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蒼のなかに
【角川書店】
玉岡かおる
定価 1,785円(税込)
2004/5
ISBN-4048735365
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
川合 泉
評価:B
自ら立ち上げた編集事務所で編集長を務める漆原紗知。バツいち、子なしの紗知は四十代半ばにして、子宮ガンに侵される。女性にとって、子宮を失うということは何を意味するのか。入院することで仕事はどうなるのか。そして、元ダンナ、取引先の男、カメラマンと三人の男に対し、紗知はどんな決断を下すのか。 紗知の視点を通して、働く女性がいつぶつかってもおかしくない壁や悩みがとても丁寧に描かれています。ただ、終盤が前半に比べ展開が急に早くなったことが少し気になりました。現代の象徴であるバリバリのキャリアウーマンを主人公にしていますが、耐える女の象徴としての紗知の母や、巫女である祖母が出てくるため、各時代の女性像がこの一冊につまっています。特に、三十代後半以上の女性が共感できる一冊だと思います。
桑島 まさき
評価:AA
祖母、母、そして娘(主人公)へと連綿と繰り返される愛するがゆえの確執、女であることの哀しみ…女三代の物語は、「女流文学」の系譜に列する情感豊かな力作だ。
播磨の旧家に生まれた主人公・紗知の実家は有名な播州素麺を作っている。祖母は巫女、亡き母は素麺作りの兼業主婦だった。結婚に破れた紗知は故郷を捨て都会で編集事務所を経営し懸命に生きていた。独身、40歳半ばになり病気(子宮を失うかもしれない)のため入院を余儀なくされると、その間にこれまで必死で築いてきた仕事を失う危機に直面する。彼女を支えていた元夫や愛人も人生の選択をして去っていく。様々な災難が次々に紗知を襲い徒労と深い喪失感を覚える。
翼をもがれた白鳥(=紗知)が、故郷のすべての罪や汚れを吹き払う神がいるという揖保川で、降神の気配を感じ自分の中を刺し貫くような不思議な体験をするシーンは卓絶だ。人の歴史よりも長く流れ続ける川。そこに多くの女たちは、哀しみや苦しみを流し祈ってきた。心の傷をも滋養にして再生し飛翔し始める主人公に強くシンパシーを感じた。人生に無駄はないのだ。
藤井 貴志
評価:A
結婚に破れた主人公、漆原紗知は故郷を後にし、大阪で編集プロダクションを設立する。人生を自らの力で歩いていく意思に燃える彼女は仕事も順調、恋愛もそれなりにはこなし、絵に描いたようなキャリアウーマンとして活躍する。一方、彼女の故郷では女性は結婚して子供を産み家庭を守るのが当たり前。そんな保守的な郷里では彼女の姿はまぶしい存在であるのと同時に「故郷を捨てた女」として映ってもいる
そんな彼女を突然の病が襲う。子供はいらないと考えていた彼女は、子供を産めない体になったときに果たして何を感じたのか。奇しくもそんなころ、これまで彼女自身を支えてきた仕事という柱さえも軋みはじめる。何もかもがうまくいかなくなった紗知は、産まれ故郷である播州揖保へと舞い戻る。そこには播州揖保の懐かしい景色と肉親が待っていた……。
1人で生きると決めた女性の人生の先にあるものは何なのか。晩婚化や出生率の低下が叫ばれている現代、社会的にも大きな関心事であるだけに、(僕は男だけれども……)身近な話題としても読むことができた。さらに、1人の人間が生きていくことの意味をも感じさせられる重い内容だった。
古幡 瑞穂
評価:C
結婚に失敗して、仕事に没頭していた女性。そんな矢先彼女に告げられたのは子宮ガン。もう若くはないことはわかっているけれどもこの手術は女としての終わりを意味すること…
主人公の紗知は肩肘張りすぎではと思うほどの態度でこの山に向かいます。そうはいっても、彼女を大切にしてくれるひとは沢山いて、私なんかが読んでいると「もっと素直に心を開けばいいのに」と歯がゆくなることが多かったです。彼女の生き方の背景には、同じガンという病に冒され死んでいった母や、女として壮絶に生きている祖母などの存在があってこのエピソードは揖保川の景色とともに非常に興味深く読めました。
ただなんといっても紗知が語りすぎ。そこまで言葉にしなくてもあなたの心が流した血は見えているから…と言ってあげたくなりました。こういう話は読み手の状況によって響き方が変わってきますから、もっと読者にゆだねる部分があったら良かったなと思います。
松井 ゆかり
評価:B
女宮本輝。悪口では決してない。「ドナウの旅人」の「ヨーロッパまで行ってるのに作品のトーン変わらず!」という感じをちょっと思い出しただけである。
仕事に生きるか、いわゆる女の幸せをとるか。女性にとってはいまだ小説のみならず現実社会においても、永遠の課題とみなされていると言ってよいだろう。主人公紗知は、それに加えて子宮ガンという女性特有の病気を患っている。なおさらにいくつもの厳しい選択を迫られるわけだ。結果的に主婦で3児の母となったが、人生の節目節目で違う道を辿っていたら、私もいまごろまた違った形でこの課題と向き合っていたかもしれない。
しかしひとつだけ言えるのは、どんなに仕事をがんばってたって永吉みたいな男にそうそう出会えないだろうということだ。どこにいるの、こういう男性。
松田 美樹
評価:B+
娘にとって女親は、時には煩わしく、時には戦友のようであり、また何もかもを曝け出して甘えられる存在です。でも、お互いがあまりに遠慮を知らないため、かなりヒートアップすることも。主人公の紗知は、播磨の旧家に育った40代半ばの女性。結婚に失敗し、子どもを持たずにきたことで、母親と関係がこじれたまま死別。その後は、自分の身1つで人生を切り開き、ずっと走りっぱなしの毎日を送ってきました。人生を川に例えることがありますが、彼女の川は、巫女の祖母、癌で亡くなった力強い母から脈々と続いてきたもの。検診で見つかった癌を切除するのをきっかけに、人生を立ち止まる時間を得た紗知ですが、神様は彼女をゆっくり休ませてくれることはありません。ずっとわだかまりを持っていた同じ病に倒れた母との関係や、彼女を取り囲む男たち、人生を賭けている仕事などなど、読んでいるだけで疲れる程、いろいろな転機が訪れます。“女”の人生について考えさせられる濃厚な1冊。
三浦 英崇
評価:B
夏本番。すっかり素麺の美味しい季節となりました。今年も、夏が迎えられたことを感謝しつつ、この作品の主人公・紗知の実家が代々作ってきた「揖保の糸」をすすりましょう。そして、この麺を生み出し、この麺によって育てられてきた、かの地の人々の歴史に思いを馳せてみましょう。思いを馳せるよすがが、この作品です。
故郷を離れ、自力で生計を立ててきたものの、女ひとり四十半ば、自分の人生にやや疑問を感じた紗知。「私はこの人生で、まだ、何もしていない」という言葉は、三十半ばになろうとして、いまだ何事も成した実感のない自分の心に、ぐっさりと来ました。こんな状況で、更に紗知に降りかかった数々の困難が、私に押し寄せてきたとしたら……あまり考えたくない仮定ではあります。
それでも、彼女は生きてゆく。
「揖保の糸」に培われた彼女の魂の強靭さにあやかりたくて、今日も昼ご飯は素麺にしてみました。夏の暑い日に読むと吉です。