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ヒートアイランド
【文春文庫】
垣根涼介
定価 710
円(税込)
2004/6
ISBN-4167686015
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:B
その優れた頭脳と腕っ節を生かし、ファイトパーティを主催しているストリートギャング雅の頭・アキとカオル。彼らの仲間がどうみてもヤバイ金を強奪してきた。なんとヤクザからプロの強盗が奪ったお金だったのだ。自分達を救う手段は何か。アキとカオルは仲間を先導して、ヤクザと泥棒を相手に命をかけた戦いに挑む。スピード感のある作戦に加え、アキ・カオルのみならず、主要な登場人物たちが持つ様々なバックグラウンドが描かれる。世の中の不条理にうんざりし、行き着いた先が犯罪行為での生き残りだというのは賛成できないが、世の中を動かすシステムに何の疑問もなく乗っかり、落ちたとたんに文句をいう能無しになりたくないという言い分を読み、能無しにどっぷりはまりこみそうな私は、急いで片足を引き抜きながら、とりあえず選挙に行こうと思った。スピード感あふれるどきどきの展開に加え、人々が抱く鬱屈した思いも丁寧に描かれた作品。
竹本 紗梨
評価:A
この新刊採点を始めて一番の発見は、こういったジャンルの話が意外と好きだったこと。チームものとか興味なし、男の美学とか、裏社会とかいわれるとはあ…という感じだった。だけど賢さだけでは生きられない。仲間がいてもずっと変わらないものなんてない。ご都合的かもしれない、絵空事かもしれない。だけど生き抜くには必要なもの。あきらめなければいけないもの。そこで生きていく人たち、かっこ悪くても抜け出せなくても。そんなぐちゃぐちゃがからみあって、目の前で動く映画を見ているようなのだ。生き延びるためにはどのタイミングがすれてもダメなのだろう。タイミングの隙間を生き延びて、なんとか勝利して、だけどぜんぜん勝利ではなく、まったくの薄暗い人生が待っている。切り開くのも負けるのも自分の自由だ。骨太の骨格も悪くない。自分はそこにはいられないけれど。
平野 敬三
評価:A
この圧倒的に密度の高い物語を読み終えていったい何から語れば良いのか、僕はさっきから長い時間呆然としてしまっている。決して完成度の高い作品ではない。特にアキとカオルのコンビが読み始めに期待したほど魅力的でない。しかし、主人公にさほど魅力がないという致命的な弱点を認識しながらなお、僕はこの物語をすさまじい輝きを放つ傑作だと断言できる。物語全体のグルーヴというか、転がり方が尋常ではなく烈しくスリリングでそしてドラマチックなのだ。読みながらここまで興奮させられる小説もまれである。とりわけ本編のラストシーンがいつまでも心に残る。そしてここではじめてアキのこの小説中での役割を読み手は知ることになる。ということで、解説で大沢在昌氏が指摘している通り、読者のイマジネーションを邪魔するエピローグは不要だ。なぜならば、本書は一冊まるごと長い長い「プロローグ」なのだから。
藤本 有紀
評価:B
はじめに、本書が暴力団賛歌ではあるまいかと危惧している人に、安心して読んでくださいといいたい。
ストリートギャング・雅を結成し、ファイト・パーティーの運営でかなりの売上を計上するようになったアキとカオル。そのメンバーが持ち込んだ大金に絡んで、ヤクザ、強盗を生業とする男たち入り乱れての争いに発展していく。その途中、「誰かあいつをぶっ殺してくれないかなぁ」とカオルが洩らしたこのせりふはよく分かる。あいつとはヤクザ黒木のこと。雅の興行のことを知った黒木が、上前をはねようと脅しをかけてきた直後のことだ。その黒木も組では若頭という立場。「時代遅れで経済音痴の上層部」を苦々しく思う。利権と見ればピンハネしよう、ただでうまい汁を吸おうとする大人たちに対するフラストレーションが、暑い空気の塊のように男たちの間に横たわっている。右肩上がりともバブル景気とも縁がなかったアキ、カオル、リュウイチ世代にかかる重圧感と、我らが世代の諦めムードに同種のものを感じて、思わず嘆息。文体が平凡。読みやすいけど、もっとアクの強い感じを期待していた(村上龍、吉田修一と同郷だから?)。どのページを開いても垣根涼介、と分かるぐらいに。
和田 啓
評価:A+
早く映画化して欲しい。流麗なカメラワークとザラザラした粗い手ぶれ映像を混ぜて誰か撮ってくれ。ブクロじゃない。ストリートキッズの本家はシブヤだ。
同世代の垣根涼介の風評はわたしの耳にも入ってきていた。小説を書くために脱サラしたこと。一作目を当てたはいいが、寡作のため食えるまで苦労したこと。死ぬ気でアイデアを出していること。
ホーチミンが舞台の初期作「午前3時のルースター」。わたしもベンタイン市場付近で窃盗団に遭い、危うい思いをした。繊細なタッチと骨太な意志力がこの人の持ち味だが、作品の完成度は順を追って高くなっている。
六本木の非合法のカジノバーを襲撃するシーンは喉がカラカラに乾き、ヒートアイランドの日本の暑さを忘れさせてくれた。読んだことがない方、垣根さん必読です。