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暗黒童話
【集英社文庫】
乙一
定価 619
円(税込)
2004/5
ISBN-4087476952
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:B
事故で記憶と片眼を失った女子高生「私」。彼女は左眼の移植手術を受けるが、その左眼は以前の持ち主の記憶を「私」に見せるのだった。左眼の記憶を頼りに、元の持ち主を探しだした「私」を驚愕の事件が待っている。痛く気持ち悪い物語である。眼球というのは人体の中で最もデリケートな部分の一つではないだろうかと思うのだが、乙一はそこを容赦なく突いてくる。冒頭の眼の見えない少女にカラスが眼をあちこちから盗んでくる童話からしてもう痛くてしかたない。あたり前のようにある私たちの臓器があっちへいったりこっちへいったり、思わず手足、眼を確認してしまう。また、記憶という、眼に見えない、しかし確実にそこにあるはずのものを失った「私」を通して不安感がつのる。犯人の見当が途中でついてしまうし、その心の闇をあまりのぞくことはできないのが少々不満なところだ。しかし全体に漂う不気味さは見事。小難しくもなく、読み手に優しい文章でばっちりとその世界に引き込まれる。
斉藤 明暢
評価:B
昔からホラーの類は苦手だったが、特に最近の国産ホラー映画とかは、絶対に見たくないと思っている。何故なら、とてつもなく怖いからだ。
小説にしろ映画にしろ、洋物ホラーとかいうのは、ある程度冷静に作品として見られる部分がある。残虐な描写もどこか演出っぽさが目についたり、お約束のようなノリが感じられたりして、気持ち的に距離感を保っていられる。それが何故か日本や韓国の作品だと、胃腸に直接影響を及ぼすぐらいダイレクトに怖い、もしくは気持ち悪いことが多い。描かれる世界や人物になじみがあると言うこともあるし、肌で感じる何かがあるのだ。
読む人に強い恐怖や嫌悪感を与えるということが、怖い作品を作り出す人の醍醐味だとしたら、この作品は大いに成功している。通勤電車で読むのが辛かったほどだ。
竹本 紗梨
評価:B+
女子高生の菜深は、ある寒い冬の日に通行人の傘に目を突かれて、片目を失明してしまう。眼を失ったショックで記憶喪失になった菜深はまるで別人のよう、どこにいても深い孤独を感じる。自分を自分と認めてもらえない、そんな毎日の中異変が起こる、移植手術をした左目から映像が見えるようになったのだ。その映像は、眼の持ち主だった冬月和弥の生前の映像。ある犯罪に巻き込まれて和弥が命を失ったことに気がついた菜深は、彼が住んでいた町に家出同然で飛び出した…。挿入される童話と菜深の不安な気持ちとがあいまって、重苦しい不安感が暗い森のよう物語につきまとう。菜深の焦燥・不安、そして命、痛みを我が物にするその犯罪、まさに暗黒童話は繰り広げられていく。作者初の長編小説で、荒削りなところはあるけれど、その童話の中で必死に戦った「菜深」は確実に存在したのだ、という主張はとてもストレートに心に届いた。
平野 敬三
評価:D
本当にいま読むと辛い。乙一作品の特徴として、悪趣味の向こうに「善意」が必ず存在することがあげられるが、この作品に関してはすごく安っぽくなってしまっている。物語の運びにも意外性のかけらもない。本書で初めて乙一に触れる方には「こんなもんじゃないっすよ、彼は」と言いたい。ただ、個人的には後追いで読んだ為か、ああ乙一も天才じゃなかったんだ(安堵)、という思いはある。こういう明らかな失敗作は著者にとっても読者にとっても必要だから。「暗黒童話」後の作品を知っているからこその安堵ではあるが。
藤川 佳子
評価:B
ゾゾゾと痛い物語。残酷さとエグさが、いかにも現代っぽいお話です。左の目ん玉と同時に記憶を失った主人公の少女が、新しい目ん玉を移植されたことで、その目の持ち主だった少年が生前に見た殺人事件を左目を通して知ってしまい…。
また目ん玉だよ! 『逃亡作法』でも目ん玉飛び出てたよな。目玉をくり抜いたり、目玉が飛び出たりって、ビジュアル的に一番オェっときませんか? しかもですね、手足を切断されたまま袋詰めになって生きてる女の子や、胴体同士をくっつけられた男女カップルなどが登場するんです。おぉー、駄目だー、読めない。いや、最後までもちろん読みましたよ。指と指の隙間からそーっとね。
こういう残酷な描写がお好きな方にはオススメです。
藤本 有紀
評価:B
B級な感じがなんとも軽快で、何にも考えさせられない娯楽小説もたまにはいいよね、と思っているうちに読み終えてしまった。雑踏で他人の傘の先がまぶたに突き刺さり、落としたコンタクトレンズを探すように眼球を探す女子高生の描写から始まるダーク・ファンタジーである。事故とともに記憶をなくした菜深は、移植を受けた眼が映し出す光景をたどって眼球の元の持ち主・和弥の暮らした町にやってくる。行方不明の少女を追っていたらしい和弥の行動を追体験するうちにある館に辿りついた菜深と、少女を誘拐し館に閉じ込める暗黒童話作家・三木が徐々に接近していくスリリングなストーリーと、御茶漬海苔のホラー漫画『惨劇館』を思い起こさせる非現実恐怖絵巻が見物。この作品、実はマイ・ファースト・乙一なのだが、たぶんここではその実力の片鱗しか見せていないのだろう。期待をこめて別の作品も読んでみたいと思わせる。
和田 啓
評価:A
『ZOO』でブレイクした福岡出身の乙一(おついち)さん。読了後ほんとうに困った事象が発生した。夕方、カラスが泣いていると自分だけに泣き声が向けられているのでないかと慄いた。烏が喉をゴロッとさせた瞬間、吐きそうになった。誰か人間の眼球を飴玉のように口の中でシャブっているのではないかという想像が、頭から飛び出そうになった。街を歩いているとカラスの視線から逃れられない……等、被害は甚大だ。
移植した眼球の箱が開いて、前の持ち主の人生が視界に映るという設定が白眉。眼球はふだん、今そこに在るものをスコープしてくれる器官であるが、夢や記憶、想像といった脳の作用で別現象をもときに視覚として映し出してしまう。
乙一は鬼才だ。冥界から突如現世に甦ってきたような書き手である。