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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
四畳半神話大系
【太田出版】
森見登美彦
定価 1,764円(税込)
2005/1
ISBN-4872339061
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:C
コンパの帰りらしき一団が電車のホームで、特有の共通語で盛り上がっているようなノリで、なかなか話に入っていけなかった。ざっくりいうと京都の大学に通う男の子のほのぼの飄々とした青春もので、四話に分かれている。「これは読んだんじゃない?」って気になるくらいそっくりな文章が繰り返されている。実は意図らしい。気づくのは読み続けてから。違う選択をしたら、もちろん違う展開になる。それを見せたいってことか。面白いじゃないと思ったのは、大人と関わらず狭い世界でモラトリアムを謳歌する彼らだけど、それはどうあがいても同じ輪の中をぐるぐる回っているだけのことなんだよなぁっていうのが見えてくるあたりだ。最終話で、トイレに行こうとするんだけど主人公はどうしても部屋から出られない。不条理な最後がピリッと読ませてくれる。ちょうど電車で騒いでいた学生が、友人が皆降りて、ひとり膝をすぼめているのを見たようなというか。
安藤 梢
評価:B
四畳半に対する並々ならぬ愛着、というか執着に溢れたこの作品。むさくるしいような、辛気臭いような独特の世界である。鬱陶しいくらいの堅い文体(今どき「やぶさかではない」を使うとは……)も、ここまで徹底されるとかえってすがすがしいから不思議だ。この四畳半をめぐる4つの話、2つ目を読んだ時点でその全貌が明らかになる。そのからくりが面白い。決まったパターンの繰り返しに、物語をはめ込んだような形である。それも、それぞれが同時進行のはずなのに微妙に作用しあっているところにもう一捻りある。話の展開に、くま(「もちぐま」とは、なんていいネーミング!)や蛾、香織さん(人ではない)といった小道具が実にうまく使われている。
「他人の不幸をおかずにして飯が三杯」食える、「唾棄すべき親友」である小津に対して4つの物語を経るうちにだんだんと愛着が湧いてきてしまうのが何ともいえない。どの選択をしても出会うべくして出会うとは恐ろしいほどの吸引力である。
磯部 智子
評価:A-
笑い死にしそうなくらい面白かったあのファンタジーノベル大賞作品『太陽の塔』の森見登美彦作品。語りは健在、一人つっこみ一人ボケ(翻訳すればシニカルな視点)という関西人のお家芸を踏襲しつつ、オタク自身がオタクを語るという独自の世界を作り上げている。とびっきりケッタイな奴が妄想を道連れに京都の街をひた走る、いや四畳半にひきこもる。大学入学時のサークル選択を、3回生の「私」が振り返ると…映画サークル「みそぎ」を選んだ場合、そこには閉じた集団にありがちなカリスマ的ド阿呆、城ヶ崎先輩がいて…宗教系ソフトボールサークル「ほんわか」を選んだなら、と4つの選択肢による物語が平行して語られる。何れの場合も腐れ縁の「他人の不幸をおかずにして飯が三杯喰える」小津が必ず傍らにいて、どう転んでも現在の「私」に着地する。そんな「無意味で楽しい毎日」は、少々前作に比べて薄味の感が否めない。ifもしも?という展開に新鮮味がなく、4話目の予定調和も読めていたし。まぁそれでも面白い事には変わりないが、あと一息。期待するものが大きいから。いつか、そびえ立つあの塔を超える作品を待ってます。
小嶋 新一
評価:A
僕は学生時代をこの作品の舞台と同じ京都で過ごしたのだが、大学という処には、一般社会ではお目にかかれない変人が色々うごめいていたとの記憶がある。例えば、崩れかけた大学の寮に、留年し続ける8回生がヌシのように住み着いているとかいないとか。学生運動もあれば、怪しげな宗教団体の下部組織がいっぱい棲息していたり。
社会に出てはや15年以上、昨今のキャンパス事情は知るよしもないが、少なくとも「四畳半神話体系」の中には当時を思わせる怪人たちが生き延びていて、実はちょっと安心してしまった。
「薔薇色のキャンパスライフ」から最も遠い存在である偏屈学生たちの、無益かつ孤高の活躍(?)を馬鹿馬鹿しくもシニカルに描き出す本作品、作者の持って回った語り口や、ひねくれた登場人物、凝った構成に、最初は深い洞察や真理が隠されているのでは、と深読みしたりもするのだが、そんな期待は不毛であった。単に、あまりの馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばすことだけに集中すべし。
時間を持て余し、その時間を無益に使っても全く気にならないという方だけに、心から、強力にお勧めする次第です。
三枝 貴代
評価:B+
もしあの時、右ではなく左に行っていたら? もし、あの時……。
決断のつど深刻に悩み、結果が思わしくなかったなら、もどってやり直したい。誰もがそう思い、思うあまりに、自分とは違った選択をしたもう一人の自分が住む別の世界がどこかにあるはずだと考える。SFで言うところの並行世界ですね。古来から物語のネタとして愛好されてきました。佐藤正午の『Y』などは、名作でございましたねえ……。
とまれ、冷静になって考えてみれば、誰かの決断のつどもう一つ別の世界が発生していたなら、全部の可能性を考えることは、限りなくうっとうしくはないでしょうか。どこまでもどこまでも分岐する世界。うざいっ! うざいと言っとろうが! 書くなよっ! 森見登美彦。
――ということで。書いちゃったんですよ。森見さんは。4つの可能性全部。……ばかなんだから。
読めば伝染すること町田康と比肩する文体で、帯にある通りに主役は今回もヘッポコな大学生です。(ヘッポコ。良い言葉だ。)で、テーマは明治以来の日本文学伝統芸能「我、いかに生くべきか」ですよ。もーう、たまりません。布団に潜り込んで、ぐへぐへ笑いましょう。
寺岡 理帆
評価:A+
おもしろかった!!!
まったくの前知識なしで読み出したので、第一話を面白く読み、第二話を読み出して「…??」と思い、第三話を読み出してしばらくしてやっと、これがSFだということに気づくダメっぷりだったけれど、いやいや何も知らなかったから余計に愉しめたかも。
大学3回生になる若者のどうしようもなくダメダメな生活。
まあその一言に尽きる話なんだけど(笑)。
登場人物がみなエキセントリックで個性豊か。「私」の悪友・小津のキャラは中でも強烈! いやー絶対お近づきになりたくないわ…。
内容はくだらないとはいえ構成はもうキッチリと決まって、小物の使い方もバッチリ。よくわからなかった不可解な出来事も最後ではビシッと種明かしが決まって、ラストもついニヤリ。お見事!
福山 亜希
評価:A
黒髪の乙女との恋に学問への探求等々、大学に入学したての頃には輝かしい学生生活を夢見ていたのに、現実は全くかけ離れた味気ない毎日を送る青年が主人公。胸を張って言えることは、有意義な大学生活なんて全く送ってこなかったということだけ。どうしてこんな生活を送る羽目になったのか、胸に手を当てて考えると思い当たるのは悪友小津、そして誤ったサークル選びだ…。主人公は、あのサークルにさえ入らなければ、小津とさえ知り合わなければ、薔薇色の学生生活が待っていたのにと歯ぎしりするのだが、実はどんなサークルを選んでいようが、主人公は無意味な生活を送る運命にあり、そして小津と知り合う運命なのだ。ストーリーはIf(もしも〜だったら)の形式で色々なパターンの大学生活をたどって表現されているが、どのパターンでも彼は確実に小津と無意味な毎日を送っているのである。くどいほどに繰り返される主人公の運命に、天命という言葉さえ浮かんでくる。主人公の生活と同じ様に無意味だけど、どこまでもおかしくて楽しい物語だ。