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ホット・プラスティック
【 アーティストハウス 】
ピーター・クレイグ
定価 1,680円(税込)
2004/8
ISBN-4048981811
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
安藤 梢
評価:C
3人の詐欺師の物語である。犯罪者だけに、全体を通してずっと追われ続けているという不安が漂う。疑心暗鬼に捕らわれすぎて、自分たちで苦労を倍増させているようだ。人を信じられないということがどんなに苦しい状況なのかということがよく分かる。騙されているんじゃないか、という疑いこそが自分の首を絞めているのだ。
コレットの鮮やかな詐欺に比べて、ジェリーとケヴィンの詐欺はパッとしない。やはり芝居がかった詐欺の方が分かりやすく、読んでいても面白い。
追われ続けた詐欺師の人生は、一度止まってしまったら駄目なのだろう。安定を望む心に鞭打って、逃げ続けなければならない。この父子の場合、お金を奪われるんじゃないかという心配に併せて、コレットを奪い合うというやっかいな問題もあり、心の休まる時はない。読み終わると、何となく逃げ切った感が漂う。もう少し装丁に工夫が欲しい。
磯部 智子
評価:B+
最高にクールな作品。翻訳ミステリのファンなら新刊を必ずチェックする数社の出版社から漏れている為、危うく見落とすところだった佳品。タイトルの「ホット・プラスティック」は不正入手したクレジットカードの意味。そうこれは嘘で塗り固められた三人の詐欺師の虚実の物語。全編を貫くユーモア、駆け引きの面白さ、三人の溢れる魅力、本当に彼らと一緒にトリップしてしまう、それも楽しみながらハラハラしながら、自分から望んだことのように。ハンサムで大胆な騙しのプロ、ジェリー、息子のケヴィンは14歳で冷静な完璧主義者、美しく奔放で鋭い天性の勘を持つ女コレット。そんなステレオタイプの詐欺師なんかに騙されない?いやぁこれがなかなか複雑で多面的で何より仕事熱心な求道者たち。6年間のケヴィンの思春期もきっちり書き込まれている。詐欺師、さらにその上前を撥ねる人間、騙す人間が居れば騙される人間も居るわけで(あっ私か!)ラストが又良い、懲りないなぁ。
小嶋 新一
評価:B
ストーリーの記憶はおぼろげになっても、いくつかの情景だけがいつまでもまぶたの裏側に焼きついて離れない……決して大きな話題にはならなかったけれども、なぜか忘れられない、こういうタイプの映画って、時々ありますよね。この「ホット・プラスティック」は、まさにそんな映画を思わせる小説。
クレジットカード詐欺と窃盗をくり返し、道すがらで女たちとの出会いと別れを重ねながら、アメリカ大陸を流れていく父親ジェリーと息子のケヴィン。思春期の真っ只中のケヴィンは、何かに凝りだすと止まらなくなる一風変わった性格の持ち主だが、その人物造形が面白いのと、父親の女コレットへの恋を通じて、一人の青年へと少しずつ成長していく様に読みごたえがあった。
それにしてもこの作家、ストーリーの節目節目となるシーンの描写が、見事なまでに鮮やかで、それだけでも読む価値あり。中でも、物語の序盤で冬の雪の夜、コレットがケヴィンのもとを去っていくシーンは秀逸。しばらくは、忘れられそうにないなあ。
三枝 貴代
評価:B+
緑濃い東南アジアの山村、耕作放棄された田圃、庭を走る放し飼いのニワトリ。都会に生まれて都会に死ぬ我々世代の日本人は、もはやそういったものに、郷愁よりも外国に対する興味のようなものを感じるようになってしまった。我々が真に懐かしさに震える情景は、疎らな草の散らばる荒れ地に一直線に走る埃っぽいハイウエイだ。安っぽいモーテルと、無愛想なウエイトレスのいるダイナー。不況にあえぐ米国の田舎町。鉄工所に積まれた車の部品。ハリウッド映画に描かれた世界は、もはや我々のバーチャルな故郷となって血肉と化してしまっている。
これはそう感じる世代が懐かしさに震える物語だ。
1983〜1988年。父は詐欺師。彼に連れられて町から町をさまよう息子ケヴィン。二人の前に一人の女が現れた時、ケヴィンの思春期が始まる。父に勝ちたい、勝って彼女の愛を得たい。
懐かしく、胸が痛くなるような物語が、膨大で興味深い詐欺の手口と並行して語られる。
寺岡 理帆
評価:B
上下二段組だけれど勢いに乗って読了できてしまった。次から次へいろんな詐欺の手口が出てきて、それだけでも楽しめる。3人の顛末もありがちでなく、二転三転。そしてこれは何よりもひとりの少年の成長物語だ。
ただ、ケヴィンのこだわりすぎる性格も、コレットの悪女的な魅力と潔癖さが同居する複雑な性格も、ジェリーの奔放で強引な性格も、いま一つ物語とぴったり噛み合っていない印象を受けた。それぞれ魅力的なキャラクターになりうるハズなのに…。
物語の構成的にも、直近の物語と過去の物語が交錯しながら進む効果があまり感じられなかった。こういうのって普通、最後まで読んで初めて「最初のあの話はこういうことだったのか!」というのが一気にわかるところに醍醐味があると思うんだけれど、そういうカタルシスが感じられないのよね…。うーん。惜しい感じ。
福山 亜希
評価:C
外国の小説はまず、登場人物の名前を覚えるところから始めなくてはいけないのが辛い。そういう理由でこれまで外国の本を敬遠してきたので、今回、この「ホット・プラスティック」を読むのは相当な覚悟と勇気を要った。
しかしそんな心配に反して、すらすらと読み終えてしまった。乾いたようなあっさりとした文章が読みやすかったことと、悪者を主人公にしている爽快感からなのだろうか。しかし読んでいる時には楽しかったのだが、読み終えるとやはり少し物足りなさが残る。エンターテインメント性は高いが、あまりにカラッとしていて後に何も残らないのだ。湿度の高い日本にいると、ドライな雰囲気の外国になじめないのだろうか。カラッとしたエンターテインメントよりも、日本の小説のじんわりとした暗さのほうが肌に馴染み易い。「男はつらいよ」のフーテンの寅さんのような主人公が出てくる外国小説があったら、是非読んでみたいのにと思ったりしてしまう。