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犬と歩けば
【角川文庫】
出久根達郎
定価 580円(税込)
2004/10
ISBN-4043745028
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:C
古本屋店主で作家である筆者の日常を綴った一冊。のんびりとした普通の生活の中で感じたこと、出会ったことが綴られている。年代も違うし職業はもちろん違うので、感想は「ふーん」以外の何者でもない。当然、筆者が興味あることもこちらは興味がないので「ふーん」なのである。やはりエッセイというのは、少しでも共通点があったり、胡散臭くてもドラマティックだったりしないと、興味がそそられないのかもしれないと思った。筆者と同年代の人、古本屋さん、もちろん筆者のファン、最近愛犬をなくした人は共通する部分が多く、楽しめるのではないだろうか。こんな感じ方、こんな世界もあるのだと思えるエッセイもあるのだが、本書はその類のものではなかった。犬の戒名なあ……「ふーん」と思ってしまうのだ。これは家族同然でペットを持ったことがないからで、自分が冷たいのだとは思いたくないのだけど、どうだろう?
斉藤 明暢
評価:B
恥ずかしながら、8割方読み終えた時点でも、まだ本作を小説だと思いこんでいた。もちろん著者の語り口が小説的なせいもあると思うが。
淡々と日常が描かれる中、犬のエピソードが出てくると途端に「もう少し先まで読もうかな」という気分になってくる。ある意味、犬と子供をネタにするのは反則、ということなのかもしれないが、好きなものは好きなのだ。
そして小説ではなく随筆なのだから当然だが、必ずしもドラマチックなラストがあるわけではない。むしろ、「なんだかなあ… まあいいけど」といった雰囲気なのだが、そこはそれ、それが日々の暮らしってもんでしょう、などと思ってみたりするのだった。
竹本 紗梨
評価:B
古書店主と妻と愛犬のさりげない日常がつらつらと、ゆったりと描かれている。大きな事件は起きず、毎日の生活の中で気になったこと、少し傷ついたこと、おかしいと思ったこと、妻との小旅行そんな穏やかな日常だ。感情を激しく出さない筆運びに、著者の日々の生活と同じテンポで読み進めることができる。本の扱い方に心を痛めたり、愛犬の病状を心配したり、もう若くはない夫婦の穏やかな日々をのんびりと楽しむことができる。愛犬と同じ歩調で歩いて、日々の細かいことを大切にする。当たり前だけど貴重な毎日って誰にでもあるんだな、としみじみ読める本です。穏やかな秋の日にぴったり。
平野 敬三
評価:A
東京から転勤し愛媛の地に移り住んで二年が経とうとしている。住めば都に違いないが、都市での生活(というより中央沿線に住む快楽と言うべきか)に対する断ちきれない思いというのは、やっぱりある。しかし、本書を読んでいると、不思議にいまの暮らしをしみじみ大切にしようという気になる。別に田舎暮らしについての本でもないし、何かを啓蒙しようとする類の書物でもない。ただ、読者の目を意識しながらも淡々と日々の生活を綴ることに努めている作者の不器用な姿が、自分をそういうふうな心持ちにしてくれたのだと思う。実にありがたいことである。「ついでに言うと、私は文学の根本は、やさしさだろうと思う。これのない作品は、どんなに派手派手しい装いをしていても、技巧をこらしたそれであっても、つまらぬと感じてしまう」。書きすぎである。しかし、どんなに不格好でも、飾らぬものであれば、それはたいそう美しい言葉になるのだということを知った。
藤川 佳子
評価:B
小津安二郎監督の映画に出てくる普通の人々って、きっとこんな風に生活していたんじゃないかな、と思います。小津映画を観たこともないのに、こんなこと言うのも何ですが…。出久根夫妻の静かで、けれども小さな驚きに満ちた日常が温かな筆致で描かれているエッセイ。この二人は、今時めずらしいほどのまっとうな生活者。例えば、ガンに冒され余命幾ばくもない友人が、奇跡的に復活したことを電話で伝えてきたときに「本当ですか!」と奥さんが驚く場面があります。奥さんはその後に、「何という言葉を発したんだろう、と悔や」むのです。また、1999年の年の瀬、世間に違わずこの夫婦もまた2000年問題に不安を抱きます。いざというときのために、防災用品を揃えたり、水道が止まったときを考え、風呂桶に水を溜めたりするのです。そういう日常のちょっとしたことにも、真面目に接する姿やエピソードの数々が、何ともいえず心にグッときてしまうのです。
和田 啓
評価:B+
出久根達郎。出久根さんの著作を批評させていただくなんて10年早い気がする。古本屋の主人にして直木賞作家。作品を超えたその生き方に憧憬の念を抱いてきた私である。書評するなんて畏れ多いのだ。入門仕立ての落語家がいきなり真打ちの師匠と対峙している気分である。
愛犬ビッキと歩んだ日常が生き生きと点描される。日々の営みの中で講演会に呼ばれることもあれば、台風に遭ったり、書棚を改装し腕の立つ大工に感心したり、颯爽とした社会人野球の応援に胸が洗われる思いをする等身大の筆者がいる。読者は、犬のことが片時も頭から離れない愛すべき人柄に触れることができるだろう。
若い時分から書生をされていただけあって、文章から漂う恬淡とした自意識と他者への気遣いのバランスが絶妙だ。まさに大人(たいじん)の風格である。大晦日に京都を旅する随筆は白眉。