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しゃぼん
【新潮社】
吉川トリコ
定価 1,260円(税込)
2004/12
ISBN-4104725013
朝山 実
評価:C
お風呂がめんどくさい。勤めを辞め、一年もダラダラ。もうすぐ三十。付き合って何年にもなるハルオとの同棲もまんねりだ。毎日が食っては寝る。彼女がそんなだからか、もともとの性質なのかハルオはしっかり者に磨きがかかってしまっている。結婚してもらえないんじゃない、しないんだ。一歩を踏み出すのをためらう女の心理が、ぬるーい私語りの中から覗ける。スーパーで「奥さん」と呼ばれて凍りつき、わざと見るからにオバサンな恰好をしてヘンシンをはかる場面がおかしい(中間がない)。万引きをした少女をかばい、妙な方向に逸れていきそうでドキドキするものの、やっぱり彼女はダラダラ。自分自分の人生相談めいた話にいささか眠くなりかけたところ、終盤でホームドラマなひねりがあるのが表題作。R-18文学賞受賞の「ねむりひめ」もそうだが、外から見てとれない「繊細さ」を描いている。それはいいんだけど、こじんまり、まったりとしていてオヤジが読むにはすこし退屈だなぁ。
安藤 梢
評価:B
感情むきだしの荒削りな感じだが、人を好きになることの哀しさがびしびしと痛いくらいに伝わってくる作品。読み終えた後、胸をかきむしりたくなるようなせつなさだ。
表題作「しゃぼん」は始め、だらしのない甘ったれの女の子(と言っても30歳だが)の単なるノロケ話かと思ったら、そうではなかった。露骨ではない、ひたむきな純粋さが描かれていた。主人公のどこか捉えどころのない個性に対し、姉や恋人の妹である、なっちゃんの強烈な個性が印象的である。一本しっかりと芯の通った人の強さが光る。夜中に姉妹で語り合う場面がとてもいい。心がぐらついている時、誰かの(それも自分のことをよく知っている人の)強い一言に救われるということは、誰しも経験したことがあるだろう。主人公のあまりの無気力状態には、呆れるを通り越して心配していたが、きちんとやる気が見える終わり方に安心。
磯部 智子
評価:C
うっふ〜ん、あっは〜ん、な表紙のうえピンクの帯まで掛かっている。それで内容は軽快な艶笑小話かというと、なんとも痛々しくも古風なオハナシだった。女による女のための「R−18文学賞」受賞作ってなんだ?男性作家のエロ小説に飽き足らず、女性自身の視点から描いたナチュラルな作品らしい。4編から成る短編集だが何れもMの世界、受動的な性に徹している。確かに女の子のある種の切なさは表現されている。愛して欲しいから、我が身を相手に与えるというのも、愛情のないまま快感に身をまかすというのと同様に、自分に酔いすぎている。それにしても『ねむりひめ』はブニュエルが映像化した『昼顔』から一歩も発展していないし、SATCのような明朗な斬りこみもそこにはない。女の子のままでいたいというのは曲者だなぁ。「変わらない」ためには、変わり続ける事が必要だと思う。変わらなければ人は風化してしまう。昨日までもてはやされた不思議ちゃんは、明日の不気味ちゃんかもしれないから、ガーリーな道程もまた険しいハズだ。
小嶋 新一
評価:D
男にとって、女性の生理というものは、頭や理屈では理解ができても、身をもって体験することがないから、やっぱり感覚的にはよくわからないもの。この作品には4つの短編が収録されているが、所々で結構しつこく生理のシーンが描かれる。が、う〜ん、いまいちピンとこないぞ。そうした感想が、この作品と僕の相性を象徴しているよう。
例えば、タイトル作。30歳を目の前にして、一日の半分は眠って暮らし、お風呂に3日入らなくってもぜんぜん平気、彼氏と二人暮しで職業はプー、という女性が主人公。スーパーで「奥さん」と呼びかけられても気持ちの整理がつくようにと、わざとおばさん風コスプレを決め込み、万引きで捕まった小学生になぜか救いの手を差しのべ、家に帰ったら彼氏のためにうどんを打つ……彼女がとる行動、彼女の感情が、あまり子供っぽくって行き当たりばったり。あんた、本当にその年齢なの?との違和感が先にたち、40歳を目の前にした僕には感情移入ができません。僕が男性だから?それで共感できないんだろうか。女性の皆さんはどうでしたあ?特に若い方。
三枝 貴代
評価:B
1年前会社を無断欠勤したのを期に花は仕事をやめて、恋人のハルオにやしなってもらうようになった。一日のほとんどを寝てすごし、ジャンクフードを食べる日々。もっともっと太って醜くなりたい。――表題作の中編『しゃぼん』の他に短編3作で構成された著者初の作品集。
文体を模索中なのか、作品毎にかなりテイストが異なっています。『ねむりひめ』はR−18文学賞大賞・読者賞ダブル受賞作だそうですが、おすすめは、圧倒的に『しゃぼん』です。
頻出する商品名、ブランド名、役者の名前。微妙に誤用なのだけれど感覚的にはもう定着している言葉の使用法。ひきこもり、結婚しない女、セックスレス、風呂に入らないし片づけられない女、成熟拒否、フリーター、離婚、などのモチーフは、時代をくっきりと切り取る、独特の作品世界を確立することに成功しています。同世代の友人間でやりとりする手紙の、小説よりも遙かに生き生きとした臨場感をそのまま紙に印刷した感じがしました。
寺岡 理帆
評価:B
新潮社のWEBサイトでやっている「女による女のためのR-18文学賞」の第3回大賞・読者賞ダブル受賞作、らしい。ネットからばんばん小説家が生まれる時代ですな。
R-18と言ってもそれほどハードなセックス描写があるわけじゃない。「女の子」の気持をわりと赤裸々に描いて、妖艶と言うよりは「かわいい」感じ。
4つの短篇(1つは中篇かな)が収録されているけれど、どれも自分の立ち位置の定まらない女の子が一生懸命足掻いて、少しずつ自分の足元を固めていくような話で、ラストは結構前向きで、読後感はさわやか。
ただ、さらっと流れすぎてあまり残るものがない。読んでいる時はそれなりに愉しめるんだけれど、こういう「赤裸々な女の心情モノ」って、やっぱりどこかこちらが「ズキッ」とするようなものがほしいのよね…。その境地まではもうちょっと、かな。
福山 亜希
評価:C
映画の世界にはR指定という言葉があるけれど、本にもR指定があるのを初めて知った。「しゃぼん」はR−18文学賞受賞作品なのだ。女性による女性のためのR‐指定小説という主旨で創られた文学賞だそうで、それだけに女性の本音がよく表現されていると思う。ただ、私個人の感想を結論として言ってしまうと、今後はこの文学賞の小説はあまり読みたいとは思わない。世の中にはあまり公に姿をあらわしてはいけない、姿を隠しておいた方がサマになるものがいくつかあると思うが、女性の赤裸々な本音というのもそういう分野なような気がする。心の深淵に深く迫った小説は素敵だと思うが、R−指定分野で深淵に迫るのは、ある部分で局部的に深淵に迫ることができても、それによって取りこぼすところも多いと思う。娯楽小説としてなら成功だけど、読んで元気になる本ではないような気がするのだ。それに、この手の本はどれも同じ様なスタイルになってしまって拡がりがない。私は、自分の血や肉としたい為に本を読みたいと思うから、ただ赤裸々なだけの本は嫌だなぁと思うのだ。