鈍な私は終始やられっぱなしでした。
藤本 有紀
評価:B
鼻毛抜き抜き同心のお役目を務める平四郎が、見廻りついでにいつも立ち寄る店がある。お徳が切り盛りするその煮売屋が入る長屋で起こった殺人事件。これがプロローグであった。面倒くさいことが大嫌いな平四郎だが、この事件に関しては手間を惜しんだわけでなく、思うところあって追求せずに終わらせた。ところが事件後、店子が一軒、二軒と長屋を去るにつれ、判断が間違っていたかも、とぼんやり思うようになる。新しい差配人・佐吉があまりに気の毒だし、お徳まで店移りしてあのこんにゃくが食べられなくなるのは困るなぁ、と調査に乗り出す。乗り出す、といっても平四郎のこと、“黒豆”、政五郎、弓之助らを動かしてあいかわらず鼻毛を抜いてボーっとしているだけのように見えるのが憎めない。楽しませてくれそうなキャラが超超盛りだくさんで、サービスし過ぎなのではと思わぬでもない。現代小説/時代小説を問わず話題作を書き続ける宮部の力量を認識させられたのは、「女という生き物は……目配せひとつだけで伝えたいことはちゃんと伝えるものだ。」なんてドキリとさせるところだろうか。
和田 啓
評価:A
宮部みゆきの時代劇物をはじめて読んだが、いや〜達者だ。ケチのひとつでもつけたいがすべてが微に入り細をうがっており感心する他ない。作家の仕事というものを見せつけられる。面白すぎて退屈になったりして。
「ぼんくら」な同心・井筒平四郎が実に愛らしい。粋な江戸っ子でキャラが立っている。間違ったことが嫌いで道理に明るく一肌脱ぐことを躊躇わない。意志と感情のバランスが心地よい。赤く錆びた鉄瓶がふたつも出てきたことから「鉄瓶長屋」と呼ばれるようになった長屋界隈を舞台に波風立つ事件が重なっていくのだが(ミステリー作家の真骨頂!)、平四郎の心象風景だけを追っても十分楽しめる。こういう人って昭和一ケタ世代までは多かった気がする。
何があっても驚いちゃいけないのが世間というもので、少し世渡り下手な者の方があっしも好きでござんすよ。