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空中ブランコ
【文藝春秋】
奥田英朗
定価 1,300円(税込)
2004/4
ISBN-4163228705
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B+
尖端恐怖症のヤクザに、ノーコン病に陥ったプロ野球選手…等々、致命的な精神病に巣食われた患者が訪れた先は、患者以上に変わり者の精神科医・伊良部の元だった。空中ブランコが飛べなくなったサーカス団員の患者はそっちのけで、自分が空中ブランコの練習を始めたり、破壊衝動に駆られる患者に、その衝動の手助けをしたりと、はちゃめちゃな治療ばかり。それでも読んでいて馬鹿らしいと思わせないのは、伊良部の愛嬌の成せる技だろう。最後に大切なことに気付かせてくれる伊良部は、ある意味かなりの名医なのかもしれない。
精神病をテーマにした作品が最近増えていますが、その手始めに是非この作品を読んでみて下さい。読み終わった後、明るい気分になれること間違いなしの一冊です。
桑島 まさき
評価:A
日本を代表する「ユーモア小説」の書き手が満を持して送る「イン・ザ・プール」の続編。前作でも名医(?)伊良部の元を訪れた患者たちは現代人が陥りやすい症状を抱えていたが、今回も同じ。人間不信、尖端恐怖症、ノーコン病など。笑いの連続の中に他人事ではない恐怖のスパイスもチラリときかせる。症状に違いがあっても根っこにあるストレスの元を吐き出すこと…それを伊良部は天然の“アホ治療”でやってのける。勿論、意図的にではなく。
精神科医としての治療を伊良部は何もしない。唯一の治療は注射のみ。なのに彼らはこの無邪気で、マイペースで、すべてイイ方へ考えてしまうおめでたい伊良部と行動を共にするうちに症状が緩和される。呆れているうちに治ってしまうのだ。これほど自分中心にものを考えれば怖いものは何もなし、とばかりに。何でもやりたがる伊良部は、「女流作家」では遂に2日で小説を書いてズーズーしくも出版化を依頼する。いいなあ〜この伊良部のキャラ! ストレス一杯の私も伊良部と出会う度に癒されているのに気づく。
藤井 貴志
評価:A
「トンデモ精神科医」伊良部は健在だ! エンターテインメント性が高く、一気に読まされてスカっと笑える。印象としては、前著『イン・ザ・プール』よりも「ぶっ飛び度」がやや下がり、「いい話度」がちょっと上がった感じだ。真剣に悩んでいる患者を前に(その悩み方がまた笑えるのだが……)、ビタミン注射大好きな伊良部と、巨乳ロック娘の看護婦が暴れに暴れる。患者たちは、そんな伊良部に最初は戸惑い混乱するが、やがては無意識に伊良部に惹かれていく。一見、奇想天外な治療(?)だが、こうしたコミュニケーションで色んな角度から患者を揺さぶることで、最後は患者が背負っていた「凝り」のようなものがほぐされていくのだろう。軽く読めてしまう作品だが、構成はしっかり練られており、雑な印象はまったくない。言葉選びも丁寧になされている。前作同様に装丁も抜群に素敵だ。
古幡 瑞穂
評価:A
相変わらずの馬鹿馬鹿しさで、笑いながら瞬時に読み終わりました。ちょっとどころか理解しがたいくらいの奇人変人ぶりを見せつける精神科医の伊良部の活躍(?)。とにかく人を圧倒するパワーを持つ小説です。
前作『イン・ザ・プール』よりマニアックさは減っているものの、よりわかりやすい構成になっているので“伊良部の存在の持つ意味”というのがはっきり浮き彫りにされている気がします。
医者も医者だけど、患者も患者。そんなやついるかよ!という突っ込みをしたくなるような人ばかり。治療する人があれでは悩んだって仕方ないですね。「癒し系」と呼ばれることの多いこのシリーズですが、その根底には諦めの気持ちがあるんじゃないかと思われます。
あ、最後の女流作家の章は特に面白かったですよ。誰のことだろねぇこれ。出版業界人必読!
松井 ゆかり
評価:A
おもしろすぎるー。相変わらず達者でいらっしゃいますねえ、奥田さんは!「イン・ザ・プール」が出たとき、「この表紙がニルヴァーナのCDジャケットみたいな本、おもしろいのかなあ」と迷って、結局手に取らずじまいだった。バカバカ、当時の私ってばバカ!とひとり盛り上がってしまうほど残念。
伊良部先生、素敵!先月の課題図書だった高野和明「幽霊人命救助隊」にも、「精神病は治るから病院へ行け」というメッセージが繰り返し織り込まれていたが、この「空中ブランコ」も別のアプローチで、かたく閉ざされた人の心に訴えかけようとしているのだろう(“ふざけ過ぎ”と紙一重だが)。
人は誰しも、弱く脆い部分を持っている。ちょっとしたことで、それが表面に現れることもあるし、また、立ち直れることもある。伊良部先生の域にはなかなか達することはできないだろうが、この本を読まれた方がみなさん、はははと笑って読み終わった後元気が出るといいなと思う。
松田 美樹
評価:A
飛べない空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、強迫症の精神科医などなど、深刻だけどちょっと笑える悩みを抱えて、精神科医を訪ねてみれば……。そこには、ビタミン剤の注射を打ちたがり、空中ブランコに乗りに毎日サーカスに通い、作家になろうと一晩で作品を書き上げる、とんでもない医者が待ち構えていました。ただこの医者とんでもないだけでなく、実は名医?と思われるようなことも。
この精神科医・伊良部が活躍するのは『イン・ザ・プール』に続いて2冊目らしいのですが、この本だけ読んでも十分面白いです(でも、ぜひ前作も読みたい!)。うふうふと素直に笑える楽しい作品。通学途中のバスで読んでいて、笑いを噛み殺すのに苦労しました。いいなあ、こんなお医者さんだったら、私も通ってみたいかも。読むと明るくなること請け合いです!
三浦 英崇
評価:B
他者から相談された悩み事を、解決しようとする努力なぞ一切せずに、ただ自分の好きなように振る舞っているうちに、結果として何故か解決してしまう。相談した他者は、彼の自由奔放、というか常識なぞ端から相手にしていない破天荒ぶりに翻弄され、腹立たしささえ覚えながらも、結末では、悩みが一掃されているのに気付く。かっこええなあ。
人相風体行動すべてにわたって、怪しすぎる本編の主人公、精神科医・伊良部。比較したら互いに嫌がるだろうけど、京極夏彦氏の一連の「妖怪」小説シリーズで、何一つ調査しようとしない「超」探偵であらせられるところの榎木津礼二郎の持つ「異形」の臭いを、彼にも感じました。口にこそ出しませんが、きっと伊良部も、自分を「神」だと思ってるに違いありません。ええ、間違いありませんとも。
もっとも、小説で読んでる分には「かっこええなあ」で済むけど、実際に関わり合うのは絶対に嫌。だって、人の話聞かずに、いきなりぶっとい注射打とうとするしな。