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├2001年6月
└2001年5月
素敵
【光文社】
大道珠貴
定価 1,575円(税込)
2004/12
ISBN-4334924484
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
浮いていたり嫌われる人間を描くと、ばつぐん。とくに「走る」。子供の友達が遊びにやってきたら、その子の家の事情を詮索する。比べて満足するために。不幸を嗅ぎつけると、大変ねぇと喜びを隠しきれない。夫はそんな妻がうとましいのか家に帰らず、電話の声しか登場しない。余計に子供に依存し、狭い了見の母親に対して、小学生の姉妹は、親を反面教師にしたのか大人な態度である。今だからではなく、昔もこんな家庭の風景はいくらもあった。家族が集う姿をぶっちゃけに描きだしている。「素適」は、高齢者向けのファッション講座の女講師、「カバくん」では人が入らない総菜屋のおばさん。嫌がられる人と、疎む側の心理。嫌われても、自分をあたらためられない心のメカニズム。いずれも上手い。「走る」に戻すと、デフォルメされた、被害者意識の高じたいやーな感じが滑稽味をかもしだしている。つい笑ってしまう。てことは、そういう嫌な部分が自分のなかにもあるってことになるんだろうかな。
安藤 梢
評価:A
目を背けたくなるような、人間の情けなさ全開の作品。ここまで人間のどうしようもなさに食い込んで描けるのはある意味すごい。しかもそのどうしようもなさというのが、ごくごくありふれたもので、誰も口には出さないが一つぐらい抱えているだろうというところを絶妙についてくる。もっと突拍子もないものならば客観視できるのだが、何となく思い当たるところがあるものだから始末に負えない。読んでいて楽しい訳ではないのだが、なぜか目が離せない。恐いもの見たさのようなところがある。
全編一貫しての博多弁は、強烈な個性である。読み終えた後、思わず口にしてしまいそうなほどだ。方言を使って書かれたものは、登場人物の輪郭がはっきりとしてイメージをつかみやすい。様々な年代の女を描きながらも、女というものの本質を見事に捉えた作品である。全体に漂う倦怠感が何ともいえない。
磯部 智子
評価:D
この作品は途方にくれる。小説を何のために読むのか暫し考える。何かが決定的に欠落している登場人物たち。『純白』では酔っ払うとトイレまで持たず、母親にその場でパンツを脱がされる父親や、職を転々とし、今は住み込みの仲居となり長期滞在の妻子もちの男と毎日寝る娘。飼い犬まで脂肪分の取りすぎで獣医から体重を半分に落とすように言われているが、母親は、娘と口げんかした後、わざと高カロリーなものを与える。他の作品も似たり寄ったりで、会話は噛み合わないのに、60歳を過ぎても性交渉だけはある夫婦などなど。それでも淡々とし、ぬかるみにどっぷりと足を突っ込んだまま、抜け出す努力もせず、何故か平然としている人たち。肉体はあっても精神は無い、生活はあっても人生はないという印象を受ける。この自堕落な世界、心が死んでしまいそうになる。そもそも線引きがないから堕落でもなんでもないのだが。つまらない人間のつまらない生活。読んでどうする。
小嶋 新一
評価:A
えらい濃いなあ〜、というのが何をおいてもの感想。5つの短編に登場するどの登場人物も、いや〜濃いこと、濃いこと。いきなり出てくるのがバリバリのおばちゃん。それから、それに負けず劣らずの娘。おまけに、会話は思いっきり博多弁。これだけで圧倒されます。
さらに驚かされるのは、そのアクの強い人物を作者が見事に描ききっていること。おばちゃん姉妹が集まり、昼間からワインを傾けながらぺちゃくちゃやっているシーン。ワイングラスの口紅を拭った後、長女が喋り続けながら指先をさりげなく座布団へなすりつけるしぐさ。それを眼の隅で追っている妹。こういうどうでもいいがドキッとさせられる様子を、さらりと巧みに描かれると、うわ〜よう見てるなあ、と唸らざるを得ない。
そんな調子で、母と娘、夫と妻、彼氏と彼女……のケンカしながら悪態をつきながらも、心の底でしゃあないなあと許している、微妙で複雑な距離を次々と浮かび上がらせる。まさに職人芸。お見事!です。
三枝 貴代
評価:C
母親をうとむ娘と、娘や妹に期待してはうとまれる母――『純白』。定年退職した夫にファッション講座を受けさせる妻は、自分が受講した時にはがっかりしたはずなのに――『素敵』。別れた相手に、電話をかけてきては旅行にさそう男――『一泊』。子供の友達の母親は奇妙な人で――『走る』。わたしを嫌っている高校の同級生には、もう結婚を考えている相手がいる――『カバくん』。
卑近な、というか、日常的な、わりとどうでもよい話をずるずると書いた短編5作を集めた作品集。初出はいずれもエンタメ系文芸誌。
そこはかとないユーモアのある描写と、自然な九州弁が魅力です。けれどまあ、友達のどうでもよい話を聞かされているようで、あー、そう? とでもいった感じでたらたら読みました。
家庭小説が好きなかたには、魅力的な小説なのかもしれません。
寺岡 理帆
評価:C
ごめんなさい。と、最初に謝ってしまおう。なんだか全然よさがわからなかった…。
帯に「芥川賞作家が不仲な夫婦の微妙な愛など、不思議な関係を描く全5編。」とある。ううーん、微妙な愛? 不思議な関係?
ちょっと異色な話もあるけれど、ごくありふれた人間関係を簡潔にするでもなく大袈裟にするでもなく切り取った短篇が続く。この「等身大」な感覚が、希有と言えば希有なのかな。
会話がバリバリの九州弁ですすむこともあり、なんとなく読んでいてほんわかとすることは確か。ただ、そこにあるのは読んで清々しくなるような物語でもなければ胸が痛むような物語でもない。
ほんとにその辺の人間関係を無作為に切り取って、ポン、と置かれた感じで、えっこれどうしたらいいの?とうろたえてしまった。
まだまだ読み手としての力量が足りないということなんだろうか…。
妙に落ち込んでしまった(笑)。
福山 亜希
評価:C
世の中のどこかに必ずありそうな、家族・友人・恋人の関係。そこにスポットライトをパッと当てたような、そんな本だ。生活感もしっかり漂ってくるし、ありそうな日常、ありそうな会話、ありそうな出来事が満載。「ありそう、ありそう」と思いながら読んでいった。
物語の中でたくさん出てくる、方言で交わされる会話。それは、リアリティの塊みたいなもので、より直截的に私たちの生活に直結した物語であることを感じさせる。創り上げた物語ではなく、作者の日常生活からぽんと拾い上げたようなそんな話。だから現実感を持っているのだろう。だけど、それだけに、物語としてややパンチに欠ける印象もあった。友人と世間話している、その延長線上にあるような物語の展開で、もう少し何か起伏のある事件や出来事が欲しかった。