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僕というベクトル
(上下)
【光文社文庫】
白石文郎
定価\880
2004/12
ISBN-4334737811
ISBN-433473782X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
浅井 博美
評価:D
オチが無くだらだらと続く話を聞くのはつらい。世の中にはそういう話し方しかできない人もいる。状況説明だけならまだしも、その人物なりの過去の考察、希望的観測、はたまたかるーい自慢など、話がぼたぼた落ちるように推移する。ぽんぽん飛ぶのならまだ良い。スピード感があれば、ついて行くのにこちら側も身を入れないといけないし、素早い話の切り返しは先が見えないだけにおもしろい。しかしぼたぼたはいけない。本書はまさにその様な人物に、何日もかけて若干不愉快な問わず語りを聞かされている気分に陥る。退屈なのはもちろんなのだが、不快感を覚えてしまうのは「僕」の人間性と、センスのなさによるモノだろう。塾講師をしつつ売春の真似ごとをして生活している「僕」の日常の話は、「別にそんなこと聞きたくないよ…。」の繰り返しであるし、必要以上に出てくるにも関わらず、セックス描写に魅力がない。本書はセックスをしても、うまそうなラーメンを食べても「私もしたい!」という気持ちに全くならない。ただ自慰行為を眺めているだけの様な感覚になる。終盤に殺人事件が起こったりもするが、「へー、そうなんだー。」と気のない相づちしか打てないままだった。
北嶋 美由紀
評価:C
エゴイスト、陰険、ウソつき、ずる賢い、暴力的、不真面目、およそネガティブな印象しか持てない主人公である。イケメンらしいが……
自分は孤独だと思いこみ、独特な人生観をもち、自分を信じてはいるが、自分を大切にはしない。性欲の処理以外では積極的に人とかかわらないし、他人の感情を平気で踏みにじる。そんな彼自身が語る話であるから、全体的に虚無感が漂う。全く人生を捨てているわけでもないが、これからもこの生き方は変わらないのだろう。ギリギリの常識で社会と何とか折り合っている感じだ。彼の生き方にも共感できないし、恵子という女性の鈍さとしつこさ、軽薄さも腹立たしい。作品そのものが悪いわけではなく、登場人物すべてに不快感があって、暗い読後感だ。
全く個人的なことだが、この作品の書かれた当時、福岡に住んでいたので、なつかしい地名がたくさん出てきて、その点は楽しめた。
久保田 泉
評価:D
著者の処女作で、思い入れが大きいのは分かるが、話の長さが苦しかった。主人公は、学習塾の講師・山根高志31歳。消去法で選んだこの仕事に何の意欲も持たず、タレント並みの整った容姿は男娼として小遣いを稼ぐのと、女達との情交にのみ費やされる。一見大人しくて礼儀正しく、表向き定職にも就いている山根だが、薄気味悪いくらい自己中心的で、突如キレる。こういう男が一番恐ろしい。潜在的に、一番多いダメ男のタイプなのかもしれない。その上、唐突に感情が昂ぶると、自分に酔ったように熱っぽく嘘はつくは、暴力は振るうはの“だめんず”度高過ぎ男。上巻は、このつかみ所の無い男の生きていくテンションの低い生活がずっと続く。ここをこらえて下巻へ入ると、山根の幼児性と弱さと浮気性が炸裂して、彼を取り巻く環境はどんどん不穏になり、話の躍動感は増す。大人になれない三十男の青春小説とも言えるが、大概にしなさいとも言いたくなる。
林 あゆ美
評価:C
長い長い小説。上下で二千枚(原稿)を超す長さで、はたして読み終わるのだろうかと、読む前から心配してしまう。筋らしい筋はなく、とにかく「僕」の生活一部始終が、とめどなく描かれる。女と寝て、仕事して、また別の女と寝て、その合間にお友だちづきあいもあって……。とりとめないが、だらだらしているのではなく、すべての行為は抑制のきいた文体で淡々としている。おすすめは、上巻にある「著者から読者へ」。「(中略)上巻の途中でやめてしまい、今この小文だけを読んでくれている人は、他にいい作品を探してください」として、特に若い人たちにと9作品紹介している。この9作品リストがふむふむ、なるほど、これを紹介するのかと、物語そのものとの距離を感じつつおもしろく眺めた。この小文は長い小説のいいひとやすみになり、下巻にもすんなり入った。主人公は31歳だけれど、青春文学と紹介されているのに納得。青春です、これは。
手島 洋
評価:AA
大学を卒業後、いくつかの仕事を転々として学習塾の講師をしている主人公、山根。仕事にも周りのほとんどの人間にも価値を認められない彼の日々を描いた話。その斜に構えた生き方、ものの考え方が、最初は鼻についてしかたがなかった。次々と女性と関係を持ち、自分の都合だけを考え、周りを切っていく男。すぐ暴力をふるい、挙句の果てには恐喝まがいのことまでする。しかし、読み進めるうちに、だんだん主人公が自分に向き合い、実に「生真面目に」生きている不器用な人間だということが分かってくると、俄然、話に引き込まれてしまった。周りに合わせて適当に生きる、ということのできない主人公。「自分を知らない人間なんて、この世にいるはずがないんだよ」と言い切る彼は、自分の気持ちに常に誠実であろうとする。それが恋人と別れることになっても、職場の上司に暴力をふるうことになっても。途中から、そんな彼の生き方を痛々しく感じるようになっていた。
山田 絵理
評価:D
読み進めるのが大変な作品ではあるが、ぜひ主人公と同年代の男性に読ませてみたい。
31歳の主人公の生活はセックスと嘘に彩られている。全てをなんとなくやりすごして生きている。心情を決して表へ出さない。一匹狼そのものだ。何か大きな事件が起きるのではなく、彼の日常や関わりのある友人や女たちの描写の中に、作者の強い思いが主人公の心情となって吐露されていく。自己のみを信じるという孤高な生き方。強い人間でないと、こんな生き方はできない。だからこそ、この主人公の生き方はどうなの?と、世の男性たちに問うてみたいのだ。
多くの女性が、ミステリアスな彼に惹かれていく。けれど彼の女性に対する態度が相当ひどいのだ。自分の都合にあわせて平気で嘘をつき、気乗りのしない逢引をしたりする。そしてとても冷たい。こういう気持ちがわからないわけではないけれど、私はつい、主人公よりも彼に振り回される女たちに同情してしまうのだった。
吉田 崇
評価:E
極論すれば、本には『面白い』と『つまらない』の2種類しかないと思っている。特に小説だったら尚更だ。文学だろうが何だろうが、土台になるのはこの類別。そしてこの本は、今年度最初の『つまらな本』だった。
主人公は学習塾の講師をしている山根高志、31歳。売春夫でもある彼は、日々を刹那に生きている。きれいな顔立ち、上手なセックス、何だか訳の分からない理屈と嘘、途中から出てくる無茶苦茶な暴力への嗜好、ははは、キャラが壊れています。上巻末の「著者から読者へ」の中で著者自らが言う様に『その長さのわりに筋という筋がありません』。薄っぺらな人物・情景描写、思わせぶりなだけの夢・小説・映画からのインサート。一人称小説の反面教師的な作品。習作の域を出ていないと思う。
この小説が『当時の僕そのもの』と著者は言うが、読まれるべきは作品自体であって、作者の人となりではない。とは言え、『現在の僕そのもの』はどうなのか、読みたい気はする。