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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
幸福な食卓
【講談社】
瀬尾まいこ
定価 1,470円(税込)
2004/11
ISBN-4062126737
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
「今日からは父さんじゃなく、弘さんとでも呼んでくれたらいいよ」と、父親は宣言した。母親は別居中だけど、用事をこしらえては家にやって来る。父の自殺未遂が、母が家を飛び出した端緒。教師だった父は勤めを辞め、父親の役割さえ降りるという。きちんとしなきゃというのが過ぎたのかもしれない。そんな家族の中に「私」はいる。
のんびりとした描き方もあるのだろう。家族って逆に少々おかしくてもいいんだよという安心感が芽生えてくる小説でもある。私的に思わず力が入ったのは、第三章。バラバラのクラスの舵取りを任された主人公が孤立してしまう。責任を押し付ける、指図するだけの教師。孤立する彼女を誰が助けるのか。ドキドキした。感情をぶちまけたって現実は解決しないことも描かれ、でもって、へこんでいる人がいたらぜひ勧めたいと思ったのは最終章。人は人に救われる。不条理な世の中にあって、救うとはどういうことなのかを示す力強さがあります。
安藤 梢
評価:B
父親が自殺未遂し、母親は家を出ていき、兄は大学進学をやめ、妹は梅雨が来る度に胃を壊す。そして話は「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」というセリフに始まる。何だかとんでもない家族である。しかし不思議と荒れてはいない。何故なら互いにとても優しいからである。一度家庭が壊れてしまった経験は、臆病なまでに家族を思いやる気持ちとして残った。その思いやりが、淡々とした毎日を穏やかで優しいものにしている。
この作家の作品ではいつも思うのだが、登場人物の人物描写がとても細かく丁寧だ。恋人へのクリスマスプレゼントとして家で飼っていた鶏をあげる(ローストチキンとして)という発想など普通なかなかない。そしてその彼女からのお返しは自分を描いた自画像・・。
小説の結末は予想外の方向へと向かい、衝撃を受ける。大切なものをなくした時、側にいてくれる人たちの存在は大きい。あまりに悲しい事件の後で、その存在に気付けたことが唯一の救いのような気がする。
磯部 智子
評価:D
ほのぼのとか、癒し系といわれるものに鈍感さしか見出せない私にとって瀬尾まいこ作品はしっくりこない。帯の「優しすぎるストーリー」に憤死しそうになる、とのっけからケンカ腰だが…。中学生の佐和子は、6才年上の兄と5年前自殺未遂をはかった教師の父と3人で暮らしている。そのトンデモ父が、またもや「父さんを辞める」から仕事もやめて薬学部を受験すると言い出す。それでどうして「私たちはとても優しい家族だ」になるのか?何事もお互い寛容に受け入れるという意味らしいが家族限定のようで、他人には結構手厳しいし、無意識(かな?)のしたたかさを発揮するのだ。小柄で顔立ちの整った佐和子は嫌いな給食の鯖を男の子(彼自身が鯖嫌いなのに)に食べてもらえるし、高校でつきあった彼は、佐和子にプレゼントを買うために新聞配達をする。それを全てしれっと受け入れる。兄の彼女を繊細な心遣いのわからない香水女と決めつけるが、私から見ればそのケバ女のヨシコのほうがよっぽど優しい女なのだ。白眉はクリスティーヌと名づけて可愛がっていた鶏を絞めて家族で食べてしまう。夫と子供に「鬼!」と唱和される私でもこんな真似は出来ない。鶏が食用だというなら最初から名前なぞつけない節度を持つべきだ。なんだか本当にこの作家とは見えている光景が全く違うのだろうと思ってしまう。
小嶋 新一
評価:B
まず書き出しがいい。「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」朝食の席で父親がそう宣言するところから、物語りはスタートする。おっ、どんな話?と、つい引きこまれてしまう。決して派手なストーリー展開があるわけでもないが、なぜか読まされてしまうのは、やっぱりこうした作者のツボのおさえ方によるところが大きいのだろう。
父親の役割をほうり出して受験勉強に精を出す父親、家を出たのに家に通ってくる母親。主人公の中学生・佐和子の平凡さが際立つこの家族は、一見すぐにもばらけそうなのに、なぜかばらけない不思議な家族。小説ゆえ大げさにカリカチュアライズされているが、きっとそれはどこにでもある一般的な家族の姿と同じだと思う。
好きずきに生きながらも、本当に困った時にはお互いが助け合うという、家族のあるべき姿がストレートに描かれ、実に好感が持てる。家族のあり様について考えさせられる暗いニュースが多い昨今だが、この本を読んだら、家族って捨てたもんじゃないぞ!と希望の光が見えてきた。
三枝 貴代
評価:E
タイトルが『幸福な食卓』であるせいか、食べ物についての描写がこれでもかというほどでてきます。これが「おいしかった」と書かれていてもちっともおいしそうではないし、主人公の嫌いな鯖がちっともまずそうでなかったりで、読み進むことが苦痛でした。食べ物をおいしそうに、あるいはまずそうに書くのは、むずかしいことなんだなあと、実感。また、食べるという野蛮で肉体的なことがらは、通常は動物的な生きる力を意味するはずなのに、このお話では生命の輝きと食欲とが遊離しているように見えるのは、どういった意図なのか疑問でした。
いずれにせよ、解決しがたい問題で自殺しようとした人間は、助かってもその直後に再度自殺をはかるなど、以前の生活を維持しきれなくなって壊れるものなのに、父親が「父親をやめる」と言いだす時期がありえないほど遅くて、まるで母親が別居するという状況を作るためだけに現状維持期間を長引かせたかのようなスケジュールになっているところが不愉快です。「自殺」という重い問題を、話をすすめるのに都合のよい記号として使っているのがみえみえだからです。死というものは、そんなふうに道具にしてはいかんのではないかと思います。
寺岡 理帆
評価:B
バラバラなようで、彼らはしっかりと家族だ。お互いの傷を思いやり、お互いのことをいつでも考えて、幸せになるために足を踏み出すことを躊躇わない。
ホームドラマみたいな家族なんていない。どんな家庭だって何かしら歪なモノを抱えているのが本当だ。だから、佐和子の家族は特別不幸な訳じゃない。
彼らが抱えている傷はそれほど小さなものではないはずなのに、読んでいて心が温かくなってくるのは何故だろう。佐和子にいつでも真っ直ぐ向かい合う大浦君や、直とつきあい始める一癖も二癖もありそうな小林ヨシコ。彼らが中原家に新しい風を吹き込んでくる。
ほっこり、しみじみと温まってくる心に突然起こる一つの事件。
けれどこの家族がいるなら、きっと佐和子は大丈夫なんだろう。しなやかに、真っ直ぐに彼女は美しく立つだろう。
読み終わってかすかな痛みとともに、新鮮で爽やかな空気が心に入り込んでくる。
福山 亜希
評価:AAA
良い本だった。良いストーリーだった。通勤の満員電車の中や、騒がしい喫茶店や、色々な場所でこの本を読んだけど、どんな場所で読んでも、いつもしみじみと感動した。出てくる人物、出てくる人物、皆愛らしくて、素敵だった。私は、主人公の佐和子とその兄の直ちゃんが、すぐ好きになった。佐和子の心の動きや、口にする言葉は、すべてが思春期の瑞々しさで溢れていて、可愛らしかった。スマートでいつも飄々とした雰囲気の直ちゃんは、短気で怒りっぽい私の憧れになった。楽しいことや悲しいことが交互に起こるからはらはらするけど、根底には優しさがあるから安心して読んでいける。そして嬉しいことに、この本の優しさは伝染するようで、読み終わったら少しだけ、私も優しい人間になった。まだ始まったばかりで断言するのもなんだけど、今年一番のお勧めの本だ。