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├2001年8月
├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
間宮兄弟
【 小学館 】
江國香織
定価 1,365円(税込)
2004/10
ISBN-4093874999
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:AA
「恋愛小説」なのに、恋愛という山のてっぺんに上ることのできない兄弟の物語だ。どこがまずいのか読者にはわかっていて、主人公にはわからない。ここがミソでもある。たいていの作家は彼らのように、華のない男を主人公に据えようとは思ったりしないだろう。まず、意欲というか冒険心が買いだ。
兄弟の共通の趣味は、先ずプロ野球の観戦。贔屓チームのスコアをつけるほどに熱心だ。映画のビデオ鑑賞、クロスワードパズル、読書。で、イイ歳をして男二人で暮らしている。恋愛経験は共にゼロ。失恋するたび兄貴は酔いつぶれ弟は新幹線を見に行く(って、漫画だな)。彼らはまちがいなく善人なのだけど、関係するのが下手。ぎこちなさは、セックスにも不倫にも慣れっこになったいまどきの関係をこそ疑問視させる効果を生んでいる。
さりげなくて印象的なシーンがある。大学生と高校生の姉妹が連れ立って歩いている。静かな夕暮れだ。姉が「一緒に散歩していられるのはいまだけかもしれないわね」とつぶやく。別々の生活になるという予感だ。妹は「何言ってんの?」と切り返す。
「だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだにずっと一緒に住んでるじゃん」
30男が、女っ気もなく、二人で暮らすのはヘンかもしれない。だけど何も変わらない生活だってイイじゃん。て思わせる、居心地のよさがある。
安藤 梢
評価:B
冴えない兄弟の話。冴えないが、周りにいる人たちをなぜか少しだけ安心させる。「いい人だけど……」の、この「……」に込められたありふれた否定をもう少し丁寧に描くとこの小説になる。この話のいいところは、最後まで徹底して二人の冴えなさを書き続けているところである。最後にかっこよく変身したりなどはしない。
兄弟二人で日々営まれる生活の穏やかさの中に、時折激しい感情が入り込み、喧嘩をしたり、恋にうつつを抜かしたりなどしながらも、また平穏な生活に帰っていく。二人を取り巻く人々は彼らの生活に少しずつ影響を受けながらも、留まらずにそれぞれの場所を見つけていく。そしてまた二人の暮らしが続いていくのである。
不器用に、ゆっくりと進む兄弟になぜかほっとする。二人の生活を彩るささやかな楽しみの数々(パズル、読書日)がまたいい。誰かに自分を分かられてしまう居心地のよさと、悪さがきちんと描かれている。
磯部 智子
評価:C
夫に未練を残し離婚問題に悩む妻に言い寄る無神経男(弟)や、35歳でお見合いをしても断られてばかりなのに21歳の女子大生にデートを申し込む身の程知らず男(兄)が主人公。なんて言ってしまえばミもフタも無い。例えば同じ事を、ちょっといい男がした場合は、苦しい時に相談相手になってくれたその人と新しい人生を歩むかもしれないし、自分勝手な同年代の男には見出せなかった大人の男の腕に飛び込んだかもしれないから、恋愛における敗因を学習する事は当事者にとってなかなか厳しい道のりだ。「夥しい量の思い出を共有」する心根の優しい兄弟は30代の現在も2LDKのマンションに二人で住み(!)読んだ本の感想を述べ合ったりジグソーパズルやスポーツ観戦をしたりと未だに一緒に遊ぶのだ(!)「いい人だけど」という無関心と無責任な言葉と共に放置されるそんな間宮兄弟の行く末は? う〜ん、確かに永遠の子供時代には憧れるが、花も実もつけず青いまま老いた子供として腐っていくのもなぁ〜とため息をついてしまった。
小嶋 新一
評価:C
僕は昔から女の子にはモテなかった。今でこそ気にならなくなったが、それでも思春期の頃の後遺症というか、コンプレックスが残っているんだろう、モテない男の話を読んでいると安らかに感じる。世の中には、もっと可哀想な奴がいるんだから、と慰められるようで(トホホ……)。
恋愛小説の主人公が、おたく風の仲良し兄弟というのに、まずびっくり。人づきあいが苦手で、30台半ば近くにもなっても一緒に遊んでいる二人は、普通の女の子から見たら「きっしょ〜」と言われるに違いない、滑稽な存在。でも、この兄弟が結構いいんだなあ、素直というか疑うことを知らないというか。この世に生をうけて以来ずっと女に振られ続けているが、お互いを助け合い励ましあって生きていく、地味でどんくさい二人を応援する人生賛歌。ああ、彼らに幸あれ!
気になるのは、小説が終わってしまったあとの二人の行く末。ラストでもう一ひねりあるかなと期待したけど、結構素直にストンと終わってしまったから。続きはないんでしょうか。
三枝 貴代
評価:C
困りました。これはたぶん良い小説なのでしょう。この母親にこういった息子たちは育たないだろうとか、そもそもこんな兄弟いないでしょうとか、そういった一般的な判断からずれている部分は、この小説にとって全く瑕疵になっていないのだともわかるのです。登場人物には、それぞれ魅力的な欠点と長所があり、個性があります。ちゃんと書き分けられているし、読んでいて混乱することもありません。
にもかかわらず、わたしにはこの物語の登場人物たちが、全部同じトーンに染められているように見えたのです。もてる人も、もてない人も、みんな同じ。たとえて言えば、それはマリー・ローランサンの絵なのです。人物はきちんと個性を持って書き分けられているのに、互いに異様に似ていて、背景に溶け込み、画面のトーンはただ一つにとけあっています。調和なのか、混乱なのか。
わたしは部屋にローランサンの絵を掛けることはけっしてないでしょうが、それを部屋に飾りたいと思う女性がたくさんいるだろうことには、かなりの確信がもてます。江國さんは、わたしにとって、いつもそういった作家です。
寺岡 理帆
評価:A
“そもそも範疇外、ありえない、いい人かもしれないけれど、恋愛関係には絶対ならない”、それが間宮兄弟。自分の周囲にもよくいがちな、ちょっとオタクっぽいこの兄弟に最初はひきつつも、読み進むうちになんて魅力的な兄弟だろうと思ってしまった。けれどやっぱり「恋愛関係には絶対ならない」(笑)。
そもそも彼らは彼らの世界ですでに完結してしまっており、その居心地の良さに他人はそうそう入ってはいけない。傷つくことを怖れ、他人を拒絶しているこの兄弟はけして「雰囲気を読めない」し、人の気持ちを斟酌できない。
まるで水槽の中の美しい小宇宙。そんな世界をきっちりと描いてくれる江國香織ってやっぱりすごいかも…。…でも、読み終わってなんとなく淋しかった。
きっとそれは、間宮兄弟が、自分たちがそんな水槽の中に住んでいることに、全く自覚がないからなのかもしれない。
福山 亜希
評価:A
間宮兄弟は風変わりな兄弟だ。社会人になっても二人で部屋を借りて一緒に住んでいるし、趣味の時間も兄弟で共有している。仲が良いと言えば聞こえはいいが、彼らには恋人も友達もいないから気味が悪いのだ。何かする時はいつも兄弟で一緒。彼らの世界は外に開かれることなく、二人の間で完結してしまっている。けれども彼らの温厚な人柄や、趣味に没頭する姿、例えば仕事が終わると急いで家に帰り、ひいきのプロ野球チームのスコア付けに没頭するその姿には、なぜか充足した幸せを感じてしまう。
私は間宮兄弟のようには絶対になりたくない。なりたくないのにどうしてなのか、彼らを羨ましく感じてしまうのだ。もしかしたら、あんな生き方も心地良いものかもしれない。間宮兄弟は不思議な存在で、彼らを気味悪がったり、疎ましがったりしても、完全に無視することはなぜか出来ないのである。それは私にも間宮兄弟と似た部分があるのだろうか。読後も暫くの間、兄弟のことが気になってしまった。