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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
笑酔亭梅寿謎解噺
【集英社】
田中啓文
定価 1,890円(税込)
2004/12
ISBN-4087747239
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:B
カバーがソンしているかも。落語家の世界の話だからって、夜店絵のようなマンガや時代かがったタイトルは読者の幅を狭くしているような(余計なお節介かもしれませんが)。髪を鶏の鶏冠みたいに立てた若者が、無理やり落語家の師匠のもとに置いていかれ、なんで俺がって不貞腐れながらも、ものすごい師匠の人柄とその芸に魅せられ、びっくりするくらい落語の世界に染まっていく。ロッカーと古典落語。対極に見えるものを掛け合わせているのが面白いし、魅力は師匠だ。酒びたりで、弟子に稽古はつけない、むちゃを言う。嫌なオヤジなのだが、このオヤジが実にチャーミング。偏屈にして一本スジが通っているのと、芸の見事さがあるからだが。モデルは笑福亭松鶴(笑福亭鶴瓶さんの師匠)だろうか。ちがいない。しわがれたダミ声が聴こえてきそうなほどリスペクトが効いている。殺人事件などを盛り込まなくても、へんてこな青春ストーリーとして楽しめたと思うけど。
安藤 梢
評価:B
落語とミステリーの組み合わせといえば、ついつい北村薫の円紫師匠と女子大生を思い浮かべてしまうが、そんなつもりでこの本を読むととんでもない目に合うだろう。平手打ちの一つも飛んできそうである。そのくらい師匠も弟子も乱暴なのである。頭に投げつけた目覚し時計が木っ端微塵になるなんて……。落語の世界の落ち着いたイメージからは程遠い。とは言え、日本伝統に対する敬意のようなものはいたるところに感じられるのだが。ミステリーとして読むには謎もトリックも強引すぎるが、そんなことは気にならない、ともかく単純に面白いのである。誰でも一度は聴いたことがあるような古典落語の演題を使うことで、難しくなくすんなりと話に入っていける。
それにしても梅寿師匠、こんなに大酒飲みで乱暴者で、これで落語が巧くなければ、ほんとどうしようもない人である。
磯部 智子
評価:AA
関西弁アレルギーの方なら全身総毛立ち必至。 望郷の念断ち切れぬロード中の関西人である私ですら思う、こ、濃い…とびっきり濃い面子が勢揃い。挿画はあの成瀬國晴画伯、これだけで昇天…してる場合とちがう。松茸芸能の笑酔亭梅寿って? 松○芸能の笑福亭…この破天荒ぶりは、きっとあの亡くならはった…いや詮索したらあかん。田中さんかて万が一にも類似があっても偶然やて書いてはるし、こんなん想像したらキリが無い。超高級料亭「吉凶」て?未だ言うか。ほな肝心な中身の話、これがまた面白い!古典落語がらみの事件を、梅寿師匠にいやいや弟子入りしたトサカ頭の竜二がキッチリ謎解きする連作短編集かと最初は思った。お題は「たちきり線香」「らくだ」「時うどん」…いや上方落語とお笑いの世界がほんまに好きなんやわ、きっと。ええかげんな気持ちやった竜二もおんなじ。無茶苦茶な師匠、アーちゃん、アホな名前の兄弟子達や、古典落語の凄さを知って、なかなか素直にはみせへんけど、生まれて初めて本気になった。謎解噺としても面白いし、本家を敬愛するあまりの危ない小ネタもよう効いて、ほんま笑わしてもらいましたっ!
小嶋 新一
評価:A
「落語ミステリ」といえば、北村薫さんの円紫シリーズを思い出してしまう。のどかな雰囲気と、鮮やかな謎解きが魅力の、味わい深いシリーズだった。それとは全くタイプこそ異なるも、勝るとも劣らない、強烈な落語ミステリが登場――。
酔っ払い師匠・梅寿と、無理やり弟子入りさせられ、いつ脱走したろかと考えているトサカ頭の若者・竜二。最初こそ落語への興味ゼロの竜二だが、なぜか次々と巻き込まれる事件を解決していく中で、梅寿の魅力、落語の魅力に惹かれていく。
まず、キャラクターの立ち具合に拍手!デフォルメしすぎの感もあるが、なにしろ大阪の芸人界やし、このぐらいでちょうどかと。さらに、落語とミステリの、ともに「型」の中で「オチ」をつけるという共通項ゆえの、相性のよさ。時間を忘れ、あっという間に読み終えてしまった。
作品中でも言及されるように、関西には常設の寄席が存在しなかったが、最近、天満橋で計画が進んでいるらしい。梅寿と竜二のコンビも、これからはそっちにも登場してくれるんではなどと想像すると、楽しくなってくる。見に行ったら、ほんまにいてたりして。
三枝 貴代
評価:A+
おしい! おっしいなー。不良が落語をやる。師匠は、芸がすごいが借金まれというディテイルまで、クドカンの新しいドラマと設定がかぶっています。ドラマにせよ小説にせよ、制作にものすごい時間がかかるので、これは完全に偶然なんですが。運が悪いなあ。
しかし、この本は読まないといけません。面白いですよ。
緻密に設計された手間のかかった構造を、手間がかかったと思わせない軽やかでとぼけたオチでおとすスタイル。勝手で無茶苦茶でありながら、一本筋が通っていて、根本ではいい人である、魅力的なキャラクター。驚異的にしっかりした描写力。と、田中啓文の良さが、全部出そろっている連作短編集です。あまりにも描写がすごくてかえって読者にひかれていたホラーと違って、これは一般受けも期待できそうな内容ですし。いよいよ啓文さんもブレイクですかねえ。
なによりも、作者の上方落語への愛が感じられるのが良いです。わたしはキレの良い口調に惚れているので絶対東京落語派なんですが、この本を読んでいる内に、一度上方落語も聞きに行きたいなあと思いました。
寺岡 理帆
評価:AA
おもしろかった!!! 連作短篇になっているのだけれど、それぞれの作品にテーマとなる落語のお題があり、それと微妙にリンクする謎があり、楽しみながら落語も少し囓れるというお得な一冊。
田中啓文の名前は知っていたものの今回作品には初めて触れたのだけれど、これって多分今までとはガラリと変わった作品なのかしら?
何よりも落語に対する愛と、世間の人情を感じる。時代物よりよっぽど人情味溢れる作品。大酒のみで借金があって弟子をこきつかうだけこきつかって稽古もつけてくれない無茶苦茶な師匠・梅寿。けれど落語は絶品で、押さえる所はきっちりと押さえてくれる。最初はただただダメダメな若者・竜二が、いつの間にか落語が好きで好きでたまらなくなる過程もすごくいい。兄弟子・姉弟子、新人ピン芸人チカコなどの脇役も魅力的。悪人がひとりも出てこないところもいいなー、人情ものっぽくて。
これは続編が出るのかしら? 出たらいいなー。
福山 亜希
評価:B+
本の装丁がド派手で、ブックカバー無しではなかなか電車の中などでは読めない本だ。だ
が、内容の方もド派手な装丁に負けない、面白い一冊だった。
主人公は高校卒業後もちゃらんぽらんな生活を送っている竜二。金色の鶏冠頭で我慢強さが無く、行く末を心配させられて、本人の意思とは関係なく、無理やり落語家・梅寿のもとへ弟子入りさせられてしまう。この梅寿という噺家が、とってもとんでいるのだ。暴力をふるうことに全く躊躇せず、弟子に鉄拳の嵐を降らせる。ただし、物語は暴力風かというとそうではなくて、人情味と人間味にあふれていて、ほがらかに明るい。落語とミステリーを組み合わせるという新しい手法も、違和感なく上手にマッチしていたし、とても巧かった。登場人物が皆可愛らしくて元気があって、時代物小説風の懐かしい印象をそこかしこに残しながら、うまく現代的な風味と溶け合わせている。面白さと巧さが際立ったこの一冊は、かなり面白い。