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ブルースノウ・ワルツ
【講談社】
豊島ミホ
定価 1,260円(税込)
2004/5
ISBN-4062123509
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:A
裕福な家庭で育つ楓に、突然野生児の弟ができる。父の研究対象である弟との触れ合いをきっかけに、大人になるということについて考え始める楓。つまらない大人になることへの恐怖というのは、楓に限らず誰もが一度は抱いたことのある感情だと思う。そして、そのような感情を抱いたとき少女は女性への過渡期を迎えているのだということを、この小説は説いているように感じた。
最近若い作家の方がたくさん出てきていますが、言葉の使い方にこだわっていて一字一句まで読みこませる作品が多いと感じます。豊島ミホさんの文章もまさしくそう。短いけれど読ませる文章です。作者と同じ世代(十代後半から二十代前半)の方には、特に読んで頂きたい作品です。
桑島 まさき
評価:B
童話のような物語だ。主人公・楓は大人になりたくない少女。母親よりもメイドに世話してもらっている屋敷にすむお嬢様。13歳にして11歳の親が決めたフィアンセがいる。相手の少年は至極自然にそれをうけとめていて、大きくなったら2人でオペラ座やダンスホールに行くんだよ、と平然と言っている。父と母、楓の3人家族の中に野生児(後にユキと名づけられる)の少年が楓の弟として引き取られる。父の研究用として。まるで「ターザン」のような少年だ。
楓の、大人になりたくない、という思いを母親がみすかし凄まじい形相で娘を諭すシーンは圧巻だ。そう、本作の母娘の関係性はグリム童話の世界観を踏襲している。その前時代的な雰囲気を何くわぬ顔で書き何となく読ませてしまう著者の技量にちょっと感心。
屋敷の中で現状を受け入れられないのは2人だけ。少女から女になることを仕方なく受け入れる楓の決意。「野蛮」な生活を諦めなければならないユキの悲哀。それまで慣れ親しんできた生活への決別と、やがてくる生活への不安。共通の想いを抱えた楓とユキが踊るクライマックスはしみじみとする。
古幡 瑞穂
評価:B
表題作は突如野生児の弟ができたお嬢さんのお話。この子、とってもいい生活をしていて、幼いながらにして婚約者がいたりもするのです。でもこういった生き方を強いられる大人なりに我慢し自分を飾り付けることをしなければならないわけで、思春期ならではの葛藤が描かれています。たぶんこういうことを言いたいんだろうなという想像はできるけれど、もうちょっと肝心なところはストレートな言葉で表現してくれたほうが胸に刺さってくるんじゃないかなぁ。読んでいるときの感情の針がどこにも振りきれることなく終わってしまったのが残念でした。
私にとってはもう一編の短編『グラジオラス』のほうが良かった!内容はさておき、田んぼのあぜ道と夜の闇の暗さを知っていた子どもの頃の風景が蘇ってきて懐かしかったなぁ。
松井 ゆかり
評価:B
どのように受け止めたらいいのか、よくわからない小説だった。
子どもとも言い切れない、大人とも言い切れない、10代前半というどっちつかずな年頃の少女のもどかしさや焦燥感を丁寧に描いた作品だと思う。主人公楓は、研究者の父と社交に忙しい母をもつ上流階級の娘である。父親の研究対象である「野生児」(山奥で発見された言葉を持たない少年)が「弟」として引き取られてくるとか、13歳にしてすでに婚約者がいるとか、現実離れした設定ではあるものの、そこにいるのはまぎれもなく憂鬱と孤独を抱えたひとりの少女だった。
楓はこれからどのように生きていくのだろう。そのあきらめをたたえた瞳にどんな未来が映っているのか。「弟」ユキとの交流は楓の心をどれほど動かしているのか。読者の哀れみや同情を拒むその少女の姿に、私も途方に暮れるばかりだ。
松田 美樹
評価:C
物語は、大人になってしまった人たちと、大人になりたくない主人公の少女と、大人には決してならない少年が登場します。少女は大人になることを周りから否応無しに押し付けられ、拒否するにも戦う武器を持っていません。そこへ、野生で育った少年を義弟として引き取ることになり、外界(文化)と接触を持たなかったことで大人になる術を持たない彼と少女のぎこちない交流が始まります。
ずいぶんと昔に「大人になるってどういうことだろう?」と考えていたことを思い出しました。すっかり大人になってしまった今にして思うと、「大人=汚い」とか「大人=計算高い」とか「大人=自由じゃない」とかいろいろ周りが言っていたことは納得もするけど、それは正解ではなかった。ぎゅうぎゅうにがんじがらめになっていた思春期とは違って、余裕もあるし、大人って結構楽しいじゃんと思う今日この頃なので。大人になるって、確かに不自由なところもあるけど、思春期より心は安らかだ!と少女と10代の頃の私に伝えてあげたくなりました。
三浦 英崇
評価:B
「愛するもの、かけがえのないものを失って、ぼくたちは大人になってゆくのか……」
高校生の時に観たアニメ映画の中での台詞です。この台詞を聞いた時、俺はもう「子供」には二度と戻れないんだろうなあ、と、そこはかとない寂しさを感じたのを、今でも覚えています。一人称に「私」を使い始めたのも、たぶんその頃から。この作品は、その時感じた幼年期の終焉に対する寂寥を、改めて呼び覚ましてくれました。
箱入りの純粋培養で育てられたお嬢さま・楓の前に、父が「外」から連れてきた「弟」が登場。動物並の知能しか持たない彼との、ぎこちないコミュニケーションの積み重ね。そして……
三十路にもなると、喪ったものの尊さに再び気付かされることはなかなか無いのですが、時に、このような作品に出会うことで、今はもう失ってしまった、愛するもの、かけがえのないものを、たまに呼び返してみる必要があるのかな、と思いました。