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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
私が語りはじめた彼は
【新潮社】
三浦しをん
定価 1,575円(税込)
2004/5
ISBN-4104541036
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
村川に惹きつけられた女達。そして、そんな父の奔放な生き方によって運命を狂わせられた彼の子ども達。彼らの視点、さらにはその彼らの周囲の視点で描かれた6つの物語。短編集のようで長編小説であり、長編小説のようで一つ一つが独立した物語となっている。 全ての物語が村川という一人の男をキーワードにしておりながら、彼についての情報は、歴史学者であるという一点のみしか最後までわからない。読み終えてその事実に気付いたとき、作者の筆力に改めて驚かされた。
それにしても、装丁が狙って作られていると感じたのは私だけではないのではないでしょうか(笑)。ここまで物語のイメージとリンクしていないと逆に「潔い!」という感じです。
桑島 まさき
評価:A
故・有吉佐和子の作品に「悪女について」がある。悪女とよばれた死んだ女について彼女に関わった人たちが語る。それは良い評価だったり悪い評価だったりする。6つの短篇からなる連作小説である本作は、〈村川〉という多くの女たちから愛され、自身も奔放に欲望の赴くままに女たちを愛した“火宅の人”的人生を送った大学教授の男について、人々が語る。どの短篇も主人公は男で、〈村川〉について語るのは、殆どが彼と深く関係した女や人生を狂わされた女だ。
女たちの中でも強烈な印象を残すのは〈村川〉を妻から奪い、彼の妻の座についた(W不倫の末)太田春美の凄まじいまでの妄執ぶりだ。それは、愛というより執着。物語の最初と最後に登場する〈三崎〉は尊敬する〈村川〉の生き様を鑑みて、「愛ではなく理解してくれ」と愛する妻に切望する。そして、「〈村川〉は沢山の女たちに愛されたが理解されなかった」と結論する〈三崎〉の愛を知るためのさすらいの旅は、ようやく終わるのだ。
では、〈村川〉は不幸な男だったのだろうか?
藤井 貴志
評価:B
ある家族を中心に、そこからはみ出してしまった人たちと残されてしまった人たちの、様々に揺れ動く気持ちを丁寧に書いた短編集。となれば普通ならホームドラマ風の小説になるところだが、ところどころに謎めいた仕掛けもあるのが心憎い。こうしてミステリー小説のエッセンスが加わることで、本書の読み応えは5割増しくらいのお得感があるのではないだろうか。
家族のような近しい間柄であっても、プライドや思い込みの積み重ねで、人は様々に傷つき、憤り、ときに他人には(もしかすると本人にさえも)理解できない行動にも走る。そんな人間のわがままやエゴを理解するのは疲れるが、本書のように「他人の心は誰にも先が読めない」と開き直って(達観して?)向き合うことで、読み手も楽に共感できる。
いずれも高レベルの短編だが、その「おしなべて上質な感じ」が逆に物足りなくもある。全体の中でギラリと目立つ一編がないのである。そう、子供の頃の同級生で「オール5」とか「オール4」のヤツに面白みを感じなかったのにも似た気分……。
古幡 瑞穂
評価:A
一人の男がいて、彼を愛した女たちがその愛を語る。この設定はそれほど珍しくもなく、ぱっと思い出すだけでも『ニシノユキヒコの恋と冒険』『ストロボ』など心に残る小説が出てきます。この本の特徴的なところはその語り手に男性を使ったところでしょう。恋によって狂わされる当事者をクールに見つつも女性に対しての見栄や嫉妬やエゴが見え隠れするから複雑な味が出ています。
ジャケ買いを誘いそうな素敵な装幀ですが、中身はこれでもかこれでもかといわんくらいに男女のドロドロした心理が書かれています。カラダや心に距離が出来ても、一度とらわれてしまった心が解放されるのは相当に困難なことなのでしょう。でもどうにかしてみんな折り合いをつけて生きていく…この余韻がまたなんとも言えません。これまで三浦しをんさんの作品は小説よりエッセイの方が断然良いなぁと思っていたのですが、これはいいです!
松井 ゆかり
評価:A
2年前に初めて著作を読んで以来、私はずっと“三浦しをん派”を自認してきた。しかし「私が語り始めた彼は」にはまさに打ちのめされた。これほどまでに見事な小説を書ける人だとは知らなかった。すごい、すごいですよ。少し古めかしく感じられる空気も、冷たく思えるほど抑制された文章も、心の動きを静かに浮かび上がらせる描写も、すべてが素晴らしい。三浦さんの作品についてならいくらでも語りたいことがあるはずなのに、探そうとすればするほど言葉を失うばかりだ。
物語の中心に存在するのは村川という男。6編の短編の語り手はみな村川の周囲の男性であるが、誰も彼の心に近づくことはできず、その内面が語られることはない。語り手たちもそれぞれに孤独を抱えているが、村川ほど深い絶望に捕らわれていた者はいなかったのかもしれない。
松田 美樹
評価:B
どこに一体魅力があるというのか、結婚しても、年を重ねてもなお女性たちが惹かれてしまう大学教授・村川。小説の中では描かれるばかりで、決して表舞台に出てこない村川を中心に、彼に惹かれ、人生を狂わせられた弟子、妻、再婚相手、息子などが彼について語っていきます。同じ男を書いているのに、語る人物によって彼の正体はくるくると変化していきます。芥川龍之介の『薮の中』を思わせるような、見えない真実に翻弄される人々は、少し滑稽にすら感じます。もしかしたら張本人の村川自身も真実が見えていないのかもしれません。ただ、思うがまま生きていただけなのに、何故か寄ってくる人々によって、人生を運ばれてしまった。もしかしたら、事実はそんなところなのかも。
三浦しをんさんは初めて読みましたが、不思議な読後感です。もっとこの人が生み出す世界を知りたいと思いました。
三浦 英崇
評価:C
ダメ人間なら、ダメ人間らしく、自分ひとりで堕ちていけばいいのに、どうしても周りの人間を巻き添えにしてしまうタイプの輩というのがおりまして。ええ、こういう奴に見込まれると始末に悪いです。
まあそれでも、ダメ人間だと分かっていて「この人には私が必要なの」と思い込んで近づいてくるような類ならば、本人自身は一時でも幸せを見い出せるし、切ろうと思えばいつでも関係を断てるからいいとして。問題は、そのダメ人間の家族になっちゃった人達。切ろうにも切れない悪縁。自分がこんなになった理由の一端は明らかにこの人のせい。そういう気持ちを抱えながら、一方で血のつながりに根ざした感情は断ち切れない。結果、自分自身が壊れてゆくしかない……
この連作短編集は、一人のダメ人間のせいで、周りの人々が皆不幸になっていくのに、ダメ人間当人だけは、のうのうと生き延びちゃっているお話です。各話の主人公に感情移入していると、心身ともにもちません。読み進めるのは、とても辛かった。