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願い星、叶い星
【 河出書房新社 】
アルフレッド・ベスター
定価 1,995円(税込)
2004/10
ISBN-4309621856
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
殺人は平気なのに、強盗はプログラムに反するからできませんと断わる“相棒”に、なんてこったと舌打ちする男の姿がも滑稽だ。冒頭の「ごきげん目盛り」は、人間に危害を加えるはずがない、そういうふうにプログラムされたアンドロイドが次々と“理由なき殺人”を重ねていき、そいつと共に逃げ回る道連れ物語だ。片方が人間なら目新しくもないが、感情をもたない人造人間という設定が興味をそそる。
殺人を犯す相棒を止めることも矯正することもできず、逃げ回らなければない所有者は不幸な男だ。おかしいのは「わたし」と「わたし」。アンドロイドが「わたし」としゃべり、所有者もまた「わたし」と独白する。ややこしくてかなわない。視点はピンボールのように右往左往し「わたし」なのかわからなくなる。もちろんそこは作者の狙いで、ラストじゃ「狼たちの午後」に出ていたアルパチーノとジョン・カザールの顔が浮かんだ。
地球最後の日を生きる女と男を描いた「昔を今になすよしがもな」も洒落ている。地響きをあげビルが崩れ落ちる音を耳にしながら、平然と暮らす女。びっくりする、旅人の男。ポップにイカレた感じの展開だ。しかしそれだけにバカ女の孤独が浮き出ていて、こんなの映画にしてくれないかなぁと思い始める。チープな書き割りの摩天楼でも面白いかもしれない。ディアフターなんて使い尽くされた題材も、こんなふうに描き方ひとつで新鮮に化けるというお手本だ。
磯部 智子
評価:B
根拠の無い頑ななSF嫌い(私)の心をも懐柔しつつあるのが、この奇想コレクションと女王様コニー・ウィルス。それにしても今回の作品集は難しい。『ふたりジャネット』と同じ中村融・翻訳で読みやすいのだが、読み終えた後どこかに置き去りにされたように感じ、それを言葉にしようとするとサラサラと砂のようにこぼれ落ちてしまうのだ。半世紀前に書かれたSFだが、もとより「心理的に未来の人間」だから古さを感じたりはしない。スピーディーな『ごきげん目盛り』は「わたし」が「彼」に投影しているのか、その逆か?人間とアンドロイドの間にある「わたしたち」という奇妙な感覚に混乱する逃亡劇。『願い星、叶い星』は追いかけて追いかけてたどり着いた先で誰の願いが叶ったのか。『地獄は永遠に』も「この世のあらゆる刺激に飽いた者」6人が究極の望みを叶えようとしたその先には「自らの作った無間地獄」があった。・・と解ったような解らないような、で採点はCを可もなし不可もなしとして、この喉許につかえた不可解な感じを加味してBとさせて頂く。
小嶋 新一
評価:B
アルフレッド・ベスターという作家は、SF界では高名な人なんですね。僕はSFについては全く門外漢で、今回はじめて名前を知った次第。
本書はそのベスター氏の、日本で独自に編まれたベスト短編集とのこと。タイムトラベル、終末世界といった、定番テーマを素材にしつつも、一編一編に織り込まれた着想が見事で、次はどんな話が飛び出すんだろう、と興味深々のうちに読み終えることができた。玉手箱をのぞきこむ様な感じ、と言ったら伝わるでしょうか。
中でも「願い星、叶い星」「選り好みなし」「時と三番街」の3短編が気に入った。いずれも、冒頭のひときわ奇妙な謎の設定と、最後のオチの切れ味が光る掌編。
なお、トリを飾る中篇「地獄は永遠に」は、解説によると初期の代表作との事だけど、僕のアタマではさっぱり理解できなかったことを、ここに白状しておきます。ということで、イマイチ理解不能な作品が混じっていたのも事実ですが、それもまたいいんじゃないかと。
三枝 貴代
評価:A
人に危害を加えられないはずのアンドロイドが、殺人をおかした。だが、犯人は本当にアンドロイドなのか?――『ごきげん目盛り』。地球最後の女が、地球最後の男に出会った。女が男に求めたのはピアノを運ぶこと――『昔を今になすよしもがな』。ほか、本邦初訳2編を含む、日本独自編集のSF短編集。
作者のベスターは『虎よ、虎よ!』で有名。いかにもパルプフィクションといった感じのペラペラな未来感がポップで心地良い作品を書く20世紀中頃の作家です。作品が古いということもあって、ちょっとSFを読んだことのある人なら、中盤でオチの位置が確実に読めます。しかし、それが全然欠点になっていません。作品の出来は、オチの意外性ではなく、そこへ至るスタイルの見事さだといわんばかりに、すぱんと鮮やかな切れ味の着地を予定位置にばしりと決めてくれます。「よっ、名人!」と、一声かけたくなりますね。お見事。
寺岡 理帆
評価:A
いきなり最初の短篇「ごきげん目盛り」で狂気の世界へ突き落とされた。な、何だこれ!?というのが最初の感想。まず文章の最初から人称の混乱でこっちも混乱。その混乱をひきずったまま物語はあれよあれよと進む。続く「願い星、叶い星」でさらにベスターの世界の深みへと。「イヴのいないアダム」で絶望の中に希望の光を見つけ、「選り好みなし」で自分の世界について考える。「昔を今になすよしもがな」でまたまた不思議な世界を翻弄され、「時と三番街と」で短い物語をピシッと決められ、とどめは「地獄は永遠に」。しばらくはベスターの世界から這い上がれなくなるかと…。
わたしはSFに関してはまだまだ読んでない作品が膨大な数。同じ作者の長編、『虎よ、虎よ!』や『分解された男』もムチャクチャ読みたくなった。
とにかく独特の世界に酔いしれることのできる一冊。
福山 亜希
評価:B
独特の世界観がスピード感をもって押し寄せてくる。ベスターの世界を理解できようが出来まいが、本から目をそらすことが出来ない。最高傑作「ごきげん目盛り」では、SFホラー映画を見ているような錯覚に陥ってしまった。映像で観た訳でもないのに、私の目には狂ったアンドロイドがはっきりと浮かんでくるのだ。暴れまわるアンドロイドや、アンドロイドとヴァンデルァーが同一化して重なったり、また離れたりするイメージが、怒涛のように押し寄せてきた。文章を読んで、それが瞬時に頭の中で映像になってしまうという経験は、私には初めてだった。それも、自分が見たことのある風景について語られている文章であればともかく、「ごきげん目盛り」の舞台は地球ではない、未知の星なのである。一気に突き抜けていくスリル満点の一冊である。ただし、読後もしばらくの間はベスターの世界観を引きずることになるので、怖がりの人には少し注意も必要である。