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├2001年7月
├2001年6月
└2001年5月
だいこん
【光文社】
山本一力
定価 各1,890円(税込)
2005/1
ISBN-4334924492
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
朝山 実
評価:A
時代小説ではあるが、お侍が出てくるわけではない。主人公は年端もいかない大工の娘っ子。メシの炊き方がうまいと評判を呼び、はじめた一膳飯屋が大繁盛。人を見る目、ここぞというときに勝負にでる気風のよさが奏して、急成長で商売をひろげていく。父親が賭場で借金をこしらえ、苦労する母親の背中を見て育ったとか、幼少期の泣かせ話もある。商売が軌道にのってからも仕事に没頭、婚期を失する姿はバリバリのキャリアウーマンのかなしみが漂うし。江戸の情緒が描かれているとはいえ、スジ立ては外食チェーンのオーナーの創業伝です。ただし脂ぎった臭みがなく、実践にいかせる仕事の基本が詰め込まれている。借金をこしらえて奮起した作者ならではというところか。経営者に司馬遼太郎が好まれるのがイマイチ不思議だったけれど、これを読んで、なーるほど。デキる人間に見せるにはどんな話し方をしたらいいか、なんて張りボテ本と比べるのも何だが、読むならこっちでしょう。後半、いい味をだしていた両親の姿が見えなくなったりするのが残念。あえていうなら長いのがちょっと難点かも。
安藤 梢
評価:A
読んでいて何度ごくりと唾を飲み込んだだろう。とにかく美味しそうな料理がたくさん出てくるのである。それも豪華な料理ではなく、白い飯に味噌汁という質素なものなのだが、何しろ主人公のつばきは飯炊きの名人なのだ。その飯炊きの腕と商才で上り詰めていく鮮やかさには惚れ惚れとしてしまう。才能のある人がそれを活かした仕事につき、力を発揮していく姿というのは見ていて気持ちがいいものだ。つばきのてきぱきとした仕事振りや、はっきりとした物言いが随所に光る。父親の借金に苦しんだり、火災や水害といった天災に苦しんだり、何しろ苦労は尽きないが、その苦労を通して着実に教訓を身に着けていくしたたかさが、つばきの強さだろう。つばきには出会った人たち全て、巻き込まれずにはいられないような魅力がある。
父親が一世一代の大博打に出る場面、思わず一緒になって手に汗握ってしまった。果たして賭けの結果は……。
磯部 智子
評価:B
上手い作家だなぁ、と唸ってしまう。ちょいと堅気じゃない雰囲気がする時代小説。
鉄火肌で器量よしの飯炊き上手、江戸で人気の一膳飯屋を切り盛りするつばきは26歳、根っからの苦労人。これだけの店を構えるまでを子供時代からの回想で辿る細腕繁盛記。大好きなおとうちゃんが博打で借金をこしらえた。いくら腕の良い大工でも月々の利払いに3人の娘がいる苦しい生活、長女気質で責任感が強いつばきは懸命に生きる。ここらへんが作家の見せ所、みじめな話にしないでまっすぐ上を向いて生きていく。ヤクザ者とも大店の旦那とも渡り合う。おかあちゃんは腹を立てながらもおとうちゃんの事が好きだから家族の心は離れない。利口で勝気で頑張り屋のつばきは上手い飯を作り自分の運命を切り開いていく。女は女の分をわきまえ男を立てつつ母親みたいな愛で包むしっかり者、なんと時代錯誤的都合のいい女って側面もあるが時代小説かぁ、納得。ダメ男の夢の女です。
三枝 貴代
評価:D
明和元年、つばきは生まれた。父親は腕の良い大工だったが、賭博で借金を作ったために、苦労して育つ。家計のために働きに出た母を見て、つばきは自分も料理屋をやりたいと思った。飯を旨く炊く才能に恵まれた彼女は、やがてだいこんという店をかまえて繁盛させる。
いまや貧乏は流行です。貧乏を経験したことのない昭和30年代以降に生まれた我々にとって、圧倒的な貧乏は、目新しさのせいでものすごく面白いのです。TVでも、夢のために貧乏を耐える人々のレポートだとか、貧乏生活チャレンジだとかが放映されて人気のようです。
しかし。この小説に書かれたような中途半端な貧乏、微妙な貧乏は、せこくて、ひがみっぽくて、愚かで、ものすごーく笑えません。だいたい博打なんて、なまじ余裕があるからできるわけで。余裕のせいで生まれた貧乏とは、まさに自己矛盾。超バカっぽく、同情できません。登場人物みんな(仕事で成功する主役ですら)、短気で、考えなしで、意地を張って損ばかりしていて、そこんところも問題です。
寺岡 理帆
評価:C
器量よし、気風よし、料理の腕よし、の3拍子揃った江戸の町娘の細腕繁盛記。それにしてもここまで才能に恵まれて運勢にも恵まれた主人公の話だと、たとえ本人がいろいろ悩んだり苦労したりしても全然共感できないのは凡人の僻みのせいでしょうか。
全編を通して主人公・つばきにまったく感情移入できなかったのが痛かった。すべて自分ひとりで頑張ってる、という姿勢がどうも……。彼女がお店を開けたのはまず母親のお陰だと思うんだけれど。
序盤で出てくる、彼女とは因縁のある伸介が、最初に思わせぶりな割にはあっさりと退場してしまうのも物足りない。もう少しつばきの人生と直接に絡んでほしかったなあ。彼が店から手を引くことになった原因となる芳三郎のことも、回想ではまったく出てこない。正直、あまり楽しめなかったかな……。
福山 亜希
評価:A
江戸の人々から愛される一膳飯屋「だいこん」は、庶民の胃袋を満たす大繁盛店だ。物語は主人公つばきが、だいこんを軌道に乗せるまでを、彼女の幼少期から遡って描いている。次々と魅力的な人物が登場するのもこの本の魅力で、江戸の町人達の生活が生き生きと描かれている。江戸時代の日本人は素敵だ。
私がこの本を素晴らしいと思うのは、つばきの一つ一つの言動を、読者にいちいち納得させる作者の力量だ。幼少時代からのつばきを描くことで、彼女の人格形成に影響を与えた事柄を読者は細かく知ることが出来る。それで読者はつばきがどんな人間なのか、自分の友人のように理解できるのだ。だから、大人になったつばきが劇中でとる突飛な行動も、読者にとって受け入れ易い。つばきは現代のキャリアウーマンでも叶わない位自立した女性なのだが、それが作者の創造の人物とは思えないくらい、リアリティを持つのだ。そういう点から、この本は自伝のような存在感さえ持っている。江戸時代にはこんな女性が本当にいたのではないか。読者の想像力を刺激する一冊だ。