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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
アフターダーク
【 講談社 】
村上春樹
定価 1,470円(税込)
2004/9
ISBN-4062125366
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
眠り続けるエリと、不眠のマリ。同じ家に暮らしていながら姉妹は互いに相手のことをよく知らないという。まあ、そんなに特別不思議なことじゃない。だけど、村上春樹の路地に足を踏み入れると些細なことが特別な意味を持つんですな。リズムは、ディズニー童話にハードボイルドノベルをかけあわせた感じ(微妙に進むアナログ時計のイラストがシーンの冒頭に描かれていて、カウントダウンのようにゾクゾクするし)。
昔は女子プロレスにいて、今はラブホのマネージャーをしているカオル(♀)だとか、借金取りから逃げている元気なコオロギ(通称・♀)らと深夜の時間潰しにファミレスで読書するマリの出会いが肝心だ。何事もなければ、接点のない女と女が対話する。きっかけ作りは絶妙。うまい小説だ。
誰の目なのか「わからない」カメラ越しの視線もミステリー。あてずっぽで神や堕天使って言いそうになるんだけど。時間が経つほどジワジワくるのは、人は些細な「記憶」に励まされるんだよ、とまるで自分に言い聞かすような、さりげないコオロギの言葉だったりする。ねぇねぇあれ読んだって話したくなる小説ですね。
安藤 梢
評価:B
真夜中の物語。昼間とは全く違う濃度と速度を持つ、真夜中の時間の流れ。ファミレスで、ラブホテルで、会社の一室で、それぞれの物語が展開していく。夜明けへと向けて収束していく物語が、はっきりとした答えを持たないところに一晩という時間の短さを感じる。
この作品で最も特徴的なのが、視点という存在だ。「わたしたち」と使うことで、読者をも巻き込んで客観的に街や人を映す。まるで監視カメラのモニターをチェックしているかのような淡々とした文章で視覚的なイメージを形作る。「真夜中には真夜中の時間の流れ方があるんだ」とあるように、真夜中という時間帯は人の本音を引き出してしまう時間なのかもしれない。誰もが心にある不安の塊を言葉にしてしまう。登場人物の中で高橋だけが唯一現実の男の子として存在しているような気がする。彼だけは昼間もきちんと存在するという安心感がある。内容とは関係ないが、本文の文字が大きすぎるのが気になった。
磯部 智子
評価:C
映画のスクリプトのような書き出し。本の中から「私たち」と呼びかけられ驚き、その瞬間から読み手は隠しカメラを覗く「目」となりマリをエリをタカハシをリアルタイムで追い続ける。真夜中から空が白むまでのあいだ、シネマコンプレックスのように次々と入れ替わり映し出される其々の人生の断片。誰が信頼できる語り手なのか、嘘をついているのか解らないまま、夜の深い闇の中で、皆、抱えている秘密を少しだけ吐き出す。
読み手の傍観者としての安寧を脅かすのは、夜勤明けには妻に頼まれたローファット牛乳を買って帰る普通のサラリーマン白川の中国人娼婦に対する暴力か、2ヶ月間眠り続けるエリをTVの中から監視する顔のない男か、本の中から「私たち」とは何者なのかと問い返されたようにドキリとする。再生を予感さすもの、再び闇の中に戻っていくもの、闇の中に引き戻されるもの、希望と不安を孕んだ余韻を残す。
小嶋 新一
評価:C
実は村上春樹さんの小説を読むのはこれが初めて。自分の読書が偏っていることに、改めて気づかされる。一気に読了したが、へ〜こんな小説なんやあ、というのが第一感だった。会話の持って行き方が上手いというか、ストーリーのつなぎ方が巧みというか。
深夜のファミレスで再会した、主人公マリと高橋の会話を通して浮かび上がる、それぞれの人生や生活。マリが遭遇するラブホでの殴打事件。さらにはストーリーの処々に挿入される、マリの姉エリにまつわる不可思議な事象。それぞれを、次はどうなるの?とハラハラしながら追いかけた。
しかし、ページを閉じてから振り返ってみれば、実は一夜の出来事が時系列で淡々と語られたのみで、結末らしき結末もなくストーリーは収束していた。面白くなかったと言えば嘘になるが、どこか物足りない。それは、きっとこの小説に、物語としての結末がないからなのでは。これが「春樹」風なんでしょうか?氏の小説を、ほかにももう少し読んでみないといけないなあ。
三枝 貴代
評価:AA
冬のある日。午前0時少し前から、夜明け少しすぎまでの物語。各章の始めに時刻が示され、物語は時系列にそって語られます。
いわゆる小説技法の「神の視点」を改めて文章で定義し直すことから物語は始まります。日本語小説特有の現在形と過去形の入り交じった記載を排除し、地の文は全部現在形で統一し、会話文でも過去形の使用は意味がある部分のみにしぼるという極端な手法を用いた結果、物語は独特の緊張感をはらみ、読んでいて呼吸をするのも怖くなったほどです。大胆な実験小説ですが、成功した実験と言えると思います。
心の通じ合えない姉妹、音楽の才能のないミュージシャン、身を売らなくてはならない少女、名を隠し逃げる女などを配して、都会の夜の孤独と恐怖を描きながらも、読後感はふわりと暖かく希望に満ちて優しいです。
寺岡 理帆
評価:B
読み始めて、なんだか違和感を感じた。しばらくして、ああそうか、文体か、と思った。「ぼく」が主人公じゃない村上春樹って…なんとなく不思議。読者は「わたしたち」と否応なく一体化させられ、完全な「第三者」として登場人物たちを追うことを強要される。「わたしたち」って一体ナニモノ?
説明はあまりない。ただ、受け容れるしかない。読者に対してあまり親切な小説とは言えないかも(苦笑)。
さらっと読めて、なんとなーくいろいろ含みがありそうで、でも、よくわからなくて。雰囲気は嫌いじゃないんだけれど、そんなに強烈な印象もない…。好きな人は好きなんだろうけれど、個人的には、可もなく、不可もなく。
福山 亜希
評価:B
美人の姉エリに、少し風変わりな雰囲気を持った妹のマリが主人公。姉と妹はどうもあまり仲が良くないらしい。お互いどう向き合えばよいのか分からず、手探りでいるような様子だ。心を通わせることの出来ない姉妹が、どうすればお互いの心に心を通わせることができるのか。マリが少しずつ姉に向かって心を開こうとしている様子が描かれている。
読み終えた感想としては少し物足りない想いがする。姉妹の心の内面までもっと深くせまるような鋭さが、この本には足りなかったのではないか。マリは悩みを持った人間にしては人と話す時のものの言い方も随分はっきりしているし、自分の意見もちゃんと持っているし、悩みのある人間のリアルさが感じられなかった。登場人物が皆スマートすぎるのだ。トレンディドラマの俳優のような格好良ささえ感じてしまう。そこがこの本の読みやすいところ、分かりやすいところなのかもしれないが、私には物足りなく感じた。読後に爽快感を感じるような結末が欲しかった。