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九月が永遠に続けば
【新潮社】
沼田まほかる
定価 各1,680円(税込)
2005/1
ISBN-4104734012
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
高校生の息子が夜にゴミを出しに行ったまま失踪。心配する母親。彼女は手をつくして行方を捜す。しかし……。身の回りでいつ何時起こるかわからない、そんな謎を解いていこうとする前半はじっくりと描きこまれていて引き込まれる。複雑な背景がみえてくるにつれ、予想外の展開をなす構成もすごい。深いテーマや重厚感はこれがデビュー作とはおもえない完成度。と、高い技量を認めた上でのことだが、過去の事件の経緯を読者に伝える場面は残念に思えた。私はどうしてこんなことを、いまこの人に話しているんだろうと主人公も独白しているが、デリケートな内容を、非常時とはいえ関係不確かな第三者に洗いざらい話すものか? 饒舌さは2時間ドラマの断崖で真相を語るふうで、違和感がある。
安藤 梢
評価:B
高校生の息子が夜ゴミを捨てに行ったまま行方不明になる。そんな始まりにあっという間に引き込まれる。子供を探す親の心境が実にリアルで生々しく描かれている。息子の失踪をきっかけに、それまで内に秘められてきた人間関係が次々と現われてきてしまう。何が恐ろしいって、人の心が一番恐ろしい。心理的にじりじりと追い詰めていく描写は、まさに手に汗握る。ここまでドロドロに書けるのはすごい。ぞーっと寒くなる話の中で、あまりに入り組んでいる人間関係に少し笑えるから不思議だ。ありえないだろう、というつっこみがもちろん入る。そのピリピリとした関係の中で、近所に住むナズナの父親、服部の無神経さが際立っている。服部への嫌悪感に必要以上にページが割かれているような気もするが、それがまた恐ろしくうまいのである。読んでいるこっちまで思わず顔をしかめたくなるような嫌悪感。そんな感情もうまく結末への伏線となっている。
磯部 智子
評価:B
人物描写が秀逸なホラーサスペンス大賞作品。突然、息子の文彦が失踪した。それからの緊迫した数日間を描いている。翌日、二日後、三日後…そこに書き込まれるのは巧みな心理描写と其々の過去。母・佐知子が離婚後、関係を持った16歳年下の男の転落死と相俟って疑惑は深まる。別れた夫、精神科医の雄一郎や離婚の原因となった現在の妻・亜沙実、最後まで無邪気なのか不気味なのか判断がつかなかった大阪弁の隣人、服部など書き分けが非常に上手く最後まで緊張感が持続する。只、人物の掘り下げ方にムラがある為、先が読み易い点もあり、佐知子にとって将来の不安が払拭されたかのようなラストも少々安易。又、悲惨きわまりない亜沙実の過去や異常心理などは、『羊たちの沈黙』以降、大量生産されたアメリカ製ミステリに書き尽くされた感があるので、今後この路線は如何なものか。
小嶋 新一
評価:C
昨日まで一緒にテーブルを囲んでいた家族が何の前ぶれもなく忽然と姿を消したら?…自分の身に振りかかることを想像すると、ぞっとする。しかし、国内の失踪人届出はなんと毎年10万件を超えているそう。それが現実。
この作品、主人公である母親のもとから、息子が失踪するところから始まる。そのあとを血まなこになって追いかける母親。つのる焦燥感。行方に見え隠れする別れた夫、その妻、連れ子の影。グシャグシャにもつれあう人間関係の中に浮かび上がる、過去のおぞましい事件。一人の女性が、欲望と狂気のえじきとなり翻弄されたあとの姿には、ページを繰る手が思わず止まり、背筋が凍りついた。
しかし、しかし…ストーリーの組み立てや、怖がらせ方は達者なんだが、何か根本的なところで、物足りなさが残った。息子の行方の「意外な結末」は、作者の頭の中で無理に作り上げられたものとしか思えず、リアリティや必然性を感じなかった。登場人物像が類型的なのにも、興味がさめる。世の中、こんな薄っぺらな人間ばかりじゃないはず。
決して面白くないというわけではなかったんだけど…。
三枝 貴代
評価:B-
佐知子の息子・文彦が失踪した。翌朝、佐知子の愛人・犀田が殺された。容疑者は、佐知子の元夫の義理の娘・冬子。第5回ホラーサスペンス大賞大賞受賞作。
読んでいて非常に不安を感じました。内容に、ではなく、この作家さんの将来性についてです。
とにかく、文章がうまいです。はっとするほど的確で新鮮な表現と、手垢がついていると言われるたぐいの言い回しとを、臨機応変自由自在につかいわけています。とても新人とは思えない手際の良さです。いったいお幾つなのだと著者紹介を見ると……はは、どうりでうまいはずです。
しかし一方で小説の内容は、「清純無垢でありながら、男を挑発して獣に変えてしまう女」、「心では嫌がっても、乱暴されて快感の奴隷となる女」、「男から逃げるために、別の男にすがる女」という、あのパターンだなとすぐに思い当たる妙に古い価値観で、新人賞受賞作を読んだ時に良きにつけ悪きにつけ常に感じられる、ある種の違和感や新鮮な驚きがありません。とにかく新人らしくないのです。うーん、不安です。
寺岡 理帆
評価:B
とにかく文章力が新人離れしていて、ぐいぐいと読ませる。人間関係がこれでもかというくらい複雑でドロドロしているんだけれど、話が混乱することもなく先へ先へストーリーを進めていくその筆力には唸るしかない。
文章が理性的なところが個人的には読みやすかったかなあ。下手するとすごい下世話な話になりそうなんだけど。ただし、反面淡々と話が進んでいくので主人公に感情移入がしづらいかも。彼女が陥るのはものすごく悲惨な状況だと思うんだけれど、なんというか主人公にどこか他人を拒絶するような硬質なところがあって、しかもかなり理性的で強いので、隔たりを感じてしまう面が。わたしだったら打ちのめされますよ、この状況…。
でも、そういう点を考えても、かなりおもしろくてのめりこんで読んだ。少しずつ謎が明かされていくその構成もうまい。
ラストがとても美しくて、暖かさを感じられて好きだなあ。
福山 亜希
評価:B
さすが、ホラーサスペンス大賞を受賞しただけあって、ずっしりとした読み応えたっぷりだ。あり地獄のような、一度はまったらなかなか抜けられないドロドロの人間関係が、薄気味悪い雰囲気を一層醸し出している。ぬかるみにはまって、読んでいる間中は私まで気分がドロドロとしてしまった。ただ、物語の幕の下り方はとても綺麗だ。ホラーが苦手な方でも最後まで読んで、損はしない。
主人公の女性の15歳も年の離れた恋人が、変死するところから物語は展開し始める。バツ一のその女性は、恋人の死に疑問をもち始め、とうとう実の息子まで疑い始めるのだ。
ぐっと引き込まれるように読み始めて、一気に読了したが、冷静な怖さが常に物語に漂っていて、常に緊張感があった。計算され尽くした構成も、読者の期待を裏切らない。怖いのが得意な人も苦手な人も、同じ様に楽しめる一冊だろう。