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聖なる怪物
【文春文庫】
ドナルド・E・ウエストレイク
定価\750
2005/1
ISBN-4167661888
浅井 博美
評価:C
完全にラリっている往年のハリウッドスターであるジャックが、インタビュアーであると思われる男性に自分の半生を嬉々として語りだし、物語は始まる。しかし、ここで甚だ頭の悪い質問をしても良いだろうか?「ミステリ」と「びっくり小説」の違いは何だろう?本書は帯やら解説やらで触れられているとおり、最後にあっと驚く結末が待っていることは確かだ。しかし、ミステリの醍醐味である、点と点をつないで線にして行き、それが形作られていくような緻密な構成はない。だからといって、一応は様々なヒントを所々に忍ばせているのだから、誰が読んでも最後に何らかの大どんでん返しが起こるのだな、ということくらい予想できてしまう。そのために最後のびっくりで戦慄に凍ったり驚愕したりしにくいのだ。「びっくり小説」であるとしたら、伏線を張りすぎだし、「ミステリ」なのだとしたら、あまりにも唐突で強引な筋運びである。本書の良さを伝えたいのはわかるが、解説やら帯やらでやたらびっくり感を煽るのは、「この映画にはハンカチを二枚用意してください」的な興ざめを感じてしまう。
北嶋 美由紀
評価:B
酒と薬の中毒となり果てた老俳優が、現実であった過去と、彼の狂った頭が創り出す思い出を成功者として語っている回想録のようなものと思い、おもしろく彼の半生を楽しんでいた。途中、なぜ彼はプールを恐れるのか? インタビュアーの正体はもしかして……?という疑問もおこったが、まさかの結末には驚いた。何に驚いたのかはネタバレになるので書けないのが残念だが、1つ目のビックリの真相は予想通り、しかし、もう1つは、ここまでやるか!?というもの。
役者としては平凡なスタートをきり、穏やかな私生活が少しずつ狂ってゆく中に見え隠れする親友の大きな存在。俳優としての才能は優れていたのだろうし、根は気弱な善人ではあったろうが、ストレートな怒りは酒と薬でゆがめられ親友の強大な力に押さえこまれてゆく様はもの悲しい。もし彼が成功者でなかったら、彼の人生はもっとマシだったろう。彼自身が悲劇の主演男優だ。
久保田 泉
評価:A
いや〜面白かったです、満足です。なんでもミステリ界の巨匠による80年代の伝説の名品だとか。そんな冠はむしろ気にせず、まっさらな気持ちで読むことをお勧めしたい。冒頭いきなり、おおおおお…という奇妙な唸り声?で始まり何だこの話は?と度肝をぬかれる。これは、老優ジャック・パインが大邸宅のプールサイドで、錯乱し、興奮し、笑いながら、自らの半生を語る心中の描写の一つなのだ。実力と名声を得たジャックが、インタビュアーに語り出した人生は、酒とドラックにまみれ、演技の才能は素晴らしいが、妻には去られ、幼なじみにはたかられと、私生活は欠点だらけだ。狂気を帯びた独白は、支離滅裂なようで、名優の孤独と悲しみがひたひたと読者に迫ってくる。一見、展開はミステリらしくなく、伏線も奇をてらっていない。しかし圧倒的に見事な結末にやられてしまった。つまりジャックの語る人生すべて、物語の一字一句が謎解きに繋がるのだ。どうか気を抜かずに、最後まで読んで下さい。絶対に損はしないはずです!
林 あゆ美
評価:C
解説によると私生活で欠点を持つ偉大な俳優を、「聖なる怪物」と言うらしい――。
酒とクスリで身体も精神もボロボロの老優ジャックが、請われてインタビューに応じている。体中が痛くて身もだえするほどの苦痛の中、なぜこんなインタビューに応じているのだろうと、時折戻る正常な精神が反応するのだが、ズボズボとまた戻っていく。フラッシュバックされる記憶話を聞きながら、読み手の私は少しずつジャックの話を理解していく、いや、理解したつもりになっていく。
「いろいろな面であなたは怪物、飽くことのない乳児期の表れよ。それと同時に、神聖なる愚者、聖なる怪物、現実のきびしさに影響されない純真な人なの」
昔、恋人にこう評されたジャック。彼の話す結末は、もつれあった話にぴたりと着地して、錯乱した物語に終わりを告げる。私はジャックの話が終わって安堵し、それから少し爽快な気分になった。
手島 洋
評価:B
ウェストレイクを読むのはこれが初めて。「このミス」で高い評価をされていたから、てっきりミステリーだと思っていたが、読んでみるとジャンル分けしようのない作品だった。
今やハリウッドの重鎮ともいえる映画俳優ジャックが、薬と酒に溺れ、現実と夢の世界を行き来している状態で、自分の半生を語る、という物語。はっきり言って、ミステリーとかコメディーといったものを期待すると肩透かしを食わされる。自分の才能でスターダムを上り詰めていきながらも、疫病神のようにつきまとう親友のバディーにひたすら寛容なジャック。好きなものをやり、妻を寝取られても付き合い続ける。その理由がラストに明らかにされるのだが、意外な結末というほどのものではなく、読んでいる途中で想像がついた。ジャックやバディーといった面々が繰り広げるドタバタもほとんど笑えない。だが、せっかく築き上げたものを、アホとしか言いようのない理由で次々に台無しにするジャックの馬鹿さ加減が呆れるのを通り越して、実に痛快。でも、ハリウッドには本当にこんな人間がいそうだから怖い。
吉田 崇
評価:C
基本的にワンアイディアストーリーだと思うので詳しくは書けないが、最後のシーン、アメリカのTVドラマだか何だかで見たことがある気がしてならない。帯にある「(たぶん)映像化不可能」という言葉には、だから反対。大体、かつて栄光を浴びた老優の語る半生が映像的でないはずがないではないか、と、それはさておき、癖のある一人称、ちょっと古ぼけた印象がする。大体、老優の語る言葉が古びていない訳がないではないか、と、それはさておき、インタヴュワーがリアルな存在になる頃から、面白く読める。
構成的には、老優ジャックがインタヴューを受けている現在の描写(一人称)と、その内容に即したフラッシュバックシーン(三人称)とが交互に語られる。回想が現在に近づくにつれ、大体オチは分かってしまうのだが、薬物やアルコールからクリアになったジャックの最後の一人称描写は納得のラスト、と、それはさておき、リチャード・スターク名義の『悪党パーカー』の方が好き。