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├2001年6月
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サーチエンジン・システムクラッシュ
【文春文庫】
宮沢章夫
定価\550
2005/1
ISBN-4167695014
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
浅井 博美
評価:C
「不思議だったと首藤は言ったそうだ。」大学時代の首藤が殺人事件を起こしたという知らせを聞いた「僕」のとりとめのない回想からこの物語は始まる。この書き出しには思わずしびれてしまった。何かが始まるのではないか、という心地よいざわざわ感が生まれて来る。その後「僕」は首藤にまつわる様々なことに思いを巡らせ、何かの鍵を握っていると思われる「アブノーマル・レッド」なる風俗店を探し池袋中を歩き回る内に、いつしか現実と虚構、理性と狂気の狭間が消失し奇妙な世界をさまよい歩くことになる。
はっきり言って最初の期待は尻すぼみになってしまった。当初重要な意味を持っているかに見えた興味深い言葉たちは、空しく転がってしまい、せっかく足を踏み入れた非現実世界にちっとも魅力を感じられないのだ。不可解な世界に迷い込むということは、物語として読者に恐怖や、好奇心、驚愕など様々な感情を呼び起こしてくれる題材だと思うのだが、こんなにも退屈な気持ちになるとは思わなかった。
北嶋 美由紀
評価:C
“「不思議の国のアリス」おじさんバージョン”を読んでいるようだった。時間や場所の認識がなくなり、名前さえ識別されずに主人公が行った先は夢の中か、異次元か。何年も交流のなかった大学時代の友人が殺人を犯したと知れば、驚きはするが、わざわざ最後に出会った場所を捜そうなどと思うまい。ましてやサラリーマンが取引先との約束を破ってまで。その時点でこの主人公は魔法をかけられたようにマトモな感覚を失い、曖昧を超えて幻想に近づいてゆく。記憶すら不確になり、混沌の渦に巻き込まれてゆく彼と共に、こちらも赤いチョークの不気味さだけが印象に残って、何が何だかわからなくなってしまう。
「草の上のキューブ」は「サーチエンジンー」よりは幾分現実味が多いが、やはり不思議な読後感だ。ルービックキューブは懐かしかったが、6メートルの立方体って一体何だったのだろう。質は違っても両作品とも現実と幻の境界線に身を置いてしまったかのように落ち着かない感じだった。
すみません。結局よくわかりませんでした。
久保田 泉
評価:D
表題作のコピーは“ユーモアと不条理が炸裂する、池袋の夜”とある。“不条理”を辞書で引いてみたら、〈客観的に事柄の筋道が通らないこと〉ということだった。まったくその通りの読後感。正直、どこがユーモアなのかさえ、よく分からなかった。「アブノーマル・レッド」という風俗店を探し、池袋をさまよい歩く“男”。そこから、前後の脈略があるような無いような、まさしく不条理なストーリーが続いていく。唐突な、独白みたいな文中の長セリフは、お芝居で、役者が狂気に満ちた目をして語っているよう。そこだけがぽっかりと浮き出て、妙に印象に残る。もう一作の“草の上のキューブ”の方は、キューブというあだ名の男が主人公。見慣れた地方の町に暮らし、働き、妻も子もいるけど、パソコン依存という設定。キューブとは、懐かしのルビックキューブのキューブ。こちらは大分読みやすいとはいえ、何度やっても揃わないルービックキューブをやっているような読書だった。ふうっ…
林 あゆ美
評価:C
〈僕〉は大学時代の友人の消息を新聞で知る。「虚学」という名前のゼミで一緒だった友人が殺人を犯したのだ。冒頭、友人の首藤が弁護士に語った詳細な内容が記される。2ページと1行にわたって語られる人の首を絞める細かな描写のリアルさに、ちょっと引いてしまう。感情的ではなく、適切な具体的さで語る内容は、私自身も非常にわかりやすく理解でき、だからこそ人の首を絞めるとどうなるかが切実にせまってきた。首藤の事件を知った〈僕〉は、ずいぶん前にすれ違った店を探そうと思い立つ。ところが、その店になかなか行き着けない。曖昧模糊とした世界を独りでさまよっているかのように、延々と探し続ける。冒頭の殺人描写のわかりやすさと比べると、〈僕〉が店を捜す道程は一貫して非現実的で、平和な日常から遠く離れている。読んでいる間中、はっきりしない世界を読み手の自分もたどっていく、その感覚がおもしろかった。表題作と「草の上のキューブ」が収録されている。
手島 洋
評価:A
「去年マリエンバートで」という映画を学生時代に何度も見た。大好きな映画だった、というわけではない。迷宮のような建物を延々と移す冒頭のシーンで眠りの世界に誘われ、ビデオを頭に巻き戻す、ということを何度も繰り返しただけで……。朦朧とした頭で、バカは難解なものには手を出さないに限る、というありがたい教訓をえたのだった。
この作品の冒頭を読んでいると「去年……」が思い出されてきた。迷宮のような池袋の町を「虚学」、「畝西」、「マダラメ」、「曽我部」といった謎のキーワードとともにさ迷う主人公。しかし、この小説を読んでいて眠気を覚えることはなかった。決して、私が賢くなったわけではない。不条理だけど分かりやすい作品なのだ。それに、言葉の選び方が実にいいところをついているのだ。喫茶店の名前の話も本当にありそうに思える。
夢と現実の狭間のような、萩原朔太郎の「猫町」やつげ義春の作品も思い起こさせる、曲がり角の向こうに存在する不思議な世界が展開される一冊。
山田 絵理
評価:C
この短編は池袋が舞台だが、池袋に行ったことがないと、実感として理解し難い。なぜなら駅や通りの光景が、事細かに描写され、それが話の核になっているからだ。
本書には何度も「生きているのか、死んでいるのかわからない。その曖昧さに耐えられるか」という言葉が出てくる。多くの人の多くの生活が、ひしめくビルの内部や建て込んだアパートの小さな部屋で確かに存在しているのに、踏み込もうとしなければ、絶対に見えてくることはない。生きているのか死んでいるのかわからない人々が、たくさん息づいている池袋。それは多くの人が、赤の他人の暮らしには無関心であることを表しているのだろう。だから本書の主人公は、通りに潜んでいる人々の生活の内部を覗きこみたいという欲望だけを抱き、ぐるぐる街を歩き回るである。
本書を読んで、在東京中国人向けのレンタルビデオ屋に足を踏み入れた経験を思い出した。そこは日本ではなく中国だった。都心のど真ん中で異空間が存在していたことに、とても驚いたものだ。
吉田 崇
評価:E
同名の作品と『草の上のキューブ』との2作の含まれたこの本、帯にある「処女作にして大傑作」にちょっぴり反感を持ちながら読み始めると、予感的中、で、この評価です。
『サーチエンジン・システムクラッシュ』、この手の文体は体質的に合わない。文章力の相当に高い人が、何かしらの効果を狙って使う場合でない限り、読みづらくって仕方がない。ストーリーがしっかりしてるだとか、イメージを喚起させる鮮烈な何かがあるだとかならともかく、友人の死を契機に過去を追想しながら池袋の街を彷徨するなんていうプロットでは物足りない。頻繁に出てくるフレーズ「生きているのか、死んでいるのか分からない」も、凄く真っ当な話であって、日常の暮らしで生を実感している人の方が少ないと思う。肉体的快不快の刺激に対してしか、生を云々する言葉を僕は聞かない。そしてそれらは多分、恐ろしく無価値な言説なのだ。
『草の上のキューブ』の方がストーリー性がある分、身近な感じだ。
読後感、何だか、安部公房の小説を読みたくなっちゃったな。