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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
漢方小説
【集英社】
中島たい子
定価 1,260円(税込)
2005/1
ISBN-4087747433
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
何度も救急車に乗せられちゃう女の人の話だ。
「えー、三十一歳、女性」救急隊員がそのたび誰かに伝えている。それを彼女はああーっと耳にする。とつぜん心臓がドキーンッ!冷汗と発熱。しかし病院にいっても異常なし。でも苦しい。病院をまわったあげく、漢方医のところに行き着く。この先生、大丈夫?と思った若い医者に、触診でドキドキの震源地を探り当てられる。以来、彼女は別の意味でドキドキ……。昔の少女コミックの定番ストーリーだけど、乗せられ読んでしまう。これって文章のたくみだな。漢方では「喜、怒、憂、思、悲、恐、驚」(七情)の情緒反応は「五臓」にふりわけられるんだよって話など、ふんふん。勉強できた気になれるし、診療内科方面の話ってキツい話題だけど、へこんでいる主人公を描きつつも不思議と明るい。閉じてないからだと思う。周囲の人の関わりがきちんと見て取れるのも、いい感じだ。
安藤 梢
評価:B
まさにタイトルそのままの体にも心にも優しい話。病んだ人間に対する、著者の温かい視点がいたるところに感じられる。漢方の説明がつらつらとされているところは教科書のようでやや退屈だが、全編に漂う漢方の匂い(なぜか読んでいるだけで実際に匂ってくるようだから不思議だ)が心地よい。西洋医学では、原因をつきとめ病気に名前を付けることでダイレクトに治療ができるという利点があるが、逆に病名が付かなかった時はお手上げである。検査で特に異常の発見できなかった場合、分からないことは心の病気と片付けられてしまうことがある。その点、東洋医学では病気であることを体の状態の一つとして受け入れ、全体的に治療していく。と、読めばそんなミニ知識も身に付く訳だ。気になるところとしては、漢方医の先生との中途半端な恋愛だろうか。恋愛を後から無理やりはめ込んだような印象が残る。
磯部 智子
評価:B
忙しすぎる現代人の硬直しきった心に処方箋はあるのか?31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から原因不明のふるえ…。人生の浅瀬を飄々と泳いでいたはずの自分が「何がおきているかわからない」という恐怖に陥る。適度に病んでいるのがオシャレなのに本格的に病人になってどうする?変わらぬ日常、愉快な奴という仮面のまま問題に立ち向かう。同じく悩んでいる暇なんてない多くの読者は、つい一緒に答えを捜し求める。的確な診断と適切な処方の西洋医学は対処療法、熱があれば解熱剤、セキなら咳止め、でも今回はどうやらこれでは解決しない。それで半信半疑でたどり着いた先が漢方診療所。東洋医学では「病気のあなたはこういう人だから、この薬」という時間をかけた『本治』を目指す。この葛藤の日々が非常に軽快でユーモア溢れる筆致で描かれている。面白いし読みやすいし、にわか漢方の知識まで仕入れる事が出来る。スローライフの提案というより、明日からも現実社会に立ち向かうための視点の転換、皮肉にも対処的漢方小説となっている。
小嶋 新一
評価:B
僕は子供の頃気管支が弱く、見かねた母親が漢方薬を探してきてくれ、その煮汁を毎日飲み続けていた時期があった。見た目が泥のようで、おまけに臭くて苦くて妙に甘ったるくて、それでも体調がよくなればと鼻をつまんで飲み続けていた。それで劇的に体質改善したという記憶も残ってないが、今から振り返ってみると、確かにその後学校を休まなくなったような。この作品を読んでいて、そんなことを懐かしく思い出してしまった。
男友達の結婚を聞いた直後から原因不明の体調不良に襲われた主人公・みのりが、漢方薬と、その処方をしてくれるお医者さんと、東洋医学の考え方に支えられて、心身ともに健康を取り戻していくお話。
コミカルで軽快な語り口がなかなか楽しく、読んでいるうちにほんわかと元気が沸いてくる。これなら僕のように鼻をつまんで煮汁を飲み続ける必要もなく、読むだけで漢方効果が期待できる(はず)。恋に疲れた人は、ぜひ、どうぞ。
三枝 貴代
評価:D
うーん、ちがう。これはちがうだろー。
純文学というものは、後世国文科の学生が何報もの卒業論文を書いてしまえるくらいに、ああにでもこうにでも解釈できて、読み手によって全く違った小説になってしまうようなところが魅力なんでしょう? これ、主役の感情とか、行動原理が説明されすぎていて、解釈の余地がない。つけいるすきがないというか。要はサービスのしすぎなわけですが、もちろんわたしは作家にサービスしてもらうことにやぶさかではないのだけれど、しかしこれはレストランに入って食前酒ではなくて花束をもらうような、サービスはサービスなんだけれどどこかちがうといったような。
料理のレシピや生活の豆知識がでてくることが売りのTVドラマのような、物語を読みがら漢方の知識も得られてお得ですよーといったような話で、しかしそれは物語を愉しみたい人が本当に期待しているサービスなんだろうか、どうだろうか。
しかも、ただだーっと原理を説明するだけでは絵面的につまらないだろうと更にサービスしてくれたのか、何事も本で調べる性格の主役が、陰陽五行説のようなどこにでも書いてある理論だけを、耳にしてから数日もたってから友達に説明してもらうといった矛盾もあったりして……。うーん、ちがうなー。
寺岡 理帆
評価:B
やっと巡り会った漢方診療所で少しずつ心と体のバランスを取り戻していくみのりと、彼女の飲み友達の恋愛模様がふんわりと描かれている。みのりの漢方治療がじんわりと読み手のこちらにも沁みてくるような感じ。最後の薬草園の場面ではなんだかこちらまで薬草の香りの漂う清々しい空気を吸い込んだような気がした。
ただ、さらさらさらーっと読み進めて気がついたら終わっていた、という印象は否めなかった。どこにもつっかかることなく読み進められる、というのはある意味上手い、ということだと思うのだけれど、なんとなく、もうこの手の話はいいなあ、と思う自分もいたりして…。
たぶん、どこかに何か「強烈」なものがある小説が好きなんだろうな、わたしは。
福山 亜希
評価:A
主人公は31歳の独身女性。元カレが結婚することを知って、ショックで体調を崩してしまう。体がいうことをきかなくなって救急車で運ばれるのだが、最新医学でも異常は見当たらず、色々な病院を渡り歩いてもどこも悪いところは見つからない。だからといって体調も良くならず、どうすればいいのか分からないまま、漢方医学の若いお医者さんのところへと行き着くのだ。科学的な先端医学と比べるとかなり頼りない感じのする漢方だが、その若いお医者さんに体の悪いところをぴたりと当てられて、一気に信頼と恋心を寄せてしまうのだ。物語はこのまま主人公とお医者さんとの恋の話になるのかと思いきや、そんな単純なくくりにおさまらないところが良かった。多彩な個性の飲み友達の登場や、ドラマチックな演出はないものの淡々と軽快に語られる文章によって、世の一般的な31歳女性像にしっかり迫っている印象を受けた。読者の心の中で熟成するような温かみをもったラストは、明日からまた頑張ろうという活力を与えてくれる元気の素だ。まさに“漢方”的な小説だった。