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カエサルを撃て
【中公文庫】
佐藤賢一
定価 780
円(税込)
2004/5
ISBN-4122043603
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:A
光の神ルーゴスと見まがうほどの美貌をもち、ガリアの王として君臨したヴェルチンジェトリクス。一方、ローマの大政治家として名高いカエサル。本書はその二人の視線で語られるガリア戦記である。美しく自信満々でガリア人を率いるヴェルチンに対し、残り少ない髪やポンペイウスへの劣等感に悩まされるカエサル。歴史的にはカエサル・ローマの勝利のはずなのだが、カエサルのあまりにうじうじとした姿にひょっとしたらとガリアの勝利を予想してしまう。「ハゲで女たらし」として有名なカエサルではあるが、一人の悩める中年と描かれることで、上に立つものの苦悩がより身近に感じられる。一方、その存在が結局はカエサルを立ち直らせることになったヴェルチンの暴君ながらも強いリーダーシップが読み手をも元気づける。女がいつも道具のように使われているのが女子的には不愉快なのではあるが、苦悩する中年男と美しい青年の命をかけた戦いにほれぼれするのである。
平野 敬三
評価:B+
歴史というものが勝者の側から語られるのが常だとすれば、それに真っ向から異を唱えたのが本書である。原寸大のカエサルの醜さと、滑稽さ。そして再生。「賽は投げられた」しか知らない、歴史に疎い僕も楽しませてもらいました。やはりむき出しの人間を描いた小説は、多少の難があってもぐいぐい読ませる。描写というよりも独白のコマ送りというべき著者の筆さばきに疑問符を付けたくなるのも事実だが、作品の魅力を考えるとき、それはさほど大きな問題点ではないのかもしれないと思えてくる。勝利とは何か敗北とは何か、さらりと語るにはこのような荒技が必要なのかもしれない。そしてなによりカエサルとガリア王の苦悩と焦燥がまっすぐに胸に刺さってくるのがいい。けっこう、ビジネスマンに受けると思います。
藤本 有紀
評価:AA
アイルトン・セナが死んで以来、巨躯の色男・ヴェルチンジェトリクスほどのヒーローらしいヒーローに出会った記憶がない。若く逞しく色気があり孤高の美しさを漂わせるヴェルチン。1セクシー2孤高3早世のイメージを持つヒーロー像の一典型にがっぷりはまったひとりの男が、ガリア王という宿命に自らを捧げた物語。
ローマの侵略からガリアを守るため放逐された都に戻ったヴェルチン。諸族を束ねた若きガリア王が対峙する、ときのローマ人総督が痩躯の中年男ユリウス・カエサルである。後退する頭髪にみみっちく執着し、保身に走るカエサルは「英傑ジュリアス・シーザー」のイメージには遠くヴェルチンと好対照をなす。だが、カエサルは転んでも転んでも起き上がる不屈の中年男だった。カエサル然り、危ないほどに嗜虐的なヴェルチン然り、アンチヒーローの中にヒーローを、またはその逆という手法で佐藤賢一が生み出す人物はなぜこうも愛すべき人物となるのだろう?
「男は殺され女は犯される」という侵略戦争の持つシンプルで残虐な事実を描いた戦記小説としても、男同士のプライドがぶつかり合う活劇としても、はかなくて夢見心地の恋愛物語としても傑作。
和田 啓
評価:A
時は紀元前。舞台は絢爛たるローマ。主役はガイウス・ユリウス・カエサルである。
共和政を敷いていたかの国では、元老院なる貴族院的な機構が意思決定力を持つ最高権力機関であった。そこにカエサルという比倫を絶した政治家にして文人家が時代の宿命を背負って勇躍する。ここまでは通説。
「すべての女性の男であり、すべての男性の女である」と云はしめた彼の人間像。元老院の門閥派からの容赦ない抵抗や策略、地方部族の反乱を受けながらも圧倒的な民衆の支持を彼は受けていた。懐深く、心は広く、その温かさと笑顔の魅力で万人の心を魅了した彼の内面の苦悩、独白そして繊細さがわたしを陶然とさせた。頂点に立てば立つほど人間は危機感、劣等感を背負わざるをえない。絶対的に孤独であるからだ。
大いなる歴史は人を待たず、彼もまた岐路に立ち、判断を委ねられる。世界は天秤のようなものなのか。