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追憶のかけら
【実業之日本社】
貫井徳郎
定価 1,890円(税込)
2004/7
ISBN-4408534609
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
桑島 まさき
評価:A
国文学者の主人公・大学講師の松嶋は、自分の軽率な行動から妻に出て行かれ、不運にもその間に妻は交通事故で死んでしまう。義父は自分の上司。妻の死に責任を感じる松嶋は娘を義父宅にとられたままだが抵抗できない。そんな時、終戦直後に一部で評価されたが自殺した〈佐脇依彦〉という作家の未発表原稿を自分に託したいという男が現れる…。
研究論文を世に出すため不幸な作家の死の謎を調べるうちに、さながら〈佐脇依彦〉の人生とシンクロするように見えない他者の悪意に巻き込まれていく構成は見事。二転三転するサスペンスフルな展開もグー。随分ダマされた。ちょっとマヌケな主人公のように。前作「さよならの代わりに」の主人公もそうだったように、著者はお人よしで世の中の悪意に鈍感な男をよく描く。しかも自信がもてない男。対照的に女達は魅力的で自信に溢れた存在として颯爽と登場する。
絶体絶命の松嶋。人間の底知れぬ悪意の深さに背筋の凍る思いはするが、主人公を助けてくれる善意の人々もいる。死んだ妻の深い愛を再確認する。世の中すてたもんじゃーないと思わせてくれる。愛は必ず、勝つ!
古幡 瑞穂
評価:B+
大学講師の主人公はつまらない理由で妻とケンカをし、別居。しかもその怒りが消える前に交通事故でその妻を亡くしてしまったというついていない男性。さらに彼の愛娘は義父の手の中、そんなこんなでは落ち込みから抜け出せるわけないですね。
世の中に悪意は満ちています。そして、その悪意が過去・現在時を超えて主人公に降り注ぎます。彼らが何に巻き込まれているのかがわからなくて、ページをめくる手を止められなくなりました。はっきりわからないんだけどなんだか嫌な予感がするんですよ。時代の暗さと漢字の多さが光るある作家の手記、という小道具がその嫌な予感をうまく引き出しています。もの悲しさや切なさもきっちり入れ込んであり親子の情にもぐぐっと来ました。どんでん返しや大きな驚きはないけれどしんみりじんわり読ませてくれる作品です。
松井 ゆかり
評価:A
他者に対する善意と悪意について深く考えさせられた一冊であった。
周囲の人間からの善意と悪意に翻弄される主人公。読み終えてしかし人間を信じる気持ちになれるのは著者の筆力(と、おそらくは貫井さんご本人の人間に対する温かい視線)によるものであろう。
主人公松嶋は大学講師。最愛の妻を交通事故で亡くし、妻の実家に預けている一人娘を手元に引き取るべく、国文学における業績を上げることで周囲の評価を得たいと望んでいた。その松嶋の元にある作家の未発表手記が持ち込まれる…。ミステリーであるという心構えで読んでいるため、どの登場人物にも一通り疑いのまなざしを向けながら読み進んだのだが、真に美しい心の持ち主が多くて驚く。でも最終的に嫌な奴はほんとーーに感じ悪かったけど。
松嶋の詰めの甘さに時折はらはらしつつも、感情移入度高し。作中作である未発表手記も、抜群のリーダビリティー。
三浦 英崇
評価:A
去年の10月から1年間、新刊単行本の書評を担当し、今月で任期が終わります。120冊読んで書いた、その最後の1冊を、私はこの本にしました。この作者なら絶対にはずすことはないだろう、そう信じていたからです。そして、その期待通り、素晴らしい作品でした。
仲違いしたまま事故で妻を失った大学講師・松嶋のもとに、戦後間もなく自殺した作家の未発表手記が手に入るが、その記載内容の謎と、松嶋自身に仕掛けられた罠とが、互いに絡み合って、一つの大きな真実へと着地した時に現れる「思い」。その思いの、何と真摯な響きに満ち溢れていることか。
五十年前と現代の謎が、同時進行的に解かれてゆく中で、真相が二転三転してゆくという、ミステリとしての構成の確かさと、愛する者への赦しを得られないまま喪ってしまった男の、揺れ動く心の繊細な描写とが、絶妙に融和しています。
最後にこの作品を読めて良かったです。ありがとうございました。