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その名にちなんで
【新潮社】
ジュンパ・ラヒリ
定価 2,310円(税込)
2004/6
ISBN-4105900404
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
桑島 まさき
評価:AA
外国に暮す移民にとってアイデンティティーを刺激する「移民」の問題は切実なテーマだ。「名前」も同様。親につけられた名前のせいで人生を狂わされた人は多い。本作の主人公(の一人)ゴーゴリは、インド人なのに何故ロシアの作家と同じ名前がついたのか? 長ずるにつれ主人公はその作家が好きになれず名前にコンプレックスを覚え改名する。父がその名前をどういう思いで息子につけたかを知る由もない。両親とは違いアメリカで生まれ育った主人公はインドの習慣や文化にも馴染めず、まるで反抗するように両親の価値観とは違うものばかりを選択していく。つきあう女性もみな西洋人ばかり。
ラヒリは、住居空間、料理、登場人物達の容姿などディテールを精緻に描写する。だからこそふとした瞬間に訪れる人生の機微や誰にでも訪れる転機の大きさに胸をつかれるのだ。主人公を特定しない構成も効果的だ。原点に戻るかのように同郷の女と結婚するが不幸な結果に終わるのも、ゴーゴリの視点だけで描かないことで、移民の物語の深刻さを表わしている。人生には割り切れないことが多々ある。「ゴーゴリ」の本を読む気になった主人公はそれをよく知っている。
古幡 瑞穂
評価:B
たんたんと日々の生活と人生が進むだけなのに、みょうにしみじみと胸に染み込む不思議な小説でした。ストーリー的には最も大きな転機になる改名のくだりでさえ、驚くほどさらっと描かれるのです。主人公がゴーゴリと名付けられるに至ったエピソードが比較的劇的に書かれているだけにその両者の違いが面白いほど。
主人公の両親はインドの人なので、彼の半生はインド的なものに大きく影響を受けています。そして自我が芽生え、改名をし、ゴーゴリは同時にインド的なものからアメリカ的なものへ成長と脱却をしていく…そんなお話です。
理屈っぽく書いていないのに、人生観とか、多民族国家に生きる葛藤とか、そういったものがくっきりと伝わってきます。伝統的なものから脱却しアメリカ的になろうとするほど全体の雰囲気は明るくなってくるのだけれど、それがなんとなく寂しかったです。そしてそんな顛末を大きな包容力で包み込む母親の存在がとても印象的でした。
松井 ゆかり
評価:A
自分の名前を気に入っている人はどのくらいいるのだろう?この小説の主人公ゴーゴリもまた自分の名を嫌う人間のひとりだ。父アショケがかつて生死の境をさまよったとき手にしていた一冊の本。その作者の名にちなんで付けられたという由来を、ゴーゴリが知るのは改名した後だ。
私の名もまた亡くなった父親が付けたものだ。「“ゆかり”ってかわいい名前でしょー」と語る父に、「好きじゃない」と食ってかかったこともしばしばあった。その度苦笑していた父の姿を思い出す。結局「いい名前だ」とは一度も言えなかった。
ゴーゴリもやはり父の思いを肯定することがないまま、永遠に別れるときがやってくる。本書では、アメリカでインド系というマイノリティーが生きていく厳しさも丁寧に書き込まれており、単に感傷的なだけの物語になってはいない。一概にゴーゴリと自分の境遇を重ね合わせることはできないとわかっていてなお、それでも彼と私は同じ後悔を背負って生きていくもの同士なのだ、と思う。
三浦 英崇
評価:B
自分の名前、好きですか? 私は今でこそ、とても好きですが、子供の頃はよく名前のことでいじめられたものでした。「み」で始まる名前の方なら、身に覚えがあるんじゃないかと思いますが、過去のトラウマ語りは省略。
でもって、この作品。ベンガル系インド人である主人公の名前は、かのロシアの文豪からとって「ゴーゴリ」。お父さん、気持ちは分かりますが、もうちょい、付けられる子供のことも考えてやって下さい。確かに、命名に至るエピソードには感銘を受けましたが。
かくして、ゴーゴリ君は成長するにつれ、自分の名前にどうしようもない違和感を感じ、改名届を出して受理される訳ですが、自分で決めた名前にも、どうも違和感が否めず、自我が分裂してしまったかのような思いを抱いてしまう。そんな悩ましさを丹念に描き出す作者の筆致の確かさに、とても心惹かれました。上手いなあ。