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すきもの
【講談社】
前川麻子
定価 1,680円(税込)
2004/6
ISBN-4062124351
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:A
AV男優・塩野谷の性と悲哀(卑猥の間違いではありません・笑)を描くエンターテイメント小説。性をテーマにしていながら読後感が比較的爽やかなのは、8篇全てにおいて登場人物の内面がしっかり描かれており、一編一編の長さも長すぎず短すぎず、さっくりしているからだと思います。塩野谷シリーズ(勝手に命名)の他にも、ゲイ、痴漢等をテーマにした話が軽いタッチで描かれており、かなり盛りだくさんな内容になっています。
さくさく物語が展開していくので、休日にじっくり読むというよりは、通勤電車やお昼休みなどに暇を見つけて読む方がより楽しめる一作だと思います。
桑島 まさき
評価:B
少し前に読んだ著者の「ファミリーレストラン」は、少女が複雑な家庭の中で大人になる過程を、義兄への淡い想いや母とのギクシャクした関係性を絡めながら描いた胸がキューンとなる「家族小説」だったが、今度はガラリと赴きを変えて「情痴小説」(?)だ。8つの短篇が収録されているがそれぞれに官能的な性交シーンがたっぷり熱く描かれている。それは週刊誌の安っぽいエッチシーンではなく工夫の跡が感じられる。
登場人物たちは、AV業界に生きる人々だ。なかでも演じる男優や女優はいわずもがな体をはった職業人だ。好きで選んだ仕事なのだろうか? 「うどん」の女優は、「裸の仕事が好きだ。ありのままでいる自信はいつまでも持てないが、取り繕う自分さえ透かされて許されている気がする」と言い、「すきもの」の女優は、「求めるものは身体の快感であり、価値のすべてだ」と堂々と言っている。家がビンボーだから仕方がなく…なんて前時代的な理由ではなく自分の意志で仕事を選択しているのだ。
しかし淫らさを訥々と語りながらも切なさを隠せない。女の本音が描かれていて興味深い。
藤井 貴志
評価:C
セックスによって自我を確立している人たちのそれぞれの想いを描いた連作短編集。AV男優やAV女優、ゲイ、痴漢といった主人公たちが、セックスをとおして相手を正面から見つめ、ときには同時に自分や肉親をも見つめ直す。本書を読むと、「心のつながり」の先に「体の結びつき」があるのではなく、それらはまるで表と裏のような同時性のものだと思えてくる。
性行為の描写は人目のある場所で読むことをためらわせるほどに(?)生々しいが、セックスの背景にある切なさややりきれなさが丁寧に描かれているからか、それほどいやらしさは感じなかった。とは言え、セックスという「快楽」とその裏の「哀しみ」を同次元で描くのは小説で性を扱うときの常套手段でもあるので、もうひと仕掛け欲しかった気がする。
古幡 瑞穂
評価:B−
全編濃厚なセックスで彩られた小説群です。そのむこうに見える哀しさ、愛おしさ。しかもこの登場人物たちは、ほとんどがセックスにまつわる仕事に従事していたり、特殊な性癖の持ち主だったりします。
「女はどうして体を弄ばれたって言うんだろう。そもそも恋なんて身体でするものなのに……」などというような一節があってそれが非常に心に残りました。すごく正直な一言じゃないですか?この言葉。
誰でもきっと自分の欲望には正直に生きたいと思っていて、それでもその正直さを言葉で表現するのって難しいのだと思うのですよ。だから人と身体を重ねることでそれをカタチにしていくんだろうな。とかそんなことをつらつら考えさせられました。
それはさておき『ファミリーレストラン』にじーんと来た印象のまま読んだので、あまりの濃さにびっくりしましたよ。
松井 ゆかり
評価:C
5月の課題図書だった同じ前川さんの著書「ファミリーレストラン」は割と気になる作品だったのだけど、今回の「すきもの」はちょっと刺激が強すぎた。もちろん、こういう物語を必要としている人がいることはわかる。ただ、10年以上結婚していて子どもも3人いる女が言うのもカマトトと思われそうだが、あまりこういう赤裸々なのって趣味じゃないみたいだ。
前川さんはたぶん、直球勝負な人なのだと思う。エッセイなどで読んだ限り、私生活においてもとてもエネルギッシュな方とお見受けする。これはもう、傾向の違いとしか言いようがない。前川さんと私は同じ1967年生まれ。クラスは一緒、しかし仲良しグループは別、という同級生を見るような気持ちだ。好みは違えど、エールを送りたい。
松田 美樹
評価:B
“性(セックス)”をテーマにした短編集。中でも、「携帯情事」にクラクラしました。大学生の彼氏がいる女子高生・美貴は、「セックスなんて、面白くもなんともない」と言いながら、彼氏とラブホテルで逢瀬を重ね、着々とその技術を磨いています。彼女の母親には愛人がいて、母親の携帯電話に届いたメールを見た美貴は、愛人に会いにホテルへ行き、「母親の代わりに来た」と告げます。二人はベッドへと向かい、そこからはかなり濃厚なセックスシーンが。これだけだと、単なる(?)セックスメインのストーリーでしかないのですが、ラストシーンで交わされる母と娘の会話に打ちのめされました。愛人を寝とられた母親と、寝とった娘が交わす会話。さっきまでの官能の世界から、ありふれた日常への移行。その変わりっぷりにすっかりやられてしまいました。
三浦 英崇
評価:B
正直、電車の中で読み進めるのには、いささか辛かったです。朝の通勤列車の中で、こんなに濃厚な性欲話を次々語られた日には、会社でもしばらく仕事が手につきませんてば。読む場所と時を非常に選ぶ作品群だと思います。
ただ、ここまであからさまに真っ正面から語られると、いったん、自己の作り上げてきた嫌悪感や羞恥心の壁さえ超越してしまえば、むしろ、今までここの課題図書として読んできた、数々の「辛い」情欲丸出しな小説に比べて、はるかに読ませる作品になっていると思います。例えば、AV男優の第一人者になっても、自己の仕事への誇りと羞恥心に、絶えず引き裂かれそうになっている中年男の心の揺れ具合には、住む世界こそ違えども、大いに同調できるものがあったし。
決して、好みの作品という訳ではありませんが、最後まで読ませてしまった上手さに対し、これだけの評価を付けるに足る作品だと思います。