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├2001年6月
└2001年5月
禁じられた楽園
【徳間書店】
恩田陸
定価 1,890円(税込)
2004/4
ISBN-4198618461
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
不思議なオーラを放つ美術家・烏山響一。その彼に導かれ、熊野に作られた巨大プライベート・ミュージアムへと足を踏み入れていく人々。そこは、子どもの頃経験した恐怖を増長させる幻想野外ステージだった。
じわじわとした心理的恐怖を描くのは、恩田陸さんの十八番だと思います。ホラーは苦手な方ですが、野外美術館という舞台の中で、仕掛けが次々に出てくるのに好奇心を刺激され、一気に読んでしまいました。ただ、終盤ぎりぎりまでスケールの大きな話が繰り広げられていたため、結末がやや尻すぼみになってしまった感は否めません。
こんなテーマパーク(?)が実際にあったら、怖いもの見たさで少し行ってみたい気もします…。
桑島 まさき
評価:B
SF作家による新作。視覚的に読者を驚かせるのではなく、じわじわと真綿で首をしめるような心理的恐怖を与えていくホラー小説だ。〈烏山響一〉というなんとも魅力的で魔性の匂いがプンプンする世界的に成功したアーティストを触媒にし、〈選ばれた人々〉を恐怖の舞台、熊野へと誘う。神々しい聖地、そこに現出する壮大で不気味な伝説的な旧家。物語の舞台は神話的かつ土着的なキナ臭さを漂わせ効果抜群! その上、幻想的だ。
選ばれた登場人物たちは無関係に見えるが、奇妙に交錯しながら〈烏山響一〉という男によって、巡りあう。謎をあちこちに点在させ、ついにその謎が線になっていく過程に辿りつく興奮はミステリーの醍醐味だ。しかも彼らの心の奥底に眠る過去の〈傷〉…それはなにかの拍子にふと覚醒し不安を与えるもの…を触発し恐怖に陥れていく。人の心を読み弱点をつく悪魔的な〈烏山響一〉を倒すことはできるのか? 迷路の出口は愛か死か? 結末がどうなるか気になりながらワクワクしながら読まされた。
藤井 貴志
評価:B
自分の才能を信じていない「普通の」建築科学生・平口は、同居する姉とともに平凡な毎日を送っていた。そんな彼の前に、世界的なアーティスト・烏山響一が同級生として登場する。近寄りがたい雰囲気の漂う響一だが、平口に対してはなぜか親しみをもって近づいてくる。当の平口は、どうして響一が自分に親しげなのか理解できないが、並み居る取り巻きの中から自分が選ばれたことに密かな優越感を感じる。やがて平口は、同じように響一に見初められた1人の女性とともに、響一が熊野に築いた巨大な作品群を訪れる。そこに待っていたインスタレーションは、見る者の心の奥底にある悲劇を呼び起こす想像を絶する世界だった……。
気になっていた謎がどんどん解けていくのは快感だが、その多くの謎が(ロジカルな事実ではなく)精神世界的な根拠によって解かれていき、少し納得できない面もある。でも、そもそもこの物語全体が非常に禍々しい「精神性」に拠っており、それが本作の魅力であるのだから仕方ないか……。
古幡 瑞穂
評価:B−
『月の裏側』を読んだ後は、雨の日に裸足でいるのが怖くなりました。怖さを分類するとすると、今度の怖さは禍々しさに対峙した時の得体の知れない不安感とでもいいましょうかね?
恐ろしいくらいのカリスマ性を持った大学の同級生烏山響一。この人を中心に、まるで糸に絡み獲られるようにして引き込まれていく主人公たち。なにが仕掛けられているのか?恐怖の震源地には何があるのか?ぐーっと引き込まれます。今回恩田さんが用意したのは、驚異的なスケールのインスタレーション。これももちろん怖いんですが、登場人物たちが時折見せる表情が怖い。誰を信じていいんだかわかんなくなるんですよ。映像になったら興味深いものになりそうです。
が、残念だったのはラスト。謎が一挙に解決されていくんですが、突如別の世界に飛ばされてしまったような気がします。そこでちょっとマイナスです。
松井 ゆかり
評価:C
この結末を拍子抜けととる人は多いと思うが、私はこの程度で済んでほっとしている。もう勘弁してください、って感じだったから。
終盤まで、じわじわと恐怖を盛り上げていく。ちょっと思わせぶりすぎる感がないでもないけど、文章の力だけで、これだけ読者に恐ろしさや嫌な感じを突き付けてくる描写力はすごい。この後どんなおそろしいことが待っているのだろう、とつい想像してしまう恐さに耐えられず、寝不足になるのを承知で最後まで一気に読んでしまったくらいだ。もしかすると、逆に映像になってしまったらあまり恐くないかもしれない(私は怖がると思うが)。受け手のイマジネーションに強烈に訴える作品なのだろう。恩田陸という作家の才能を見せつけられた思いだ。
恩田さんといえば、角川書店のPR誌「本の旅人」に連載中の「ユージニア」がまた、すっごくおもしろい!次号が待ちきれず身悶えしながらじりじりと日々を過ごしている。響一に魅せられた捷のように。
松田 美樹
評価:C
どんなものに恐怖を感じるかっていうのは、個人差はあまりないように思います。そんな誰でもが抱く「恐怖」の種類の1つは、未知なるものへの不安。対象物が何なのか知らないからこそ膨れ上がる想像力に、つい自分自身が絡め取られてしまうといったような。このホラー作品では、まさにそんな恐怖がたっぷり味わえます。
大学時代の友達・黒瀬に偶然再会した星野。有名人である同級生・響一に魅入られていまった捷(さとし)。違う場所で進むそれぞれのストーリーですが、二人は相手に嫌なものをを感じながらも、それに抵えずに誘われるままどんどん先へと進んでしまいます。そこに行っちゃだめと思いながら恐いもの見たさに先へと行ってしまう二人。どこへ連れて行かれるのかという得体の知れない世界への恐怖。そしてどんどん高まっていく不安感。2つのストーリーが合わさり、未知なるものの謎が解けるラストシーンと、思いもよらぬ展開に恩田陸らしさを感じました。映像化したら、もっと恐いかも!
三浦 英崇
評価:B
かつて同じ作者の「まひるの月を追いかけて」の書評で、どこに連れて行かれるのか分からない「恩田マジック」について書きました。今回は、ことに、行先の不明さが魅力に直結するホラー小説、ということもあり、期待は十分です。
ごく一般のホラー小説とは一味違う、一歩間違うと「どこが恐怖なんだよ」とツッコミかねないけど、やはり「恩田マジック」としか言いようのない、一種独特の読後感。
得体のしれない芸術家からの誘いを受けたり、行方不明の旧友を追いかけたり、といった経緯で、登場人物たちが集結する聖地・熊野。山中に築き上げられた「パノラマ館」の恐怖もさりながら、終盤で全容を明らかにする「存在」には、恐怖よりむしろ「畏怖」を感じました。
そう。この作品は、一見「ホラー」のふりをしつつ、実は読者の心を、ある方向に押しやる意図で書かれているのです。あたかも、この作品内に登場する、謎めいた話題作「カーテン」のように。