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├2001年7月
├2001年6月
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チルドレン
【講談社】
伊坂幸太郎
定価 1,575円(税込)
2004/5
ISBN-4062124424
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:A
常識を持ち合わせていない家裁調査官・陣内。勘の鋭い盲目の青年・永瀬。ハチャメチャな行動をしているようで、最後には事態を丸く収めてしまう陣内はあっぱれの一言。伊坂先生はキャラを描くのが本当に上手いと、毎作思い知らされます。是非この作品を読んで、陣内に惚れて下さい!伊坂先生お得意のどんでん返しも、五編全てにおいて健在です。
おめでたいことに、この作品は第131回直木賞候補作なんですね。この書評がアップされる頃には受賞作が決定していると思いますが、伊坂作品は個人的に大好きなので是非良い結果が出て欲しいものです。
桑島 まさき
評価:B
「オーデュポンの祈り」でデビューして以来、巧妙に読者を惑わしてきた“騙しの名人”による新作。この作家の人を見る目は温かい。本作を読んで改めてそう思った。
5つの短篇からなる連作小説。交錯する人々の中でも〈陣内〉という男だけが一貫して登場し異彩を放つ。
家裁調査官の〈武藤〉はグレた少年少女を更生させることに使命を燃やしている。先輩は〈陣内〉。どこか投げやりで無鉄砲な達観した〈陣内〉は少年たちに慕われている。その〈陣内〉は、少年を更生させるのは奇跡に等しい、大人がカッコよければ子供はグレないのだ、と厳しく言い放つ。更生させたと信じてホッとしていた〈武藤〉は何度も子供たちに裏切られた苦い経験をもつだけに人を〈変える〉ことの困難さを身に染みて感じている。
それだけに繊細でナマの感情をもったチルドレン相手の仕事につく彼らと少年たちに奇跡が起こる時、なにより〈陣内〉の意味不明な(?)行動についググッときてしまった。直木賞とれるかな?(選考は本稿入稿後)
藤井 貴志
評価:A
吉川英治文学新人賞作家である伊坂氏の作品を読むのは初めてだったが、引き込まれるように一気に読むことができた。本書はオビで著者が述べているとおり「短編集のふりをした長編小説」で、各物語のつながりは非常に強いので、最初から通して読むことをおすすめしたい。
個性的な登場人物の中でも、陣内という登場人物の魅力が際立っている。この男、いい加減で滅茶苦茶に見えるのに気が行き届いていたり、乱暴な行動の末に心優しさが伝わってきたりと、何とも見た目と実態のギャップの大きさい人間なのである。こういう人って実際にはなかなかいないだろうなぁ。僕らが暮らす社会では人間をある一面からしか見られないので、このように裏の裏まで書き込んで人間像を紡ぎ出せるのは小説の特権だろうか。
そんな陣内は、銀行強盗の人質になっているのに突然歌い出すなど、やたらに周囲を引っかきまわすのだが、そんな不可解な言動も最後に見事に辻褄が合うのが読んでいて心地いい。また本書では音楽が重要な要素として扱われていて、ビートルズやパンクロックをここぞという場面で持って来るあたりもお見事である。
古幡 瑞穂
評価:A+
“短編集のふりをした長編小説です。帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。”と伊坂さんご本人が書いてらっしゃいますが、その意味を体感しました。実はこの作品のいくつかは雑誌連載時に読んでいたのです。が、並んで一冊になるとこれが別の味が出てくる。あぁこのシリーズの醍醐味はこれなのねーと。要は短編で読んだ人はまだ良さの数%しか享受してませんっていう話です。
内容は『重力』や『アヒ鴨』系。キャラクターは『陽気なギャング』系。ステレオタイプなキャラを用意したために一つ一つの話と、その繋がりがとてもわかりやすくなっていて取っ付きやすい小説になっています。文体はクールだけれど人を見つめる著者の温かさが伝わってきます。私は無茶苦茶な上に飄々としている陣内くんに釘付けです。(多分現実世界にいたら思わず目をそらすだろうけど)
松井 ゆかり
評価:A
伊坂幸太郎。夫と息子たちを除けば、現在最も気になる男性だ。だって伊坂さんの小説かっこよすぎるもの。彼の著作を読んだことのない方には「とにかく読むべし!」と言うしかないし、読んだことのある方には下手な推薦の言葉など必要ないだろう。
5つの物語はどれもしびれるが、「チルドレン?」はとりわけぐっときた。すべての話に登場する陣内は、私にとっての“萌えポイント”をほぼ完璧に備えた逸材である。そして、伊坂作品では女性キャラも実にいい(あまりこの点を挙げている書評などを読んだことがないけど、みなさんすぐにお気づきですね)。
この文章を書いている間にニュースが飛び込んできた。「チルドレン」が第131回直木賞候補作になったというのだ。奥田英朗さん北村薫さん東野圭吾さん…と並みいる強敵が揃っているようだが、伊坂さんにとってもらいたいなあ。動く伊坂さんを見られるかもって、そこが大きなポイントなんだが。
松田 美樹
評価:A+
周りに変わった人っていませんか? 思いもよらぬ行動をして、いつも周囲を驚かせる人。そして、たとえその人のせいで迷惑を被ることになっても、何故か憎めない、そんな人です。もし、あなたの近くに該当する人物がいるのでしたら、ちょっとその彼(または彼女)を思い浮かべてみて下さい。準備はいいですか? では、その人を更に10倍も20倍も変にして、更に憎めない度合いを100倍にしてみて下さい。そうして出来上がったのが、この物語に登場する陣内君です。締まりかけの銀行に入ったばっかりに銀行強盗に会い、そこで大人しく縛られていればいいものを「銃なんて偽物だろう!」と決めつけて犯人に襲い掛かる陣内君。無謀だ。何て無謀な人物なんだ。でも、この陣内君、無謀なだけでなくて魅力もたっぷり。銀行強盗に巻き込まれた婦人が緊張感と不安から泣き出したのを見て、犯人すら心奪われる歌を歌い始めるなど、とにかくやることなすことがどれも憎めない。「変わった奴、でも憎めないランキング」をつけるとしたら、間違いなく今年のナンバー1だ!
三浦 英崇
評価:A
「起こらないから、奇跡って言うんですよ」
不治の病に侵された、あるゲームのヒロインの台詞。生きるのを諦めかけていたヒロインに、起こらないはずの奇跡を起こすのは、主人公の、一途にヒロインを思う心でした。それは、この作品においてもまた然り。奇跡を起こすための原動力は「俺たちは奇跡を起こすんだ」という、人の強固な意志です。
「日常の謎」路線、というには、あまりに奇妙すぎるシチュエーション。一見、奇跡的な力でも働かなければ生じるはずのない謎の状況が、真相を解明してゆく過程で、奇跡性を消失してゆく。そして、謎の解明自体が一つの奇跡と化してゆきます。
「奇跡は、起こしてこそ価値があるものよ」
成功確率の限りなく低い作戦に臨んだ、あるアニメの司令官の台詞。五つの作品の中で生じた、五つの奇跡。どれも、起こすに値するものばかりでした。読み終えて、奇跡を生じせしめた人の心の強さに感謝しました。