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名無しのヒル
【ハヤカワ・ミステリ文庫】
シェイマス・スミス
定価 714円(税込)
2004/9
ISBN-4151735526
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
岩井 麻衣子
評価:C
前2作が「このミステリーはすごい」の2位、3位に輝いている作者の自伝的獄中小説。アイルランドに住む青年・ヒルが意味もなくぶち込まれた拘留の日々が描かれる。ミステリー色は全くなし。一緒に拘留されている仲間とのやり取りとか脱走計画を練ることだけが楽しみの生活とか、17歳から2年間を獄中で過ごした青年の生活日記で、帯通りの獄中青春小説である。アイルランド問題を世界に向けて発信したいという作者の思い炸裂の一冊だろう。大変な問題であるのはわかるけど、主人公が成長していくわけでもないし、こんな世界もあるのねくらいの感想しかない。おそらく前2作を読んでないので、作者の独特の語り口が私には楽しめなかったのではないだろうか。確かに、IRAではないのに、メンバーだろうと捕まってひどい目にあわされ、結果IRAに入るという関係性には考えさせられるものはある。アイルランド問題を全くしらない人なんかは一度は読んでおくべきなのかもしれない。ファン以外はおもしろくはないかもしれないけれど。
斉藤 明暢
評価:B
アイルランド闘争やIRAと収容所がらみの話というと、ついハードボイルドな主人公やセリフを連想してしまうのだが、向こうの国の人が皆そうだったはずもなく、本書の主人公も、いたく普通っぽさ漂う青年である。全くの善人とはいえないが、悪党という訳でもない。年相応に醒めていながらも時には熱く、利口なような頭悪いような、つまりは多くの人の十代の頃と重なるキャラクターなのだ。
そうは言っても、当局の取り締まりや収容所が描写される部分は、あまりの不条理さに吐きそうだが、それが現実だったのだろう。脱走劇についてもお約束のような展開となるわけだが、それでも主人公達はしぶとく生き残り、多分その後も生き続けているはずだ。何事においても、「むこうの偏見によりも、こっちの意見にもっと関心をもたせること」が簡単にできるはずもないが、適度な楽観主義といい加減さを、争っている双方が持てるとしたら、ちょっとは希望が持てるかなと思えるのだ。
竹本 紗梨
評価:B
アイルランド紛争下、無実の罪で投獄されてしまったマイケル・ヒルの獄中記。非合法で、何の救いもなく、人権が踏みにじられていく。2004年の調査で「暮らしやすい国NO.1」になったアイルランドだが、近年までこんな暗い闇の部分を抱えていた。ほんの少しだけ希望が持てるラストに、今の時代の希望をそのまま重ね合わせたい。主人公があったような目には誰もあってはならないのだ。“若かったマヌケな自分”を通して描いているが、そこに起きた事実はとても笑えるようなものではないのだから。
平野 敬三
評価:C
ミステリ・ランキングの常連の最新刊、しかもハヤカワ文庫での刊行とくれば、どんな奇想天外な脱走劇が繰り広げられるのかと思えば、解説にもあるとおり、ごく普通の青春(?)小説だった。かなり評判になった前2作を読んでいない人間としては、この作家のどこが魅力なのかいまいち分からなかった。個人的に政治的なエンターテインメント小説が苦手だということもあるが、一番の難点は主人公の没個性だろう。作者の自伝的小説ということで様々な雑念があってしかるべきところを、無理に押さえ込んでしまっているような印象が残った。穏やかではない4年近くの獄中生活を、静かに穏やかに描こうとする試みは良いと思うが、やはりどうにも穏やかにはなりきれずどこか中途半端なのである。主人公の“個”がぼやけた小説ほど辛いものはない。それからもうひとつ。表紙がミスマッチだよ、やっぱり。
藤本 有紀
評価:AA
グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国の“および”以下について、本書以上に教えてくれた本はない。ベルファスト育ちのマイケル・ヒルが、17歳のある日、親友のロディと一緒に共和国との国境で逮捕される。無茶苦茶な尋問を受けた後、訳の分からない理由で勾留されることになる。本当ならガールフレンドとよろしくやっているはずが、退屈な収容生活に一転。うんざりな青春を送るマイケルとっては、帰属問題なんてつまり、「政治も、アイルランド人も、どうでもよかった。カトリシズムも、プロテスタンティズムも、どんな主義(イズム)も」。マイケルのかっこよさは、不条理をくぐり抜けてきた男のそれだ。
冴えたジョークと示唆に富んだ表現は挙げればきりがない。「男たちは、仕事もなく、ほしいとも思わず、就くこともできず、捜すのもあきらめ、手に職もなかった……」、うまいrhyme。本文以外の部分に感動してしまったのでいわせてもらっていいですか。著者の写真。わぉ、首が太くていい男!