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きょうもいい塩梅
【文春文庫】
内館牧子
定価 550円(税込)
2004/11
ISBN-4167690012
岩井 麻衣子
評価:B
内館牧子のドラマを見ていると、登場人物の行動に納得できずイライラさせられる反面、妙に納得できるセリフに大きく頷いたりして、いったいこの人の感性は自分に合ってるのか、全く違うのかと常々思っていたのだけど、このエッセイ集を読んで答えがでたような気がする。中途半端に同じなような違うようなということではなく、ピシっと同じ形のものと全く違う形のところがあるのだ。例えば、内館氏が心から愛している相撲や格闘技が私は嫌いだったり、食べ物や人間に対するちょっとした思いが同じ感じだったりというように。今後、筆者脚本のドラマを見るときには違う楽しみ方もできそうである。日常が描かれるエッセイというのは自分に関係がないとあんまり面白くないのではあるが、筆者の視線がなんだかいつも臨戦体制のような気がして、ここはぴったり合うなと楽しく読めた。攻撃的な感じがとても面白いのである。
斉藤 明暢
評価:B
著者は十数年の会社勤めを経験しているが、「会社」というけっこう特殊で独特な世界の中で過ごすこと、自分が過ごしていたことを、あまり否定的に語っていないことに驚かされる。時代的にも相当理不尽な目にあったのは間違いないと思うのだが。そしてそれを、脱出できた人の余裕とか、過去を美化しているだけだとか言って片づけるにしては、あまりに力強く魅力的だ。
好き勝手に言いたいことを言っているような語り口なのに、時折ふと鋭い観察と分析で斬り込んでくる。本書以外の作品や、脚本を書いたドラマを見てはいないが、この著者も、描かれる人物も、その都度怒ったり笑ったり悲しんだり憤ったりしながら、後になってみればみな笑い飛ばしてしまえるような、そんな人なのかもしれない。
読み終わった後に残るのは、彼女自身の考え方や感じ方、生き方のほうで、食べ物話のほうは断片的にしか思い出せないのが不思議な感じだった。
竹本 紗梨
評価:A
知らなかった。この人がこんなに温かく、力強い、そして心にするりと届くエッセイを書く人だったなんて。こんなに有名な脚本家の書くドラマを見たことがなかったので、先入観なしでただただ文章を味わうことが出来た。都市で働くOL時代の思い出も、今の脚本家としてのエッセイも、一緒に働く仲間や、上司の描き方が優しい。年を経て、その当時の自分もたくさんの関わってきた人たちをも優しい視線で見られるようになったんだろうか。それとも脚本家だから、こんなに人の心を思いやれる視線を身につけることが出来たんだろうか。ずっと読み進めながら向田邦子の文章のうまさを思い出して味わっていた。あとがきで、あぁと声を上げた。「私は向田邦子になります」。そのセリフを言うまでの、心の揺れが感じられるエピソードが心に残った。「楽なことが幸せとは思ってないくせに」私の心にもこのセリフが強く残った。
平野 敬三
評価:A
もし僕が本書にPOPを付けるとしたら、「最初の3ページをじっと立ち読みして下さい。」といったような文句を間違いなく使うだろう。それくらい導入部が見事である。これは何も最初のエッセイに限らず、どの箇所を読んでも、とにかく一発で惹きつけられる。ダラダラ書いてダラダラ読ませる名人芸のようなエッセイもたまにあるが、やはり文章は書き出しが最も重要なのだという、極めてオーソドックスな作法を本書は鮮やかに見せつけてくれる。もちろん、書き出しだけが面白い、というわけはなく、最後のオチまでいちいち見事だ。後半のエッセイにややしんみり系が多くなり、少し前半のお転婆ぶりが懐かしくなる他は、文句の付けようのないほどの名エッセイが並ぶ。語り口は穏やかでも、色々なものがほとばしっている。笑って泣いて、そうして僕は内舘さんのファンになった。ついでに(失礼)、藤原正彦氏の解説も白眉。
藤川 佳子
評価:AA
この本は、“真顔”のエッセイである。真顔の人は何を言い出すか分からない。うっかりしているとミゾオチあたりに右ストレートをお見舞いされ、ブッと吹きだしたり、思わずホロリときたりしてしまうので要注意です。「力士は彼岸の美男」なんてマジで言われたら、もう呆然とするしかないでしょう。この本と対峙する時はどんな攻撃でも受けられるように身構え、一人でひっそり読んでください。
著者自身があとがきで「『団塊世代』の匂いが出ていることに愕然とします」と述懐しているように、若い人が読むとちょっとお説教臭さが鼻につくかも知れません。けれどもいつでも真っ向勝負で生きてきた人の「大人も子供もハスに構えることを覚えてから、逆に世の中がおもしろさを失ったように、思う」なんてセリフはやっぱり説得力がある。「マジでいくわよ」という気迫溢れる本書は抜群に面白いのですから…。
和田 啓
評価:B+
内館牧子さんである。新横綱選定の際、ナベツネさんとよく映っている淑女。ドラマ『ひらり』や『私の青空』の人気脚本家。銀座百点に連載されていたエッセイの詳録である。三菱重工業を退職して後、文筆業に入ってこられたことは聞き知っていたが、こんなに面白い方だったとは!「わたしはいつかきっと向田邦子になります」と課員全員の前で啖呵を切った無名OL時代。重戦車FWの明治大学ラグビーをこよなく愛し、五月の風に吹かれながら歩く力士を、この世でいちばん美しいと讃える。一方で筍を題材に男と料理はダイナミックであるほど、実は繊細なのだと論じる。うまい。
高度成長後の日本を通じて彼女の半生も見てとれる。潔い、明快、その実温かい。作中の「バナナ」と「シュウマイ」は見事な日本人論になっている。まだまだ日本も捨てたもんじゃない。