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明日の記憶
【光文社】
荻原浩
定価 1,575円(税込)
2004/10
ISBN-4334924468
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:AA
「ほら、あれあれ……」と言ったきり名前が思い出せなくてイライラ。そんなことが多くなってきただけに、これは他人事じゃない。働き盛りに若年性アルツハイマーになってしまったお父さんの物語だ。認めたくないものだから、覚えていないのはたまたまと自分に言い聞かせる。まだしもあった余裕がはがれていく日々の動揺、不安はとてもリアル。病気について知識がないわけじゃないからハッピーエンドはないか、と推測しちゃうとページを繰るのも鈍る。通いなれた取引先に向かう途中、道がわからなくなって呆然となる。婉曲に退職を勧告されるのだけど、娘の結婚式まではと頑張る。主人公はほんとうに「平凡なお父さん」。だから癇癪も起こすし、妻とぎくしゃくもする。酒を自制しつつもノンアルコールのビールにすがりつく食卓の風景には胸がつまるし、これほど救いをもとめたのもない。それだけに、こわごわたどりついたラストはすばらしかった。
安藤 梢
評価:AA
若年性アルツハイマー。その響きを聞いただけで目を背けたくなるような病気の重さを丁寧に見つめている。記憶をなくしていく恐怖などこの本を読むまでは考えたこともなかった。ご飯を食べたことを忘れてしまう短期記憶の喪失に始まり、大切な人や思い出をなくし、自分自身をなくし、体が生きることを忘れてしまう。主人公が自分の記憶にすがりつくように紙にメモを取り続ける姿は痛々しくて読むのもつらい。ふと思い出せなくなったときの焦りや恐怖が、あまりにリアルで息苦しくなるほどである。少しずつ人の名前を忘れ、道を忘れ、漢字を忘れていく段階が日記という形ではっきりと現れていく。自分が誰だか分かっているうちは、記憶をなくしたくなくてもがくのだが、実際に自分が誰かも分からなくなってしまうと既にそれを悲しいとは思わなくなる。そのことだけが救いである。そして自分の中に記憶できない分、人の記憶の中に残っていく。あまりに哀しくて美しいラストシーンに涙が出る。今年一番の作品だった。
磯部 智子
評価:B
う~ん、身につまされる。代名詞ばかりで固有名詞が出てこない。最近、物覚えが悪くなった、診断はえっ!?まさかの若年性アルツハイマー。そこからの主人公が凄い、絶望したり、意味無く抵抗したりしない。仕事を続ける為に膨大な量のメモを取り続ける。彼自身の父親がアルツハイマーだったから回復しない病だと知っている。でもその日まで精一杯生きる事を選択するのだ。もちろん結婚を控えた娘の為、在職していたいという気持ちも強いが本当にその姿には打たれる。人間が生きる事の格好悪さ真剣さ。この笑ってはいけない状況でも、なんともいえず行間にユーモアがあり面白哀しい雰囲気が漂うのだ。次々に欠落していく記憶。逆に今まで見えなかったものも見えてくる。広告業界に生きてきた彼が、手を焼いていた俗物のクライアントが示した思いやり、唯一の息抜き先だった陶芸教室での失望。そして何より妻の存在、二人で一緒に積み重ねてきた年月があるのだ。それがもう終わりを告げようとするその日まで、彼が彼でなくなる日まで妻であり続けようとする。ついに事態は深刻さを帯び、ラストはなんともいえない複雑な感慨がある。
小嶋 新一
評価:D
ちょっとした怪談やホラーなんかより、ずっと怖くて恐ろしい物語である。特に、最近物忘れが気になるなあ、人の名前がすっと出て来なくなったぞ、と思っている僕のような人には。
広告代理店の営業部長を務める主人公が、アルツハイマーの宣告を受け、どん底に突き落とされながらも、抜け落ちる記憶との闘いをはじめる。会社に病気を気づかれないようにと振る舞う姿は、壮絶でありまた哀れでもある。
果たして僕が彼の立場に立たされたら?あくまで会社にしがみつこうとするのか、はたまたすべてを投げ出して病の進行に身をゆだねてしまうか。徐々に病気に蝕まれていく主人公の姿を自分に置き換えてみると、背筋が凍りつく。
傑作と確信しながら息つく暇もなく読み進んだが、最後の最後で、昂揚が一気にしぼんでしまった。ラストシーンは鮮やかではあれ、救いがなさ過ぎるぞ。患者が忘我の域に入ろうとも、家族は看護をし続けなければいけない。が、そうした現実とすれ違うように、ストーリーは主人公に収束する。周りの家族にもっと光を当てるすべはなかったか。めちゃくちゃ面白かっただけに、残念至極。
三枝 貴代
評価:B-
映画俳優の名前が思い出せない間は、ただの物忘れだと思っていた。佐伯は50才。老眼にもなった。娘も結婚が決まり、老いを感じ始める年齢だ。だが、同僚の名前を忘れ、取引相手との打ち合わせも忘れ、頭痛や目眩、不眠が起こり始めると、それはただの老いとは思えなくなった。鬱病を疑って病院に行った佐伯に下された診断は、アルツハイマーだった。
多様なジャンルに精力的に挑戦する作家・荻原浩が、今回は真っ正面から難病物に取り組みました。しかも、病名はアルツハイマー。泣かされることを覚悟して読み始めましたが、想像される通りの話が、想像される通りに展開し、想像される通りに辛くなります。こういう予定の通路しか通りようがない小説を、最後まで一気に読ませてしまう作者は本当にすごいなと思いました。
ということで、「アルツハイマーのお話です」と、一言で言えてしまう、裏も表もない小説です。覚悟して読んで下さい。
寺岡 理帆
評価:AA
50代とは言わなくても、年々物忘れが増え、気づけば「ほら、あれあれ」と代名詞ばかりで固有名詞が浮かばなくなる経験は少なからずの人にあるのではないだろうか。佐伯の体験も、そういう意味では誰にでもあてはまる。しかし、それがいきなり「若年性アルツハイマー」と告げられれば話はまったく変わってくる。
彼の必死の努力にもかかわらず、手から零れる砂のように失われていく記憶。記憶を失うということはある意味で死を意味する。
しかし、彼は苦しみながらも懸命に今後の人生を模索する。
哀しくてしかもあまりにも美しいラストシーン。
この美しさを感じるためだけにでも、この本は読む価値があると思う。たとえ、そのラストの先にどんな地獄が待っていようとも、その美しさだけは本物だ。